寝オチしたらギレンになっていたが 何か? 作:コトナガレ ガク
俺はガンダムをこよなく愛している。
幼少の頃見たガンダムの衝撃と感動をアラサーと呼ばれる大人になっても失わなかった。
ある日の金曜日、仕事も終わりコンビニで食料・スナック・酒を買い込み自宅に帰る。今日は家に帰ったらファーストガンダムをオールナイトで観る予定だ。
これで準備は万全。
家に帰り、先に風呂に入り着替え、大量の食料を用意して鑑賞スタート。
「ふっふ、一気に最終回まで観てやるぜ」
久々のオールナイト決行。
と意気込んではいたが、やはりもう若くは無い。
酒を飲みつまみをいい調子で食って腹が膨れてくると、強烈な眠気に襲われてきた。
「まっいっか」
俺は大好きなガンダムをBGMに眠気に身を委ねることにした。
「んっんん~」
どれくらい寝たのであろうか、自然と眠気が醒め目を開けると、見知らぬジオンの軍服に身を包んだ男達がずらりと目の前にいた。
はれ、俺コスプレ会場にいたっけ?
「ギレン様、どうしましたか?」
声の方に目を向ければ、そこにはタマネギヘヤーが特徴的な美人セシリアがいた。
ん? これってどういうこと、俺ってもしかしてギレンになっている?
今起こったことを整理しよう。
信じれないかも知れないが目が覚めたらギレンになっていた。
何を言っているか分からないかも知れないが事実。
なぜ納得しているかだって。
どういう原理か知らないが、俺は元のガノタとしての記憶と人格があるが、ギレンとしての記憶と能力を引き継いでいるハイブリットになっている。
おかげで今自分が何をしているが理解している。
これは開戦前の御前会議、ジオンの主だったメンバーが揃って国力何倍どころか何十倍の連邦に対してどうしたら勝てるか戦略を立てている会議だ。
ハッキリ言えば、勝ち目なんかあるわけが無い。それでも戦争をしなければならないほどにジオンの国民の連邦の棄民対策への怒りが溜まっている。もはや、これを抑えることなど不可能だ。
ならば、どうする?当然普通の戦略など立てない、勝つ為に人道から外れた手段を執ることになる。
以前の俺なら兎も角、ギレンと混じり合った俺には開戦を止められないことは理解できるし、止める気もない。
だが
だが
このまま開戦して非人道的な手段により最初は飾れても、最後には頭パーン、頭パーンですよ。碌な終わり方じゃ無い。
冗談じゃ無い。そんな結末納得できるか。
そんな未来をどうすれば回避できるか?
そういった意味では、開戦前に転生できたことは幸運だ。
未来を変えるには今しか無い。
よって、俺はガノタの知識とギレンの頭脳を持って新戦略を立てる。
そして今俺は口を開く。
「諸君には失望した」