魔法少女リリカルなのはStrikerS-King Seong clone of another-   作:炎狼

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はーいティアナが失敗するところですねー
ではどうぞー


失敗

 ある日の朝聖を含む隊長、副隊長の面々は部隊長室に集まっていた。室内は暗くなっており光を発しているのは大型モニタ唯一つだ。

 

 はやてはモニタの脇に立ち説明を始める。

 

「今回の任務はホテル・アグスタで行われるオークションの警備と人員警護をすることになっとる。まぁその理由は……」

 

「取引許可の出ているロストロギアがいくつも出展されるので、それをレリックと誤認したガジェットが現れた時に撃退するのが理由ですー」

 

 はやてが途中まで言ったところを代弁するかのようにリインが続ける。

 

「ホテルオークションってことは結構でかいよな?となると警備以外にも取引不許可のロストロギアが密輸入されないようなこともかねてんのか?」

 

 聖が腕を組みながら聞くとはやては頷くと話を続ける。

 

「聖君の言うとおりそういったものの警備もするで。シグナムとヴィータは私達が入る前日から入ってもらうことになっとるけどええか?」

 

 その問いにシグナムとヴィータは静かに頷いた。はやては2人がうなずいたのを確認すると今度は聖となのは・フェイトに視線を戻すと三人に告げた。

 

「まぁそこの三人と私には少し趣向を変えたことをするけどな~」

 

「「「?」」」

 

 何かをたくらんだような顔をするはやてに聖たちは疑問を浮かべるしかなかった。

 

 

 

 そして任務当日。

 

 聖は1人苦虫を噛み潰したような顔でホテル内にいた。なぜそんな顔をしているかというとその格好を見れば一目瞭然だろう。

 

「……なんで俺がこんな格好……」

 

〈いいじゃないですか。格好いいですよ?まさに馬子にも衣装ですねwww〉

 

「お前今絶対笑ったよね?」

 

 聖の問いに安綱はだんまりを決め込む。実際のところ現在の聖の服装は所謂タキシードとなっている。しかしネクタイの方は聖が拒否をしたのでネクタイはせず、ボタンをはずし少しだけはだけさせるというラフな格好になっているものの聖はげんなりとしていた。

 

 すると聖は不意に後ろから声をかけられる。

 

「おー聖君も着替えたなー。なんやえらいかっこよくなっとるやないか」

 

 聖が振り返るとそこにいたのはドレスに身を包んだなのはたちだった。

 

 その姿に聖も思わず息を呑んでしまった。するとその視線に気付いたのかはやてがにやりと笑う。

 

「んー?なに見惚れとるんや聖君。まぁこんな美少女三人がそろえばそんなことになるのも無理ないかもしれへんな~」

 

「うっせ。でもまぁ確かに見惚れたのは事実だなその……三人とも綺麗だったし」

 

 その言葉を聞いた三人の顔が一気に紅く染まった。特にフェイトは三人の中で一番真っ赤だった。

 

「と、とりあえず会場に行こうか?」

 

 場の空気に耐えられなくなったのかなのはがおずおずと言うと、三人もぎこちなく頷き会場に向かい歩き出した。

 

 

 

 会場に着くと聖たちは三方に別れた。分け方ははやてとフェイトが1人で行動。なのはと聖が2人での行動となった。そのときフェイトが若干さびしそうな顔をしたが聖はそれに気付かなかった。

 

 なのはと共に会場の中を歩いている聖は先を進むなのはに声をかける。

 

「最近大丈夫かなのは?」

 

「え?」

 

 聖の問いになのははおもわず立ち止まってしまった。

 

「いや最近のお前見てると結構無理してる感じがするなーって思っただけでさ。……まぁ勘違いかもしれねーけどさ」

 

「……大丈夫だよ聖君。ホラ!私体丈夫だし!!」

 

「ならいいけどさ。辛くなったら俺じゃなくても他のやつに相談するなりしろよ?」

 

 それを聞いたなのははうん、とだけ頷くと今度は逆に聖に聞いた。

 

「ねぇ聖君?さっき私達の事綺麗だって言ったけど本当に?」

 

「いきなりなんだよ」

 

「いーから答えてー」

 

 若干すね気味の声を出すなのはに聖は溜息をつく。

 

「本当だよ。つーか嘘言ってどうすんだよ」

 

「そ、そうだよね。ごめんなに言ってるんだろ私……」

 

「やっぱり少し疲れてんじゃねーの?どれ……」

 

 聖は言うとなのはのおでこに右の手のひらを添える。

 

「ひゃうっ!?」

 

 それに驚いたなのはも素っ頓狂な声を上げるが聖はそれを気にした風もなく、なのはのおでこを触り熱を測る。

 

「んーまぁ少し熱いけど熱はなさそうだな……どした?」

 

「な、なんでもないよ……ちょっとお手洗いに行って来るから待ってて」

 

 そうつげるとなのは少し足早に会場から出て行った。後姿を見送る聖に安綱が聞こえるか否かの声でつぶやいた。

 

〈まったく……。女性に対してあんなことをするなんて聖様も鈍感ですねー……〉

 

「ん?なんか言ったか安綱?」

 

〈いいえ何も〉

 

 安綱がそういうと聖も何事もなかったかのように壁に背中を預けるがその瞬間言い知れぬ悪寒を感じた。

 

 その悪寒はなのはが戻ってくるまで続いたが結局なんなのかはわからずじまいだった。

 

 

 

 聖たちがホテル内でそんなことをしている最中ティアナは1人考え込んでいた。内容はもちろん六課のメンバー編成についてだ。 

 

 ……六課の編成は明らかに異常だ。隊長格はみんなオーバーSランクでしかも副隊長じゃないシャマル先生たちもニアSランク。それにロングアーチスタッフもルーキー揃い。

 

 先ほどまでスバルと念話で話をして気にしてはいない素振りをしていたもののやはり気になっているらしい。

 

 ……エリオやキャロだってあの歳でBランクを取得してるし、しかもキャロは竜召喚というレアスキルもある。エリオだってフェイトさんと同じ魔力変化をもっているし――――。

 

 そこでティアナは立ち止まり考え込む。

 

 ……一番気になるのはあの人。

 

 彼女の脳裏によぎるのは聖の姿だった。

 

 ……なのはさん達と同じ世界出身でしかも元本局勤めの執務官、白雲聖さん。ランクははやて部隊長と同じSSランクで近接戦闘ではあのシグナム副隊長と同格。

 

「――――やっぱりこの部隊で凡人は私だけ」

 

 1人つぶやくがティアナはすぐに真剣な面持ちになり心の中で決めた。

 

 ……だったら凡人の私はここでしっかり力を見せないと。認めてもらえるように!

 

 ティアナは1人固く決意するのであった。

 

 

 

 

 しかしそれから少し経ちティアナたちフォワードにシャマルおよびロングアーチから連絡が入った。どうやらガジェットが侵入したようである。

 

 それを聞いた聖ははやてに連絡を入れる。

 

「俺はどうするはやて?」

 

「ん。とりあえず中は私達が固めとれば何とかなる。聖君は新人達フォローかガジェットの殲滅にまわってくれるか?シグナムとヴィータ、それにザフィーラもおるから大丈夫やとは思うけど」

 

「了解だ。……つーわけでなのは悪い。ちょっくら行って来る」

 

「うん。気をつけてね聖君」

 

 なのはの言葉を聞き頷くと聖は勢いよく会場から飛び出し外に向かった。途中走りながらバリアジャケットを纏って外に出ると既に新人達は集まっていた。

 

「全員集まってるな?」

 

「「「「はい!」」」」

 

「よし。とりあえず遠巻きのガジェットはシグナムさんとヴィータが何とかしてくれてる。お前らは防御の要だ、しっかり守れよ」

 

 聖が四人を一瞥すると四人とも頷いた。

 

「じゃあ俺も前に出るから。ピンチになったら遠慮なく呼べよ?……それとティアナ!」

 

 ティアナはその声に背筋を伸ばす。聖はティアナの肩に手を置き静かに告げた。

 

「無理はするなよ?無理だと判断したらみんなの力を借りろいいな?」

 

「……はい」

 

 その声を聞いた聖は一気に飛び上がり戦闘が行われているところへ向かった。

 

 

 

 シグナムたちが戦っている場所へ向かう途中モニタを確認していた聖は急に止まった。

 

 ……妙だ。さっきからガジェットたちの動きがやけに機敏になった。まさか!

 

 聖はあたりを見回すとある一点を見つめる。

 

「ロングアーチ!聞こえるか?こちらクラウド1だ」

 

「はい!なんでしょう?」

 

 聖の連絡に答えたのはシャーリーだった。

 

「ちょっと気になることがあるから少し外れるけどいいか?」

 

「え?気になることって?」

 

「さっきから妙にガジェットの動きがよくなってるよな。それの元凶がわかったかもしれない」

 

 そう伝えるとシャーリーが息を呑むことがモニタ越しにわかった。

 

「八神部隊長に伝えた方が?」

 

「いや俺1人で行く。他のやつらのフォロー頼む。主にティアナのな」

 

 聖は見つめていた方向に飛び立っていった。

 

 

 

 

「ぬっ!?気付かれたか……随分と勘の鋭いものがいるようだな」

 

 聖が飛んですぐのこと聖のとんだ方向にいた男ゼストは険しい表情を浮かべた。その隣にいた少女ルーテシアも感じ取ったのか身構える。

 

 その瞬間だった。

 

 聖が空から降ってきたのだ。いや降って来たのではなく急降下してきたという方が正しいだろう。聖はそのままのスピードを保ちながらゼストに切りかかる。

 

 ゼストも焦ることなく冷静に対処する。初撃を受け止められた聖は後ろに後退する。

 

「今の止めるか……アンタ何者だよ」

 

「名乗るべき名などない」

 

 ゼストは静かに答えると薙刀型のデバイスを構える。

 

 聖もそれに答えるように安綱を構えなおす。

 

「こちらも急いでいる身なのでな手早く終わらせてもらうぞ!」

 

「はっ!んなこたぁこっちだっていっしょだってーの!!」

 

 ゼストが上段から切りかかると、聖はそれを安綱で受け止めるとその衝撃を流し、またも切りかかるが、ゼストはそれを後退しよける。

 

 聖はさらに追撃を重ねるべく一気に踏み込みを入れるとゼストの懐に潜り込む。

 

 ……この男ここでさらに踏み込めるとは!

 

 ゼストは内心で聖のことを賞賛した。だが次の瞬間彼に襲ったのは鈍痛だった。

 

「ぐっ!?」

 

 衝撃により後ろに投げ飛ばされるゼストに対し聖は追撃を入れなかった。

 

「降参した方がいいと思うぜ?いまなら弁解の余地もあるしな」

 

「フンッ。私に弁解など必要ない」

 

「そうかよ。だったら気絶させてでも連れてくぜ。アンタもあの子もな」

 

 追撃を入れるべく聖が安綱を納刀し抜刀の姿勢に入った時だった。シャーリーから緊急の連絡が入った。

 

「白雲執務官!今すぐ防衛ラインまで後退してください!!」

 

「どうした!?」

 

「新人達の防衛ラインがそろそろきつくなってきました!今からじゃあシグナム副隊長もヴィータ副隊長も間に合いません!そこから一番早くいけるのは白雲執務官だけなんです!おねがいします」

 

 モニタの映像を見ると確かにスバルたちが押され気味なのがわかった。聖がそれに眉をひそめているとゼストが聖に告げた。

 

「行ったほうがいいのではないか?仲間が危険なのだろう?」

 

「……今回は見逃しますが次は捕まえるぜ」

 

「望むところだ」

 

 ゼストが言うが早いか聖は防衛ラインに全力で飛んでいった。聖が飛んでいったのを確認するとゼストはルーテシアに聞いた。

 

「どうだルーテシア?」

 

「……ドクターの探し物いまからガリューが持って来るって……ゼストは大丈夫?」

 

「心配はいらんそれほど大きな傷でもない」

 

 ゼストの答えにルーテシアは静かに頷いた。

 

 

 

 

 ゼストたちの下から飛び立った聖は全力で空中を飛んでいた。

 

「シャーリー!!状況は!?」

 

「防衛ラインがちゃんと持ちこたえてますけどってティアナ!?」

 

「今度はどうした!?」

 

 シャーリーの焦る声が聞こえると聖が驚きの声を上げる。

 

「いえティアナが4発ロードをしようとしてるみたいで……」

 

「4発ロードだぁ!?アイツ本当にできんのか?」

 

 聖の声にシャーリーは声を詰まらせる。状況を知った聖も眉をひそめるとティアナに通信を入れた。

 

「ティアナ!聞こえるか!?4発ロードはやめろ!」

 

 だがティアナは聖に大声で答えた。

 

「大丈夫です!絶対当てますから!!」

 

「当てる当てないの問題じゃない!もしそれでスバルがけがしたらどうすんだよ」

 

 何とかティアナを止めようとする聖だが遅かった。すでに通信は切れティアナと話すことはできなくなってしまったからだ。

 

「ちっ!!あの馬鹿!」

 

 聖が毒づいた瞬間だったティアナの魔力光であるオレンジの弾が次々にガジェットを撃墜していった。だが、その中の一つがよけられスバルに迫る。

 

「くそ!!……しかたねぇ、安綱!!フォルムセカンド!」

 

〈了解〉

 

 聖の言葉と共に彼の体が閃光に包まれたかと思うとその光は一瞬にして消えた。

 

 そしてティアナの打ち出した弾がスバルに直撃する瞬間。一瞬にして現れた聖がスバルと弾の間に割って入りそれをガジェットに向けて打ち返した。ガジェットもそれに対応する術がなく一撃で撃墜される。

 

 後に残ったのは異様な静けさと機械の燃える匂いだけだった。

 

 そしてティアナはただ呆然と立ち尽くすのみだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちなみに……聖が感じた悪寒はフェイトが聖を睨んでいたかららしい。(はやて談)




以上です

最後の方聖のセカンドフォルムが出ましたねー
セカンドフォルムについては次のお話でやります。

感想、ダメだし、アドバイスお待ちしております。

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