寝オチしたらギレンになっていたが 何か? 作:コトナガレ ガク
「総帥、これがルナツー偵察隊が撮影してきた映像です」
連邦宇宙艦隊再建という事態が発生し緊急会議が招集され、ザビ家一堂及び主だったジオンの高官が揃っている。
ルナツーに残っていた艦隊と打ち上がった艦隊を合わせて、3倍の兵力が揃えられたと推測されている。3倍なら勝てるじゃ無いかと思うかも知れないが、ジオン軍は先のルウム会戦で勝ちはしたが損耗激しく再建中であり、とてもじゃないが3倍の艦隊+要塞に攻撃を仕掛ける余力は無い。
今はこのルウムに設置したソロモンに立て籠もり防衛ラインを維持するのがベターなのだが、ここで守っていては連邦との差は広がるばかりのジリ貧。
この状態でラプラス奪取に成功し発表しても、連邦の圧倒的暴力の前に各コロニーは結局は沈黙を選ぶであろう。
何としてもジオン強しを今一度見せ付けなくてはならない。
っというわけでの緊急御前会議である。
それにしてもセシリアさんがメインモニターに映し出したのは、GMなのか?
ガンダムも開発されてないのにいきなりGM? 俺が?を付けるのは、確かにヘッドはGMなのだが、体がザクに酷似しているからだ。
GMヘッドだからGMでいいのか? だが体はザク、頭が吹き飛んだら敵味方の区別が付かないぞ。まあカラーリングがGMカラーの赤白になっているけど。
「これはなんだ?」
「端的に言えば、ぱちもんザク。
連邦が鹵獲したザクを3Dスキャナーで丸コピーして作り上げたようです。
通称 ZAKU Refine Model、ZAMです」
発想はし難く、真似は容易い。
よほど科学技術に開きが無ければ、3Dスキャナーを使えば機械部、プロテクト外してしまえばソフトも簡単コピーできる時代なのだ。
だからこそコピーされる前に決着を付ける必要があったんだが。
「性能的にはどうなのだ?」
別の高官が聞く。
「性能的には我が軍のザクの7割ほどです。特にジェネレーターのコピーが上手くいっていないようで最大出力を出すと爆散するようです」
何それ怖い、どこのツダ?
っと笑ってもいられない。ミノフスキー博士を亡命を阻止したことでジェネレーターに関しては圧倒的アドバンテージを持っているようだが、楽観はしてられない。
一対一なら勝てるが二対一ではどうなる? 三対一では?
多少の性能差は数の暴力で覆せるし、連邦にはそれが出来る。
数を揃えられる前にルナツーを叩く必要があり、待てない理由がますます増えた。
「ドズル。ジオン宇宙軍の再建あとどのくらい掛かる?」
「メカも酷いが負傷兵の補充も。だが二ヶ月いや一ヶ月でやってみせる」
ドズルがこう言うなら一ヶ月は掛かるのであろう。
「分かった」
人間の補充だけはどうにもならない時間が掛かることは元社会人理解できる。ブラック企業のように人間を使い潰すのは自分の足を喰って延命するのに等しい。
っとなると何としても一ヶ月時間を稼ぐ必要があるということか。
「サナダ長官」
「はっ」
「以前より命じていたものはどうなっている?」
「システムに関しては工期通り順調ですが、急がせて完成させてもどのみち地球の裏側に位置するルナツーには無意味です」
「だが防衛には使える、頼むぞ。
っで敢えて後にした二つはどうだ」
「ふっふ、こんなこともあろうかと開発を進めていた秘匿兵器。
まずは、艦隊指揮艦ヤマトは今すぐにでも進宙式が出来ます」
「やまと? なんだそれは兄貴」
ドズルが初耳だとばかりに尋ねてくる。
「ジオン軍の総旗艦となるべき船の名だよ。
最速の船であり、ハイパーメガ粒子砲を艦首に装備、モビルスーツ搭載能力は1機」
「たった1機!?」
高官の一人が驚くのも仕方ない。今の時代艦とはモビルスーツキャリーであり、モビルスーツ運用の力こそが求められる。
だが、敢えてそこは求めない。そんなものは空母に任せれば良い。
「ヤマトの真価は単艦での攻撃力では無い、艦隊を指揮することに特化した船。ヤマトが指揮すれば艦隊の能力は2倍に跳ね上がる」
外見は某ヤマトと瓜二つだが、決して男の浪漫、ガンダムと並ぶSFの巨塔に憧れたわけじゃない。
銀河の果てすら見れる光学観測システム、ゼタレーザー通信リンクシステムに亜量子コンピューターを備え、艦隊戦における情報を瞬時に分析できる。
このように攻撃力でなく情報収集能力に能力を振っている。
この船にギレンの頭脳による指揮が加われば鬼に金棒。
これさえ有れば、残存戦力だけでも一勝負ならできる。
「なんと」
太鼓持ちの高官が驚いて見せているが、その横でドズルは渋い顔、キシリアは馬鹿かという顔をしている。
「それともう一つは?」
俺はさり気なく話題を次に移す。
「秘匿モビルスーツ「ニートゥ」、5機ロールアウト可能です」
にやっと笑うサナダ長官。
「よしこれより、オペレーション「ヒキコモリ」始動する。