俺の扱いがすごいです。   作:朧月朱狐

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※注意※捏造色違いポケモンがでます。


パートナー

五歳になった俺は森に出ていた。

危ないことは分かっているのだが、いつまでも家に居ては引篭もりになりそうだったから

外に出ている。

対策としてはポケモンの姿を見たら全力ダッシュをすることだ。

そのおかげで足腰は結構鍛えられたと思う。

近所の子達や兄さんに負けない自信がある。

そんな訳で今日は少し遠出することにした。

鞄に必要な物をつめ、何かあったときのために食料も詰め込む。

 

 

ズイタウンとトバリシティの間にある森に来ている。

記憶が確かならトバリシティはシンオウ地方でのサトシのライバル、シンジがいる街だ。

だけどそこまでは行かない。

今日はあくまでも少し遠出するだけだ。

子供の足では一日以上かかってしまう。

森を歩いていて太陽が真上に来ているので、昼頃だということがわかった。

見渡すと結構奥まで来たようだ、まぁ歩いたし所々走ったりもしたし当然かもしれないけど。

ここで引き返さないと暗くなるまでには帰れない。

俺はそこで踵を返そうとした。

その時だった。

 

【助けて…】

 

声が聞こえた。

空耳と思ったがこんなところに人がいるとは思わないし、ポケモンの鳴き声でもない。

そうなるとあの爺さんがつけた特典、色違いポケモンの言葉が通じるそれしかない。

 

俺は声が聞こえる方向に走り出した。

その声はどんどん大きくなっていき、辿りついたのは大きな洞窟の入り口。

 

「いかにも何処かの組織が使っていそうな場所で」

 

だけどここから声がする。

手持ちにポケモンが一体もいないのが心もとないが行くしかない。

鞄の中から持ってきておいたライトを点け中に入る。

結構奥深く、入り口から500mはゆうに離れているだろう。

近づくにつれて人の声もするようになった。

明かりも見え始め、影からそっと覗くとアニポケで見たギンガ団の制服が見えた。

そうなるとここはギンガ団のアジトの一つだと分かった。

何やら話しているが少し遠いために聞き取りにくい。

暫く待つと何処かに行くようで、誰もいなくなったのを見計らい、近づく。

 

そこには一匹の蒼いヒコザルがいた。

あれ、確かヒコザルの色違いってピンクに近い色合いじゃなかったっけ?

前の世界で色違い図鑑を見たときにヒコザルの色違いを見たときを思い出した。

考えていると一つの答えに導き出された。

ここはギンガ団のアジトの一つ、しかも周りは研究機材らしきものがたくさん置いてある。

それだけでもすぐにわかった。

サイトでポケモン小説を読んだとき見た事がある、実験という単語が浮かんだ。

 

なればすぐにでもこのヒコザルを連れて逃げなければ。

周りを見渡し他にもポケモンがいないか探したがヒコザルだけしか見当たらない。

すぐに俺はヒコザルを抱え走った。

さっきの奴らが戻ってくればすぐにバレる。

その前にここから一歩でも多く逃げなければ。

俺は全力疾走しできるだけ遠くへと思いながら走った。

 

走って走って、息も上がり辛くなってきた。

一度立ち止まると見慣れた森だった。

どうやら我武者羅に走ったのにも関わらずちゃんとズイタウンに戻ってきたみたいだ。

息を整え、そこに座り込む。

腕の中のヒコザルは眠ったままだった。

起こすのはしのびないが起きてもらわないと少々困る。

優しく揺するとゆるゆると瞼をひらく。

そこには綺麗な蒼の瞳があった。

 

「おはよ~気分はどう?」

 

【誰だ!?お前】

 

「うん?俺?俺はズイタウンのアジュール、言いにくいからアルでいいよ」

 

【ここはどこだ?】

 

「ここはズイタウンの森の中、でさっき君がいたところはズイタウンとトバリシティの間の

森にある洞窟。ここまでok?」

 

【俺はどうなったんだ?】

 

どうやらこのヒコザル、自分がどんな状況だったのか、しかも毛並みが変わっていることに

気付いていない。

薬で眠らされていたか、あまりの恐怖に強制的に意識を落としていたのか。

両方ありえるな。

じゃぁあの声は無意識に出していたみだいただな。

出していたこと自体に気付いてないし。

 

「あぁ、君さ自分の毛並みの色覚えてる?」

 

【そんなのオレンジ色の毛並みだぞ】

 

やっぱり、あのギンガ団この子を使って何かやっていたわ。

とりあえず今度遭遇したときはそれ相応のお仕置きは必要だな。

 

「残念だけど、君は今綺麗な蒼色だよ」

 

【嘘だ!!!】

 

そりゃそうだろ、捕まるまでは普通にオレンジ色の通常色なのに

起きてみたら色違いになっていたなんて信じられるわけないか。

 

「でも事実だよ」

 

俺は鞄の中から手鏡を取り出して映して見せた。

ヒコザルの顔は驚きと悲しみのぐちゃぐちゃな顔になった。

 

【これから、どうしよう】

 

混乱していたが落ち着いたのかこれからのことを考える。

一人だけ蒼い自分。

皆オレンジなのにそこに異色の自分は入れるのだろうか。

多分無理だろう。

色違いでも本当の色違いの色はピンクに近い色合いだ。

そのどちらでもないこのヒコザルはきっと一人になる。

それなら。

 

「だったら俺のところに来ない?」

 

【えっ?】

 

今にも零れそうなほど涙を溜めた目をこちらに向ける。

なんかおろおろしているが再度聞いてみる。

 

「だから俺のパートナーにならない?」

 

【パートナー…】

 

ヒコザルは悩む。

この人間と離れたら自分は一人になる。

でもこの人間といれば一人じゃない。

答えはもうでていた。

 

【俺、アルと行く】

 

「よっしゃ!これからよろしくな“ソウビ”」

 

【ソウビ?】

 

「そっお前の名前、蒼い灯とかいて蒼灯(ソウビ)、良い名前だろ?」

 

【ソウビ、俺はソウビだ!】

 

「じゃぁ帰るか、俺達の家に」

 

【おう!】

 

ソウビは俺の肩にのっかるのを確認すると家まで走った。

この後家族にソウビを見せて説明すると皆歓迎し、ソウビが嬉し泣きをしたのは良い思い出だ。

 

 

 

おまけ

 

【なぁアル】

 

俺がソウビを毛繕いしているときだった。

 

【何でアルはそんなに足が速いんだ?】

 

まさか今聞かれるとは思わなかった。

まぁいずれバレルし。

 

「なぁんか俺、通常色のポケモンに嫌われてるらしくてさ

俺見たら逃げるわ、威嚇するわ、挙句には攻撃してくるからさ

それを回避するために走ってたりしたらこんなに速くなった」

 

はい、完了と毛繕いが終わる。

丁寧にできたなと思っていたらソウビがなにやら決心したような顔をしていた。

 

【アルは俺が守る!!】

 

「うおっ!?」

 

ソウビに硬い決心ができたお話。

 




名前がなかなか決まらず、最終的にアジュールに決まりました。
意味はちゃんとあるのでそれは後日書きます。

感想・意見お待ちしております。

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