寝オチしたらギレンになっていたが 何か? 作:コトナガレ ガク
「ギレン総帥、連邦艦隊退却していきます。
追撃しますか?」
決断が早いな。
ここにギレンがいるんだ、背水の陣で決戦を挑みギレンの首を上げるという選択肢もあったのに、迷わず撤退を選ぶとは保守的な男だ。
逃げる先は、サイド7か未だ連邦よりのサイド2か?
どちらにせよ、今後補給は先細るのみ。その前に連邦の援軍が来ると見越してのことか。
まあいい。
「いや我々も退却する」
窮鼠猫を嚙むというか、この場での戦力は此方が劣っているんだ。ルナツーを落とした今となっては無理はしない。
「全艦退却します」
こうして第一次ルナツー会戦のつもりが、終わってしまったルナツー攻略。ガノタなら誰もが思っていた地上降下よりルナツー攻略を果たしてしまったのであった。
連邦艦隊はサイド7でなくサイド2に退却をしていき、サイド2に駐留している。牙を剥く機会を伺うようだが、そんなことはさせやしない。
まずパトロールを徹底し地球とサイド2の補給路を断つ。その上でサイド2駐留艦隊に対して絶え間ないハラスメント攻撃を仕掛ける。
自業自得なことに地球はサイドの反乱を恐れてサイドに重工業や兵器工場を禁止していた為、連邦艦隊は失った弾薬の補充はおろか艦の修理も満足に出来ないのである。
遠からず連邦艦隊は磨り潰されるだろう。いやその前にハラスメント攻撃に徐々に磨耗していく恐怖に精神の方がいつまで持つか見物である。
どちらにせよ。ほどなく片付くであろう。
ルナツーが大爆発をした原因は内部に貯蔵していた核兵器の誘爆が原因だった。外部からなら核の直撃に耐えれるかも知れない分厚い岩盤だが、内部で核爆発が起こっては逆に威力を封じ込めてしまう諸刃の剣となってしまったようだ。可哀想だが、ルナツー内に生存者はいないだろう。
俺が指定したドック、ザム工場でなく核貯蔵庫の爆破を主導したのはシャアであった。
彼はたちまちの内に英雄に祭り上げられ、絶対のカリスマを獲得しつつある。現に今宵の祝勝パーティーではあっという間に人の輪の中心となっている。
宇宙での戦いは片付きつつある今、残る強敵二人との決着をそろそろ考えなくてはならないのだろうな。
別に正体は知っているんだ。後ろめたいことをすれば片は付けられるだろうが、シャアという男はどうにも憎みきれないところがある。
だからか細い僅かな希望への道に縋る。
コンコン。
「入りたまえ」
これが幸運の女神のノックであることを祈りつつ俺は入室を許可する。
「はっシャア中佐入ります」
さあ、ここが勝負の天王山だ。