転生クックは人が好き   作:桜日紅葉雪

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ひっそり更新。一年以上も更新してなかったとか知らない。
あ、うちはホワイト企業ですよ?いや、本当に。ただちょっとだけサービス残業時間があるだけだから…(震)


第15話

(みんな聞いてくれ!突然だが、引っ越そうと思う)

 

いや、なんでって言われてもお前らなぁ…ここにいただけで何回理不尽に襲われた!?

卑猥竜は…まあともかく、火竜にマ王、金火竜・黒狼鳥・水竜、極めつけに金獅子だぞ!しかも2匹。

絶対ここ呪われてるわ。アプトノスさんたちも良くこんなところにいるよ。ふと浮かんだ俺が呪われてるという考えは那由多の彼方へと捨て置いておく。私が生きるにはそれなりの刺激と退屈なまでの平穏な日々でいいのだよ。

とはいえ、ここで作った道具を失うのも惜しい。いや、道具は実際どうでもいいのだ。そんなことよりも、それなりの量残っている燻製や干物を残したまま行くのは非常に惜しい。というわけで、今夜は猫人族も読んで盛大に消費しようと思う。

さっき余ってたきのこの中からドキドキノコ食べてみたけど人化できなかったから申し訳ないがハンターさんたちは呼ばない感じで。…って、レンド君達以外に俺の人化見た人いないし、出来てたら出来てたでめんどくさい事になってそうだったしいいっちゃいいか。

朝にいつものようにやってきた猫人族にこの事を伝える。子猫たちに潤んだ瞳で引き止められやめようかとも思ったが…すまん、子猫たちよ。俺も死ぬわけにはいかないんだ。

最後には泣いてしまった子猫たちをあやしながら猫人族たちは帰っていった。

「盛大にお見送りをしますにゃ!!」

と鼻声で去って行った猫人族の姿に目頭を熱くしながら見送る。これは、何が何でももてなさなければ…

というわけで、さっそく飛び立つ。向かう先はゲームで言うエリア11。着地地点に猪がいたので、ゲーム時代の鬱憤を晴らすかのように踏み潰し殺して脇にどけておく。そして水場に口を突っ込み、飲み込まずに猪をつかんで巣に戻る。…口の中に魚が当たって気持ち悪いが我慢。殺すわけにも飲み込むわけにもいかない。あっこら!勝手にはじけるな、痛いわっ!あっ、破裂に飛び火…ウボァー

 

 

 

 

一悶着あったが、とりあえず半分(肉片は含んでいない)程は無事に運び終えた。猪を離して水桶にぶち込む。猪は皮を無理やり剥がす。いくらか肉も一緒についていってしまったが大体オーケー。牙と眼球も取り出して胃袋に投下。流石にこれを猫人族に出そうとは思わない。腹裂いて内臓を取り出してこれも胃袋へIN。うまくはないけど小腹は満たせる。水桶と生肉(猪)に剥がした毛皮をかぶせる。さてと、もう一回行ってきますか。毛皮の臭い付きそうだな..大地の結晶置いとこう。確か抗菌作用のあるアイテムに変わった筈だから。

後必要なのは、きのこと薬草。その他食い物以外をもろもろ。木を倒して蔦で編んでその上に必要物資を置けば一回で済む…けど、さすがにそんな細かい作業は無理やね。諦めて一回ずつ運ぼう。

岩の真ん中をくりぬいた簡単な籠をつかんで飛び立つ。薬草ときのこは…一緒でもいいよね。

 

 

 

 

はい、全部運び終えました。ニトロダケと火炎草が運悪く重なっていろんなものが俺の下っ腹に飛び散ってきたけど、問題なんてなかった。うん。…明日お祓いでもしようかな?針の実とかはじけクルミがもうね…一番大変だと思ってた木を運ぶのが一番楽だった。ちょっかい掛けてくると思ってたランポスも何故かいなかったしね。

と言うわけで、準備完了。

今回用意メニューがこちら。

 

猪の丸焼き(一頭分)

魚と木の実の塩鍋

金火竜の焼肉

黒狼鳥の香草巻き

ハリマグロの塩釜焼

焼きキノコの野菜炒め

 

ただし、製作者が俺(イャンクック)なので非常に荒い出来となっております。…素材がいいから問題ない、はず。

流石に持ってきた物と元からあった肉はそれなりに量があり、これだけ作るのにもかなり時間がかかった。もうすぐ日が沈んでしまう。まあ、待ち時間が短いってことでいいや。

時たま木を蹴り飛ばして焚火にくべていると、騒がしい一団がやって来た。本日の主賓、猫人族たちだ。

 

「赤色の旦那ー、お邪魔しますにゃー」

 

先頭を歩いていた猫人族が挨拶してきた。

 

「Gul~」

 

おうらっしゃい、楽しんでいってくれ。的なニュアンスを含んで返事を返す。やっぱり言葉が通じるっていいね。言葉じゃないけど。

とにかく、俺の転居祝い?が始まった。

そこら中で猫人族たちが飲めや食えやの大騒ぎをしている。俺の周りにも何人も来て

 

「ありがとうございましたにゃ」

 

などと言いながら、楽しそうに話をしてくれたりした。お互いの意思疎通ができるのが本当に嬉しい。

焚き木を囲んで大騒ぎをしていると、小さな猫人族たちが眠そうに舟を漕ぎ出した。そろそろお開きだろうか。

隣にいた猫人族に聞いてみると、そろそろ帰るとのこと。

まだまだ騒ぎながら帰る猫人族たちを見送る。また次に会うことができればいいな。

 

振り返ればすっかり慣れてしまった俺の巣(いえ)がある。

突然この世界にいて、混乱している俺が落ち着いていられた数少ない場所。

ここを離れるのは心苦しいが、ここで過ごした日々は忘れない。さようなら、俺の古巣。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

と、此所で終わらないのがこの場所のクオリティ。俺クオリティではない。断じて。絶対。

さあ飛び立とうと夜空へと上昇中に、何処からともなく響く足音。

同時に正面の木が倒れた。...は?

 

ドンッ

 

「Gluaaaaaaaaaaaaaaaaa!!」

 

と、大地を踏みしめ、ソイツは壮絶なまでの咆哮を上げた。

その声量は尋常ではなく、周囲に倒れていた木が吹き飛んだほどだった。

茶色い鱗に青のラインを走らせた轟竜だ。

さて、それはともかくだ。正面の木と俺の距離は10メートルと離れていない。そんなところで超巨大な咆哮なんかを上げられたわけだが…こうなると当然、

 

(耳がああああぁぁぁッぁぁぁぁっぁ!)

 

一気に聴覚情報が失われる。目の前は真っ赤に染まり…

 

(野郎、ぶっ殺してやる!)

 

理性の鎖が一気にちぎれ飛んだ。あふれ出る怒りが気炎となって口からあふれ出る。翼を広げ轟竜を睨み据えて声を張り上げた。

 

「Gyuaaaaaa!」

 

轟竜が動き出す前に走りだして、顔面へ飛び蹴りを行う。同時に口の中にブレスを溜めておく。全体重を頭蓋に乗せて押しつぶし、そのまま慣性に任せて轟竜を吹き飛ばす。そのまま頭を台にして飛び上がり、上空から溜めていおいた青いブレスを吐き出す。吐き出されたブレスは背中に着弾。業炎となって轟竜の鱗を焼いた。そしてそれが消えるのとほぼ同時に翼をたたんでのしかかる。揚力を失った俺は重力に引かれて轟竜の翼の上にのしかかる。骨がへし折れる音が響くが、構わずに嘴を持ち上げ、若干いびつに変形していた頭蓋骨へと振り下ろす。何度も何度も。翼に乗せていた足が轟竜の痙攣が完全に消えるまで振り下ろし続けた。

 

 

(はっ)

 

意識を取り戻した俺がまず目にしたのは、首から上が原型をとどめていない轟竜の死体だった。あかん。スプラッターや…

出発前からえらい目にあってしまった。とにかくもう行こう。俺は何も見てないしやってない。うん。足元の肉塊を少しだけ食べると、何事もなく飛び上がる。行先は…特に決めてないけど、あっちでいいや。

そんなわけで、東南の方に見える火山に向かって行くことにした。理由は特にない!

 

 

一直線に行くと砂漠の端を通り視界が悪くなるうえに飛びにくいので、現在は一旦東側に進路を取り、湖沿いに火山を目指して飛んでいる。火山の方へ向かわずにこのまま東に飛ぶと村が見えたりするのだが、この体じゃあやっぱり入れないよなぁ。

そんなことを思って空を飛んでいたのだが、どうにも地上の方が騒がしい。不審に思って眼下を見下ろすと、

 

(な、なんじゃこりゃ!)

 

俺の巣があった方から村の方へ向かってランポスの大群が移動していた。その数は優に100を超えていて、中にはドスランポスであろうひときわ大きなランポスも何体か見受けられる。群れ全体が何かから逃げるかのように一斉に動いていた。

考えられる理由としては、最近の大型モンスターの森丘への異常進出だろうか?それに対して今の俺のように森丘を去り新天地を探しているのだろう。しかし、この先には村がある。いくらランポスの一匹一匹が弱かろうとこの大群に襲われればあの小さな村はひとたまりもないだろう。

 

(うーん、どうするべきかなぁ?)

 

かといって、あの数だ。いくら俺が飛竜種で彼らが鳥竜種だろうと、下手に突っ込めば飲み込まれるのは俺だ。容易に突っ込むことはできない。

見て見ぬふりをして去ることもできなくはないだろうが、あの村から来たのであろうハンターたちを見捨てるのも寝覚めが悪い。このランポスたちが絶対に村に行くというわけではないだろうが、行く可能性があるのならばできる範囲でどうにかしてやりたい。

さて…と言うか、普通に空からブレス連打で何とかならないかな?こう、絨毯爆撃みたいにさ。あいつらの攻撃ここまで届かないだろうし。

 

(やってみようか…)

 

そんなわけで、ファイアー。地上にいくつかの火柱を上げた。が、問題発生。と言うか、普通に考えたらわかりそうなものだったが、突然の攻撃を受けたランポスの群れは混乱を起こし、群れの一部が方々に散っていってしまった。

 

(あー…どうしようか?)

 

大問題だがとりあえず、群れ全体の統率は乱れた。先頭を走るランポスを踏みつぶしながら着地。むろん減速などしないので、押しつぶされたランポスはその身を弾けさせて絶命した。後続のランポスへと咆哮をあげ威嚇する。

ランポスの群れは一瞬止まりかけたが、後続に押し出されるように再び向かってくる。先頭のランポスをくちばしで弾き飛ばし、そのまま体を回転させて尻尾を後続へと打ち付ける。取りつかれる前に飛び上がってブレスを吐き少し下がって今度はこちらから突撃を行う。俺の体格はランポスの優に倍はあるので、次々と跳ね飛ばす。ある程度進むと、再び飛んで先頭に戻る。何度も繰り返し、進行方向を変えた奴は無視する。何度かかみつかれたが、思ったほどの傷はできなかった。というか、鱗で弾けた。

少しずつランポスたちの進行方向が南北に分かれていく。途中ドスランポスを轢き殺してからはそれが一層顕著になった。その後も向かってくる奴だけを相手にし続け、空の月から見るに1時間ほどだろうか?ようやくすべてのランポスが逃げて行った。周りには数十匹のランポスの死体が散乱している。

なんというかすごい疲れた。とにかく、こんだけ散らせば村のハンターたちで容易に対応できるだろう。いつの間にかだいぶん北よりに来ているし、今日は沼地で眠ろう。明日こそ火山に行こう。

と、飛び上がり付近の開けた場所を探していると、突然俺の視界が真っ白に染まった。

同時に衝撃が駆け抜け、俺の意識は一瞬にして消え、そのまま落下していった。

 

 

 

 

古龍観測隊隊員

 

善性イャンクックが巣を離れた。うん。轟竜を瞬殺したとか見てないし知らない。

ランポスの大群を蹴散らしたとかなかったし、落雷に打たれて落ちたくせに死んでないとかあるわけがない。

真面目な話、善性イャンクックを打った雷はおそらく自然現象じゃあない。雨は確かに降っていたけど、雷を伴うような雲じゃあなかったはずだ。それに雷が落ちる前に一瞬地上に見えた白い光…ああ、まだまだ厄介ごとは続きそうだ。今日も胃薬が旨い。

 

 

 

ギルド本部への通達

 

善性イャンクックが巣を離れました。ついでに、下位相当の轟竜を殺してました。

有給申請通ったんで明日から暫くお休みします。

 

 

ギルドポッケ支部への通達

 

休むんなら善性イャンクックがどこに新しい巣を作ったか確認してからにしてくださいね。

下位の轟竜…今季の森丘はどうなってるんでしょうね?古龍観測所にも詳しく調べるように依頼をしておきます。




次は未定。ずっと放置していたにもかかわらず感想をいくつもいただきありがとうございます。なんか感覚がおかしいので変なところもあるとは思いますが、次もいつか更新できるように頑張ります。

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