魔法少女リリカルなのはStrikerS-King Seong clone of another-   作:炎狼

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今日も暑いですねー

ではどうぞー


出撃

 新人達も訓練に慣れ始めた頃聖ははやてに呼ばれ、部隊長室に顔を出していた。そこにいたのはフェイトとはやてだった。

 

「急に呼び出して、なんか急な用事か?」

 

 ソファに座りながら聖が聞くとはやてが頷いた。

 

「実はこれから私は聖王教会に行くんやけど聖君にも付いて来てほしいんよ」

 

「……聖王教会」

 

 その言葉を発したかと思うと聖が黙った。急に黙った聖を心配したのかフェイトが肩を少し叩いた。

 

「どうしたの聖?」

 

 叩かれたことに我を取り戻したのか聖ははっとした様子ではやてたちに向き直った。

 

「悪い。昨日少し遅くまで本読んでてな寝不足だった。それで何で俺が聖王教会に?」

 

「そらまぁカリムに新しい隊長クラスのお披露目と言うかそんな感じやな」

 

 はやての言葉にフェイトが補足を入れる。

 

「それで私が車を出すことになったんだ」

 

「なるほど。じゃあ俺はバイクで行けば言い訳ね」

 

 そうフェイトの車は二人乗りなのだだからどうがんばっても聖が入ることは出来ない。だが聖は既にバイク免許を取得しているため所持しているバイクをハンガーに入れておいたのだ。

 

「ほな決まったことやしいこか」

 

 はやてが立ち上がると同時に二人も立ち上がりハンガーへと足を運んだ。

 

 

 

「ほえーなかなかかっこええバイク乗っとるんやなぁ聖君。それにおおきいな~」

 

 ハンガーに着いたはやての目の前においてあるのは灰色を基調とした普通見かけるバイクより少し大きめのバイクだった。

 

「大型バイクだからな。結構スピード出るんだぜコイツ」

 

「でも、法定速度は守らないとだよ聖?」

 

「へいへい」

 

 フェイトに釘を刺されげんなりとした聖だったが、それを無視しはやてが続けた。

 

「向かうのは6番ポートやからな」

 

「りょーかい」

 

 そういうと聖はバイクに乗り込みキーを入れる部分に安綱を差し込んだ。安綱はデバイスとしてではなく聖のバイクのキーとしても役に立つのだ。

 

 シャッターが上がりフェイトはやて組。そして聖の順でハンガーを出て行った。

 

 出て行ってすぐのこと訓練が終わり六課の隊舎に入ろうとしていた新人達となのはがフェイトの車に気付き声をかけた。すると後ろに止まった聖にも皆が声をかけてきた。その中でもスバルが一番最初に声をかけてきた。

 

「これ聖隊長のバイクなんですか!?」

 

「ああ」

 

 それに続くようにエリオとキャロが言う。

 

「かっこいいー!」

 

「すっごくおっきいですね!」

 

 新人達に感激の声を上げられ聖はふふんと鼻高々げだがそこでふとティアナに声をかけた。

 

「今度乗ってみるかティアナ?」

 

「え!?」

 

 いきなり声をかけられ驚くティアナだったがそれを聖はニマニマとした様子で眺めた。

 

「バイク好きなんだろ?」

 

 聖が言うとそれに反応したのはティアナではなくスバルの方だった。

 

「はい!ティアはバイク好きですよ!!」

 

「ちょっちょっとスバル!何勝手なこと――――」

 

「えー!別にいいじゃん教えたってー」

 

「うっさい!勝手に何でもかんでも暴露すんなって言ってんのよ!」

 

 ティアナがスバルの顔を引っ張りながら抗議の声を上げる。

 

「まぁ気が向いたらこいや。手が空いてたら乗らせてやるよ。はやてそろそろ行かないとやばくないか?」

 

 聖がはやてに言うとはやてとフェイトはそれぞれ変える時間を告げると車を発進させた。聖も続くためエンジンをふかし始めたところでなのはが声をかけてきた。

 

「聖君!帰ってきたら話があるから私のところに来てね!」

 

「りょーかい!じゃあ行って来るわー新人達ちゃんとなのはの言うこと聞いてがんばれよー」

 

 そういい残すと聖は先に行ったはやてたちを追いかけるため多少法定速度を無視して二人を追いかけた。

 

 

 

 はやてたちに追いついたあたりでフェイトから通信が入った。

 

「なんだよフェイト」

 

 聖が軽めに答えると回線から飛んできたのはフェイトの怒声だった。

 

「なんだよじゃないよ!!まったくさっき法定速度を無視しないで運転しないようにって言ったよね!?なのになんでもう破ってるの!!」

 

「いや~……それはまぁそうしねぇとお前らに追いつけねーし?」

 

「そうなら連絡入れるとかあったでしょ!何で危ないことするのまったくもう!」

 

 フェイトの怒声を若干汗をかきながら聞いていた聖だったが通信の方からはやての笑い声が聞こえたのではやてに話を振った。

 

「おい。なに人が起こられてんのに大爆笑してんだはやて」

 

「ハハハっ!あーごめんなつい笑ってしもうた。でも聖君だってフェイトちゃんの言うこときかへんから怒られるんやで?」

 

 痛いところを突かれ聖はため息をつく。まぁ確かにフェイトがいったことを無視し危険な高速走行をしたのは聖なので反論できないのは当然だが。

 

 だがそこでまたフェイトから通信が入った。

 

「聖!勝手に話をそらさないで!まだお説教は終わってないんだよ!!?」

 

「わかったわかった!!だからそんなでかい声出すな!」

 

 結局フェイトの説教は6番ポートに着くまで続いた。その間はやてはひたすら大爆笑だったが。

 

 

 

 聖王教会に着いたはやてと聖は渡された外套を頭からかぶると中に入っていた。中に入るとなにやら案内役のような人がやって来て二人を案内する。

 

 ふと聖がはやてに聞いた。

 

「なぁはやてなんでこんな外套着るんだ?」

 

「管理局の局員がこんなところうろついとったら変やろ?だからこういう風にしとるんよ」

 

 はやての返答に聖は頷くことで納得したようだ。すると目的の部屋に着いたのかはやてが立ち止まる。そしてはやてと聖はその扉を開けてもらい中に入っていった。

 

 中に入り二人を待っていたのは金髪を紫色のリボンで軽く結った修道服を着た女性だった。

 

「カリム久しぶりやねー」

 

「ええ、はやてもひさしぶり。……えっとじゃあそちらにいるのが」

 

 カリムと呼ばれた女性は聖の方に視線を向けた。

 

「うん。六課の新しいメンバーの1人でクロノ君の元部下の白雲聖君や」

 

 はやてが言うと聖も挨拶をする。

 

「機動六課所属の白雲聖執務官であります」

 

「フフっ。そう硬くならなくても大丈夫ですよ白雲執務官。いえ聖さん。私の名前はカリム・グラシアといいます。以後お見知りおきを」

 

 そういうとカリムは聖に手を差し伸べてきた。聖もそれに快く応じた。

 

「まぁ聖君のことはいったん置いといて……これからのことについて話そうかカリム」

 

「ええ。そうね」

 

 そして二人はこれからのことについて話し始めた。聖はというとさすがに六課の今後のことには口を出せる立場ではないので端の方でもらった紅茶をすすっていた。

 

 

 

 少し話し合いが行われたあたりで突如アラートが鳴り響いた。

 

「まさか!?おいはやて!!」

 

「わかってる!」

 

 聖がはやてに声をかけると同時にはやても六課にいるなのはや新人達そしてロングアーチに連絡を入れていた。

 

「はやて!俺も今から現場に向かう!悪いが帰りは1人で帰ってくれ!」

 

「大丈夫や私も今から帰るから!ほんなら聖君みんな頼むで!!」

 

 はやてが言うと同時に聖は部屋を飛び出し廊下に出ると一目散に屋上に駆け上がりバリアバリアジャケットに身を包み飛び上がった。

 

「安綱!現場までの時間は!?」

 

〈全力で飛べばおよそ15分で到着します〉

 

「上等!」

 

 安綱に確認した聖は一気に速度を上げた。その姿たるや彗星のようだった。

 

 

 

 現場到着まで残り数分となったところで聖はヴァイスに通信を開いた。

 

「ヴァイス!今どのあたりだ」

 

「今モノレールのケツが確認できた!あと1分ぐらいで追いつける!そしたら新人達をモノレールに降下させる」

 

「了解だ。こっちも今ヘリが確認できた今から援護に回る!」

 

「おう!頼んだ!」

 

 通信を切った聖はモノレールの上空を飛ぶガジェットⅡ型にスピードはそのままで突っ込むと通り抜けざまに三機を切り裂いた。

 

「次だ!!」

 

 言うと聖はまだ残っているガジェットを叩きに向かったところでなのはから通信が入る。

 

「聖君!私も今から向かうから」

 

「おう。よろしく頼むぜ!でも新人達をほっぽって大丈夫か?」

 

 聖が聞くとなのは静かに首を縦に振った。それを確認した聖も無言で頷く。

 

「じゃあ新人達が安全に行動できるようにさっさと制空権を奪っちまいますか!」

 

 向かってきたガジェットを切り裂きながら聖が言うとなのはもヘリから飛び出しバリアジャケットに身を包む。それと殆ど同じ時にフェイトがやって来て二人も聖と同じようにガジェットを撃墜していく。

 

 あらかたのガジェットを片付けたところで通信が入る。

 

「今から新人達を降下させるからな!」

 

 声の主はヴァイスだった。聖がそれに答えるとほぼ同時にまずスターズの二人が降下しそれに続いてライトニングの二人も降下を始めた。

 

 既に空にいるガジェットは聖、なのは、フェイトの三人が殲滅し制空権を奪取している為、残るはモノレールの中にいるガジェットⅠ型がメインになってくるだろう。ここからは新人達の戦いになる。

 

「大丈夫かー新人達?」

 

 なのはに通信で聞くがなのはから帰ってきたのは自信に満ちた答えだった。

 

「もちろん!みんなのデバイスだって新しくなったしね」

 

「ふーん。っとおいおい危なっかしいなスバルのやつは」

 

 聖の視線の先には勢いがつきすぎてモノレールから落ちそうになったもののウイングロードで何とか持ち直したスバルの姿があった。

 

「あのウイングロードはスバルのデバイスのマッハキャリバーが自己生成することができるんだよ。でも確かに今のは一瞬ヒヤッとしたねー……」

 

 なのはが説明するもその声には多少の不安も入り混じっていた。だがそのときロッグアーチから連絡が入った。

 

「ライトニング3と4!大型ガジェットと接敵しました!」

 

 その通信に皆がエリオとキャロがいる後部車両に目を向ける。

 

「エリオ!キャロ!!」

 

 フェイトが心配そうな声を上げるたそのときだった。後部車両の中からエリオが外にほおりだされたのだ。気を失っているのか動く気配がない。しかもその後に何を思ったのかキャロがモノレールから飛び降りたのだ。

 

 しかしそれを見てもなのはは動くことを見せない。先ほど心配そうな声を上げたフェイトも今はキャロそじっと見つめていた。

 

 二人に習うように聖も二人を見つめているとキャロを中心に大型の魔法陣が展開された。その形はベルカ式ともミッド式とも違う魔法陣だった。そしてその中から一体の巨大な白い竜が現れた。

 

「これが召喚魔法……」

 

 ロングアーチの誰かの声が聞こえた。

 

「じゃああれがキャロのとなりにいるフリードの真の姿ってことか?」

 

 聖がフェイトとなのはに聞くと二人は頷いた。さらにフェイトが付け加えた。

 

「キャロは古くからある召喚士一族の1人なんだ。でも力が強すぎて里を追われてしまったんだよ」

 

「それで施設にいたところをフェイトが引き取ったのか」

 

 聖が聞くとフェイトは「うん」と答える。エリオを救い出したキャロはフリードを駆り新型ガジェットのアームを破壊し、その隙を狙いエリオがキャロの援護を受け新型を破壊した。モノレールの中にあったレリックもスバルとティアナが回収し、初出撃は大成功となった。

 

 

 

 六課に戻った聖は六課の寮の前にいたなのはの元を訪れた。なのはは一人前に広がる海を見つめていた。

 

「よう。待ったかなのは?」

 

「ううん。待ってないよ。ごめんね呼び出しちゃって」

 

「いいさ。どうせ今日はもうやることもないし。それで話ってなんだ?」

 

 聖は買ってきたコーヒーをなのはに渡しながら聞いた。なのははそれを受け取ると一口に含んでから話し始めた。

 

「実は聖君に折り入って相談があるんだけど……。ティアナのことどう思ってる?」

 

「ティアナのこと?まぁ新人達の中だと一番状況判断能力が高くてスゲーと思うぜ?ただ――――」

 

「ただ?」

 

 言いよどんだ聖の顔色を確認するかのようになのはが覗き込んだ。

 

「――――たまに焦ってるって言うか後がなさそうな顔してる時があるなと思ってさ」

 

「やっぱり?」

 

「ああ。でもまぁ辛くなったら相談してくるだろうさ。それがなくてもスバルがいるし、お前だってついてんだから大丈夫だろ」

 

 安心させるように言うとなのはも少し気持が軽くなったのか先ほどまでの心配そうな顔から安堵の表情へ戻った。

 

「ありがとうね聖君相談にのってくれて」

 

「こちらこそ、でも何も俺じゃなくてもフェイトとかでもよかったんじゃねーか?」

 

 聖が聞くとなのはは首を横に振った。

 

「フェイトちゃんは多分遠慮しちゃって本当のことを言わないと思ったんだ。でも聖君だったらズバッて言ってくれそうな気がしたんだよ。それに個人的にお願いもあったしね」

 

 そういったなのはは少し悪戯っぽい笑みを見せながら聖に言った。

 

「個人的なお願い?」

 

 怪訝そうに聞くとなのはは聖のほうを見ながら少し顔を赤らめながら言った。

 

「えっとね……今度でいいんだけど一緒に模擬戦してもらえないかな?」

 

 その問いに聖は口に含んでいたコーヒーを盛大に吹き出した。咳ごむ聖の背中をなのはが動揺しながらさする。

 

 咳が止まると聖はなのはの方を見て言った。

 

「……まさかお前も戦闘好きだったとわな」

 

「え!?ち、違うよ!!聖君の力を私も直に見てみたくなっただけだもん!」

 

 ……それを戦闘好きって言うんじゃ。

 

「今何か失礼なことを思わなかった……?」

 

 なのはが光の灯っていない目で聖を見つめる。

 

「いーえ思ってませんよー。まぁ手が空いた時だな、近いうちにやろうぜ?」

 

 冷や汗をかきながらもなのはに提案するとなのはも納得したのか頷いた。そしてなのはは満足したのか手を振りながら寮に帰っていった。なのはの姿が消えたのを確認すると聖は大きくため息をついた。

 

「まったく。この部隊はバトルマニアしかいねーのかっての。まさかフェイトもそうじゃねーよな」

 

〈どうでしょうねー。もしかしたら申し込まれることもあるかもしれませんから覚悟を決めたおいた方がいいですよ聖様〉

 

「なんかお前若干声のトーン上がってね?面白がってね?」

 

〈いえいえ。そんなことはありませんよ。ところで聖様?バイク置いてきたまんまですけど?」

 

 安綱の言葉に聖が固まった。

 

「速く言えやーーーーーーーーーーー!!!」

 

 大声を出しながら聖は渋々バイクを取りに行った。

 

 

 

スカリエッティ研究所

 

「それにしてもすばらしいものだな彼女達は。それにこの二人、プロジェクトFの残滓が生きて動いているなんて素晴らしいよ。そう思わないかいウーノ?」

 

「はい。そうですね。ですがレリックはよろしいのですか?」

 

 ウーノと呼ばれた女性は淡々と聞くがスカリエッティはにやりと口角を上げた。

 

「確かにレリックは惜しいが。今回はこれでよしとしよう……それに」

 

 そういったスカリエッティの前に映し出されたモニタの中には聖が写っていた。

 

「この彼も気になるところだ。後でドゥーエにデータを送ってもらうとしよう。微かだが彼を一度見た気がするんだ」

 

「わかりました。後でドゥーエに伝えておきます」

 

「よろしく頼むよ……フフフ……ハハハハハハハハ!」

 

 研究所にはスカリエッティの狂気に満ちた笑いが響いていた。




以上でございます

聖君はバイク免許を持っているのです
もしかしたらバイクでの出撃もあるかもしれません。

感想、アドバイス、ダメだしお待ちしております。

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