黒子のバスケ ifストーリー 「もし、黒子が桃井の事を好きだったら」   作:和泉春

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十九話です。

諸事情により投稿が大分遅れてしまいました。

楽しみにしてくださった方には本当に申し訳ないです。

引き続き投稿再開致します。



覚悟なんて、とっくの昔に出来ています。

「…………。」

 

「…………。」

 

 

沈黙が苦しい…。

な、なにか話題を…。

 

 

「あ、青峰くん。

何か用でしたか?」

 

「あぁ…ちょっとな。

ちゃんと、お前には言っておかねーと思って…。」

 

 

きっと、桃井さんのことだ。

 

 

「その前に、僕からひとつ言わせてください。」

 

 

僕のその一言で、

青峰くんはまた

何かを覚悟したような目を

僕に向けた。

 

真っ直ぐ、迷いのない顔で。

 

 

「僕は、明日…桃井さんに告白します。

そのことを、承知してもらえますか?」

 

 

青峰くんは眉をぐっと寄せてから、かはっと口を開いた。

 

 

「っ……。

はははっ、やっぱり、

お前にはかなわねぇなぁ…。」

 

 

青峰くんは安堵したように、足を崩して力を抜いた。

 

僕は、それと同時にキョトンとした。

 

こんな風に笑った青峰くんを見たのは、

いつぶりだろうか…。

 

最近の僕達は、

何処かぎくしゃくしていて、

お互いにいたたまれなくなっていた。

 

一人の愛しい人を思っているだけなのに、

どうしてこんなにも

僕達が睨み合わなければならなかったのだろう。

 

僕達の友情は、こんなに脆いものだったのだろうか。

いや、違う。

ただお互いに、お互いを恐れていただけなのかもしれない。

僕達の友情が壊れてしまうことを。

 

 

「あぁ、分かったぜ。

でもなテツ、あいつはオレのもんだから。

覚悟しておけよ。」

 

「覚悟なんて、とっくの昔に出来ていますよ。」

 

 

お互いに負けない意志を確認し、

熱い視線を交わしあった後、

僕達はまた笑っていた。

 

 

「…でも、嬉しかったです。

君から、ちゃんとその言葉を聞けて。」

 

「ん?なんだよそれ。」

 

「桃井さんも、青峰くんも、

自分の本当の気持ちには鈍感なんですよ。

少し前に、

桃井さんからはもう答えを教えてもらっていたので、

後は君の問題でした。

君は、いざと言う時の判断が鈍る人ですから、

こんなふうに真正面からぶつかってきてくれたのが

とても嬉しかったです。」

 

「…赤司にも同じことを言われた。

今の関係を壊すのが怖くて迷ってるんじゃねぇかって…。

そういう判断が鈍いから、早く自分で解決しろってな。」

 

 

最近赤司くんに呼び出されていたのは、

それが原因だったのか。

 

少なからずどころか、もろ僕関係の話だったじゃないか。

 

青峰くんはきっと、

この三人の関係が好きだったのだろう。

付かず離れず、信頼という名の元集っている関係。

僕らの関係の根底にあったものは恋愛感情ではなく、友情。

その輪から外れてしまったら、この均衡は崩れてしまう。

青峰くんなりに、

そうならない方法を探していたのだろう。

 

 

「でも、青峰くんなら、

もっと時間がかかると思っていました。」

 

 

青峰くんはなんだよそれ、と少し拗ねた様子だった。

 

 

「…でも確かに、オレ一人で考えてたら、

もっと時間がかかったかもしれねぇな…。」

 

「…桃井さんですか?」

 

「さつきもだけどよ、赤司がな。」

 

「…赤司くんが?」

 

 




十九話覚悟なんて、とっくの昔に出来ていますよ。
を読んで頂きありがとうございます!
大分遅れてしまいましたが、

また少しずつ投稿していこうと思います。

Twitterでも言いましたが、黒子の話から完結に向けて頑張って行こうと思っております。

気長に待って頂けると幸いです。

次話もお楽しみに!


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