呉と魏の戦が始まろうとしていた。
しかし、魏の大群の前に一人の赤色の髪の毛の少女が現れた・・・恋だ。
恋は悲しみに満ちており、心がここに無いような虚ろな目をしている。しかし、その肉体からは圧倒的な気を放っており、一般の兵達には、目の前の少女はすでに何倍も大きく、まるで目の前に山が現れたように見えていた。
そして魏の大群はいつの間に止まっていた。誰もが足を止めてしまっていたのだ。
その異変をいち早く気付いて、恋の元に一人駆けていた霞が、恋の元にたどり着き声をかけた。
「恋、どないしたん?」
「なぜ・・・殺した」
「誰か呉のお仲間になった人でも、殺されたん?戦やし、しゃーないで?」
「・・・そんなこと・・・関係ない!」
恋がそういうとそのまま霞を攻撃した、あまりにも速い攻撃だったが、あれから毎日、鍛えに鍛えなおした霞はその事に気付き防御をしようとした、だが・・まったく間に合わず恋は霞を一撃で霞の意識を刈り取って、気絶さした。
そして恋が吼える!その声は恐ろしさもあり、声の音量もすごく大きく、獣じみた声であった、その声に兵士達は体から汗が噴出し、怖くて逃げ出したかった。
しかし、逃げるもなにも、恋が吼えたあとすぐに斬撃波を狂ったように繰り出した。それはもう自分がどうなろうが関係ないといわんばかりに繰り出した。
3発討っただけで立てない位、疲れていた恋だが、今は我に我を忘れており、意識がなくなるまで繰り出した・・その数10発!
そして恋は、10発斬撃波を使ったときには意識が無く、その場に崩れ落ちた。
そして・・・斬撃波を攻撃された魏の兵はたまったものではない、あの1発でも恐ろしいのが10発も打ち込まれたのだ。
100万いたのだが、ざっと見た限り6割、7割は死んでおり、血の海が出来ていた。
その光景に魏の兵士は恐ろしくなり、泣き出す者、逃げ出す者、狂う者がいたが、兵士の1割、役10万の兵は死をもとより覚悟しており、目には闘志がもえていた。
その10万の兵こそ魏の精兵中の精兵、覚悟を決めた北郷一刀、やられ、二度と恥をかかないと決めた華淋、そして魏の武将達で鍛えた兵だった。
兵士の屍の下から、斬撃波を避けた武将達がでてきた。そして、倒れた恋の元に駆けていき、そのまま恋を捕まえ、霞を助けていった。
恋をすぐ殺すかどうかの話しになったが、桃香が止めた。
「華淋さん、もう必要以上じゃない殺しはしないって約束してくれたじゃないですか」
「甘いのよ、桃香、呂布一人にこれだけの兵が殺されたのよ?もし起きて、またやられたらもう勝てないわ」
「きっと、わけがあるのですよ」
「わけがあろうが無かろうが、脅威でしかないのよ」
「華淋さん!私に任せて下さい」
「失敗したら皆死ぬのよ?貴方が守った元蜀の人たちも!仲間も!」
「わかってます!だけど任せて下さい!」
「華淋、任せたらどうだ?もし何かあったら・・・最後まで俺は華淋のそばにいて命果てるまで守るよ」
「一刀・・・貴方ほどの腕じゃ守られるまでもないけどね、期待しておくわ」
一刀の言葉が、華淋は凄くうれしかった。
「はぁ・・・わかったわ、桃香任せるわ」
「華淋さん!ありがとうございます!」
桃香は華淋に頭を下げ、恋の元に向かった。
華淋は桃香が去って行くのを目で追った後、これからどうするかを考える。
「桂花、稟残ってる兵を集めなさい、怪我をしているものにはすぐに手当てを」
「「はっ!」」
二人とも兵に指示をだし作業をこなす、全ての作業が終わったのは日が暮れる頃だった。
夜になり呉の様子を見に行っていた斥侯から報告が入った。呉は後2日で今華淋達がいる所まで着くという話しだった。
「兵達はどうだったの?」
「生き残った兵は35万、戦える兵が25万です」
「そう、死んだ兵は?」
「穴を掘り埋めました」
「そう・・・霞と呂布はどうなったか聞いている?」
「二人ともまだ目を覚まさないようです」
「なら呂布は桃香に任せくとして、霞は治療に専念させて!さて、これからどうするか」
「華淋さま、兵の数的には互角ですが、新鋭隊10万以外はまだ恐怖が抜けておりません。一度城に戻るのも手かと」
「そう、稟はどうかしら?」
「はっ!甘寧、周泰みたいに呉の他の武将もあれほどの強さだと考えた場合引くのが最善かと」
「たしかにやっかいだわね・・朱里はどうかしら?」
「同盟を結んで天下2分で行くのが良いかと思いますが、呂布さん見たいに話しが通じないかもしれないですね」
「話しが通じたとしてもそれはできないわ」
「そういうと思いましたので、良い案があります」
「なにかしら」
「実は星さん、蒲公英ちゃん、桔梗さん、焔耶さん、公孫賛さんが兵を引き連れて来てくれる事になってます」
「私の知らないところで、何をしようとしてたのかしら?」
「何もしようとしていません、呉の前の話を聞く限りと斥侯を行かせ集めた情報から100万ではもしかして勝てないと思い、星さん達に頼んで兵を集めました」
「今はとがめないでおくわ、どれ位の兵が用意できたの?」
「報告では25万、後星さん達が戦ってくれるなら、相手の武将も止めれる可能性も高くなりましゅ・・あう」
「ふふ、よくやったわ!そして何時来るのかしら?」
「はわわ、えっと、2-3日かと思います」
「ここにいてはぎりぎりね・・・一度城まで引くぞ」
「「はっ!」」
稟と桂花が指示を出しに行った。
「そういえば、一刀は?」
「北郷さんは兵士の手当てを手伝ってくれてます」
「そう・・・少し休むわ」
「はい」
華淋はそういうと、自室に戻っていった。
魏がこれからの事を決めた頃、呉では斥侯から報告をうけていた、恋が魏の兵士を一人で大半倒した事と、恋がそこから行方不明で捕まったのか死んだのかわからないという事だった。
恋が魏の軍を大半倒してくれた事を聞いて、今が攻め時と考えた呉は進むペースをあげるのであった。
そして次の日から負傷兵を連れながら移動する魏、ペースを上げて追いかける呉、ペースを上げた事により魏が城に向かって移動しているとはいえ遅いので、城に着く前に魏に追いつかれそうだった。
そして追いつかれそうなのはあの日から3日目の出来事だった。
「くっ、追いつかれそうね」
「華淋さま、私にお任せを!」
そう言うのは華淋の右腕春蘭だった。
「待て、春蘭は霞の様子を見てきて、大丈夫そうなら連れてきなさい!」
「はっ!」
「このままじゃすぐ追いつかれるわね、朱里!趙雲達はまだかしら?」
「はわわ・・・わ、わかりません。あれ以来連絡が来ていません」
「そう・・仕方ないわね。桂花、準備は?」
「はっ!準備を開始してます」
「じゃあ、俺も行って来るよ!」
「一刀!貴方はここで待機よ」
「あれをやるんでしょ?それ位なら俺も手伝えるし、使えるよ」
「貴方はここに居て」
一刀は華淋がこの前のこともあり、怖いのかなと思い素直に了承した。
そして両軍ともに慌しくなってきた。
「華淋さま!霞を連れてきました」
「霞、傷は大丈夫かしら?」
「大丈夫や、所で恋はどないしたん?」
「桃香の所にいるわ」
「ほな、一度行ってくるわ」
「わかったわ、すぐ戦になるから準備しておきなさい」
「了解やー」
霞が去って行ってからすぐ呉が追いついた!呉は魏が見える位置になると止まり、雪蓮が出てきた。
どうやら舌戦をするつもりらしい。
「華淋、勝てそうか?」
「勝てそうか、じゃないわ。勝つのよ」
「そうだな・・・」
「そうよ。・・・・行ってくるわ、一刀」
「応。いや、王・・・行ってこい!」
「ふふ」
そして華淋も雪蓮の元に歩み出る。
「やっとでてきたわね、兵士達同様、疲労しているのかしら?」
「えぇ、何処かの赤髪の少女のせいでね」
「貴方が少女って言うと・・ぷぷぷ・・」
「孫策、貴方はそんな事を言いに来たのかしら?」
「そうね、ところで恋はそちらにお邪魔しているのかしら?」
「今降伏するなら、貴方達も呂布と同じ道を歩まなくて済むわよ?」
「そういうことね・・・そうやってねねちゃんも貴方達が!」
「ねねちゃんってのは誰の話?」
「お前達が私を狙ってそれが外れて、恋の可愛い軍師、陳宮を殺したんでしょうが!?」
「私達はそんな事してないわ!」
「していても、していなくても、一緒だわ!ここで決着をつける!」
「話しを聞きなさい!私達はそんな卑怯な事なんてしないわ!」
「話しはそれだけだわ!後は貴方が敗者という立場で聞いてあげるわ!」
「くっ、いいわ、私が勝者の立場で話すからそのときは話しを聞きなさい!」
二人とも自軍に戻り号令をかける。
雪蓮は兵に号令をかける。
「呉の将兵よ! 我が盟友たちよ!」
「我らは父祖の代より受け継いできたこの土地を、袁術の手より取り返した!」
「だが!」
「今、愚かにもこの地を欲し、無法にもまた大群をもって押し寄せてきている敵が居る!」
「敵は卑劣にも、我が身を消し去らんと刺客を放ち、この身に毒矢を放とうとした!」
「しかし!その毒矢を自分の身を犠牲にして守ってくれたものがいる!」
「助けられた我が身、今ここに!仇を討つときがきた!」
「勇敢なる呉の将兵よ! その猛き心を! その誇り高き振る舞いを! その勇敢なる姿を我に示せ!」
「命をかえりみず、ここに道を作ってくれた呂布のためにも!」
「呉の将兵よ! 我が友よ! 愛すべき仲間よ! 愛しき民よ!」
「孫伯符、ここに大号令を発す!」
「天に向かって叫べ! 心の奥底より叫べ! 己の誇りを胸に叫べ!」
「我らが地を守り、仇を討ち、平定を手に入れるのだ!総員、突撃!」
そして華淋も兵に向かって号令をかけていた。
「聞けぃ! 魏武の精鋭たちよ!」
「長く苦しいこの戦いも、いよいよ最後の一戦となった!」
「黄巾の乱より始まった大陸の混乱も、半董卓連合、そして官渡から連綿と続くこの戦いによって、いよいよ収束を見る!」
「全ての戦いを思い出せ! その記憶、その痛みと苦しみ、経験と勇気の全てを、この一戦に叩き付けるのだ!」
「魏武の王としてではなく、この国を愛する者として皆に願う! 勝て! そして素晴らしき未来を手に入れるのだ!」
「大陸の繁栄のために・・総員、突撃ぃぃぃ!」
両軍が号令の元、突撃を始めた。
呉は兵士を率いて雪蓮を先頭に、両側に明命、思春、そしてその後方から祭が率いる軍が突撃をする。
魏は先頭に愛紗、春蘭、霞、鈴々が並びそのすぐ後方に兵を率いて、季衣、流琉、その後方から凪、春蘭、紫苑が兵士を率いて続く。
雪蓮と愛紗、春蘭、霞、鈴々がぶつかろうとした瞬間横から兵を引き連れた軍が現れた。
星、蒲公英、桔梗、焔耶、公孫賛がタイミングよく来たのだった。
それでもすでにそんな事では両軍は止まらない、そして打ち合いが始まる。
雪蓮を愛紗、春蘭、霞、鈴々でぶつかり合った!雪蓮がこの4人を一人で打ち破る・・・事が出来ず、打ち合っていたところに思春、明命が応援に入り後ろの兵たちも押し寄せる。
しかし、季衣、流琉、兵達も相手を襲う。
そして、この戦いを見てる影があった。
「お兄さんはまだもどらないのですかー」
「無とか言ったっけ?私達をここに連れてきて何がしたいんだよ?」
「あわわ、愛紗さん達が曹操さん達と一緒にいますよ」
「私達は桃香に会いに行って来るぞ!」
「でも、何処にいるかわかりません」
「風は待ってますので、行ってもかまいませんよー」
「じゃあ、遠慮なく」
そこに無が戻ってきた。
「いや、待っててって言ったじゃん!」
「おかえりなさいです~」
「お、やっと戻ってきたか、で私達をここに連れてきた理由は?」
「あわわ・・・」
「ただいま風、連れてきた理由?特にないけど!」
「じゃあ、待てと言った理由は!?」
「なんとなく」
「☆△■○☆▲○■★×」
「なんていってるのでしょー?」
「さあ?」
「うっせーお前らな!じゃあ私は桃香の所に行くぞ!」
「え、行くの?」
「じゃあ用があるのか?」
「ないけど」
「おい!じゃあ言ってもいいだろ!?」
「そうだね!雛里ちゃんはどうする?」
「あわわわわ・・わ、私も桃香さんに会いたいです」
「そっかー、じゃあ気をつけて行きなよ」
「雛里と私と態度が違わなくないか?」
「しょうがないじゃん、雛里ちゃんとおね翠さんじゃ」
「おねってなんだ!しかもまた、勝手に真名で呼ぶな!」
そう言うと翠が無を切りかかる。
もちろん簡単に無は止める。
「つい、からかうのが楽しくて」
「そんなことするなよー!で、武器を放してくれないか?」
「あ、ごめんごめん」
放したら、そのまま無を突こうとした。
なんなくまた無が止める。
「何度やっても無駄なんだから、諦めなよー」
「真名でからかわれて、諦めれるかー!!」
「いいの?行かなくてさ」
「あわわ、無さんの言うとおり早く行かないと、戦場が凄い事になってますよ」
「くそ、また今度にしてやるー」
そういうと翠は雛里を抱え馬に乗り、走っていった。
「行ってしまいましたねー」
「そうだね、風はどちらが勝つと思う?」
「雪蓮さん、明命ちゃん、思春さんの強さも侮れませんが、このままだと曹操さんが勝つと思います」
「そっかー、そうかもしれないし、そうじゃないかもしれないね」
「お兄さんはどちらが勝つか、考えてないですか?」
「考えてないけど、雪蓮を舐めてはいけない」
「何かありますかー?」
「ふふ、どうだろうねー」
「むぅー、お兄さんが意地悪です」
「そんなこと無いって、でも曹操達の勢いは凄いね!雪蓮達じわじわと押されてるね」
「兵士の数の差と武将の数の差がでてますねー」
「このまま押し切れるといいね」
「それは、どういう意味ですかー」
そして雪蓮と華淋の戦いは続く。