魔法少女リリカルなのはStrikerS-King Seong clone of another-   作:炎狼

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新しい相棒

 聖の新デバイスが開発され始めてから二週間後、予定通りに聖の新デバイスが出来上がったとの連絡が入った。

 

 連絡を受け取り、聖は訓練場へやって来た。

 

「なぜに訓練場? つーかマリーさんはどったの?」

 

「マリーさんなら今外せない用事があるらしくて、もう少ししたら来てくれるみたいです。

 あと、何で訓練場かというとすぐに性能を試したいじゃないですか。それにホラ、ちょうど手合わせをする人物もいますし」

 

 すこし悪戯っぽい笑みを浮かべてシャーリーが指した方向にいたのは、既にレヴァンティンを鞘に収めた状態のシグナムと、バルディッシュを携えたフェイト、そしてにこやかな笑みを浮かべているなのはがいた。彼女の傍らにはレイジングハートが浮遊していた。

 

「……六課の戦闘狂が勢ぞろいか……」

 

「何か言ったか?」

 

「いえ、なにも言ってません」

 

 顔を逸らしつつ答えると、今度は六課の隊舎の方からはやてや、ヴィヴィオ、スバル達が小走りにかけてきた。

 

 どうやら聖の新デバイスのお披露目を見に来たようだ。

 

「お前等まで来なくて良いってのに」

 

「えー、でも楽しみやんかー。隊長格の戦闘も見られそうやし、フォワードメンバーにもええ勉強になるやろ」

 

「だったらヴィータもでるんじゃねぇの?」

 

「アタシはパスだ。そんなめんどくさいことに付き合ってらんねー」

 

 肩を竦めながら呆れた様子でため息をつくヴィータに聖も内心で同意しつつ、スバルたちの方にも目をやった。

 

「お前等だって午前中は訓練だったんだから、昼ぐらいは休んで立ってよかったんだぜ? ヴィヴィオも」

 

「隊長格同士の戦いなんてあんまり見られませんし。勉強のためですよ。それにヴィヴィオも自分から行きたいって言ってましたし。ねー、ヴィヴィオ」

 

 手を繋いでいるヴィヴィオに笑顔を向けたスバルに、ヴィヴィオもコクンと大きく頷いて答えた。

 

 その様子をみつつ、いずれなのはと同じような性格に育つのではと心配になった聖だが、一応黙っておくことにした。

 

「まぁ何でも良いけど、ヴィヴィオ、これから俺となのはママ、フェイトママは戦うが別に喧嘩はしてないからな」

 

「うん! わかってる!」

 

 大きく手を挙げて了解した彼女に苦笑を浮かべていると、マリエルたちの準備も完了したようで、リインフォースが聖の新デバイスを持ってきた。

 

「聖さーん、この子が貴方の新デバイスですー。仲良くしてあげてください」

 

「どーも」

 

 彼女から渡されたのは聖の魔力色と同じ白色に、薄い青をいれた様な色をした刀をイメージした形のネックレス型のデバイスだ。

 

「まだ名前の認証が済んでいないので、最初に『起動(セット・アップ)』とだけ告げてくださいです。そのまま認証に写ってくれます。フォーム名はデフォルトの刀型の『ユーヴァハル』。双剣型の『ラファール』。大剣型の『アヴァランチ』。そしてガントレットとグリーヴの『アングリッフ』てなってるので、間違えない様にです」

 

「ああ、わかった。んじゃ……『起動(セット・アップ)』」

 

 瞬間、彼を囲むようにミッド式の円形魔法陣が展開された。同時に聖の全身を包みこむように魔力光が展開した。そしてデバイスが声を発する。

 

〈使用者認証完了。使用者、時空管理局機動六課所属、白雲聖執務官。続いて、名称登録に写ります。名称をどうぞ〉

 

「ん、名称は……「シュトラルス」だ。よろしく」

 

〈「シュトラルス」……登録完了。では、改めてよろしくお願いします。マイマスター・聖〉

 

「おう、よろしく頼むぜ。とりあえずはデフォルトのユーヴァハルで展開頼む」

 

 それに答えるようにシュトラルスのコアが光り、聖の四肢もバリアジャケットに包まれていく。

 

 手のひらには指先まで包まれていない指出しのグローブ。上半身には黒を基調としつつ、所々に白い金属質の部分が取り付けられている半袖の黒い内着。その上にはなのはのバリアジャケットとやや似た色使いのジャケット。下半身は黒を基調としたカーゴパンツだ。

 

 そして仕上げと言わんばかりに彼の肩にはフェイトと同じような袖のついた純白のマントが展開した。

 

 バリアジャケットの全展開が終了し、今度はシュトラルスがデバイスに変化を始める。

 

 一度コア以外の部品が弾けて消えると、一瞬の後に弾けたパーツは光りの粒子となってまず最初に刀身の形成を始めた。刀身は刃の部分が白銀の輝きを持ちつつ、峰は漆黒だった。

 

 刀身の形成が完了すると、今度は柄とカートリッジが形成される。柄の色は白銀で、カートリッジはシグナムのレヴァンティンを髣髴とさせるものだった。

 

 そして柄とカートリッジ、刀身が繋ぎ合わせられると刀のちょうど鍔にあたるところにシュトラルスのコアがはめ込まれた。

 

 全ての行程が終了し、聖を包み込んでいた光りが霧散して皆の前に姿が露になった。

 

 聖の姿が明らかになると、皆が息をのむ音が聞こえたが聖はシュトラルスが馴染んでいるか確かめるように軽く振るう。

 

 すると、振るい終わった聖に対しシュトラルスが問う。

 

〈いかがですか?〉

 

「ああ、軽いし手に馴染む。最高だな」

 

〈それは良かった。私は貴方の従僕ですので、ご命令はなんなりと〉

 

「従僕って……そんな関係のわけねぇだろ、俺とお前は対当の相棒だ。俺が間違ってたりすれば普通に叱責をしろ」

 

〈はぁ……。よくわかりませんがそういうものなのですか?〉

 

「そういうもんだよ。まぁその辺はお前の先輩達から教授してもらえ。さてっと……待たせたな、そんで誰からやる?」

 

 シュトラルスとの会話を終えて聖が既にバリアジャケットを展開して準備万端の三人を見やると、シグナムが静かに前に出た。

 

「私から行こう。ちょうどお前も剣のフォームでいることだしな」

 

「のっけからシグナムさんですか……。最初はフェイト辺りが来るかと思ってたんですけど」

 

「なに、テスタロッサは私の上官だからな。上司の前に部下の私が戦ってみてテスタロッサに勝利を齎すという物さ」

 

 薄く笑みを浮かべるシグナムだが、彼女の目には明らかに隠しきれていない闘争心が出ていた。

 

 フェイトを見やると「もう、またシグナムは私をからかって……」などと少しだけ困った表情をしていた。

 

 そんな彼女に苦笑しつつも、二人は訓練場の中空に躍り出ると互いにそれぞれのデバイスを鞘に収めた状態で向かい合う。

 

 下ではなのはが皆を安全な場所まで下がらせ、シャーリーが訓練場の端末を操作していた。

 

 すると、聖とシグナムの間にモニタが表示されはやての声が聞こえた。

 

「あーあー、マイクテスマイクテスー……こほん、ほんならこれから模擬戦を開始するけど、制限時間は八分でどっちかが参ったをするか、気絶したらそこで終了でええな?」

 

「はい」

 

「おう」

 

「どっちもええみたいやね。では、今から十五秒後に開始や」

 

 はやての声が聞こえなくなると、モニタが切り替わってカウントが始まった。

 

「こうして模擬戦を行うのは事件の後で初めてだな」

 

「そうですね。事件の後は結構忙しかったですし、そういえばアギトのほうは大丈夫ですか?」

 

「ああ、問題はない。いずれ私のもう一人の相棒として活躍してくれるさ」

 

 二人が話している間もカウントは減っていき、既に残り八秒ほどだ。

 

「さて、久しぶりの模擬戦だからな。手加減してやれるかわからないな」

 

「ご心配なく。こっちも本気で行かせてもらいます」

 

 互いに自然と笑みが出てくるが、彼等からはすさまじい気迫が発せられていた。そしてラスト五秒。二人はデバイスを手に構えを取る。

 

「気をつけろよ、シュトラルス。あの人とあの人のデバイスのレヴァンティンは超強敵だ」

 

〈わかりました〉

 

 シュトラルスが言い終えると同時にカウントがゼロになり、シグナムと聖は完全に同時に動き、刹那の瞬間には己のデバイスをぶつけ合っていた。そのまま鍔迫り合いが始まるかと思いきや、二人は一度距離をとると、またしても距離をとってからぶつかり合う。

 

 二人がぶつかるたびにそれぞれの魔力光が雷撃のようにほとばしり、二人が動いた後には魔力がほうき星の如く尾を引いていた。

 

「フッ!!」

 

 短い呼吸とともに放たれたシグナムの一閃に聖は大きく吹き飛ばされ、廃ビルに直撃しそうになるが、空中で身体を反転させると、ビルに衝突するギリギリで魔力で形成した足場を作って一気に蹴り出す。

 

「ハッ!!」

 

 下段から振り上げた逆袈裟斬りをシグナムに放つが、彼女はそれをレヴァンティンの刀身で滑らせるようにして払った。その際、衝撃で火花が散ったが、二人は気にした様子はない。

 

 そのまま二人はきりもみ飛行をするようにデバイスをひたすらぶつけ合う。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほえー……前に見たときも聖くんすごかったけど、今見ると前以上に成長しとるなぁ……」

 

「というか、アレでまだカートリッジ使ってないって言うのがすごいといいますか」

 

 そういったのはティアナだった。彼女は苦笑いをしていたが、彼女と同じように思ったのはスバルたちも同じらしい。

 

 けれどそんな彼女達の隣ではヴィヴィオが聖の戦いぶりを見て嬉しそうに笑みを零した。

 

「ヴィヴィオ? どうしたの?」

 

「あのね、フェイトママ。今のパパすっごく楽しそう」

 

 彼女の言葉にフェイトとなのはが思わずモニタを見やると、確かに聖の表情は何処となく柔らかだった。

 

「やっぱり、気にしてないって言ってても気にしてたんだねクラウンのこと」

 

「うん、たまにだけど寂しそうにもしてたし……でも、あの様子ならもう大丈夫そう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 既に何十とぶつかり合って互いに笑みを浮かべる二人は、またある程度の距離をとった。

 

「ふむ……最初に出会った頃と比べるとかなり腕を上げたな。以前のような迷いもない、いい剣だ」

 

「どーも、まぁでも剣術じゃシグナムさんには勝てないこともありますけど」

 

「謙遜するな。素直に賞賛しているだけだ。さて、戦闘時間ものこり四分半かまだまだ楽しめそうだな」

 

 言いつつレヴァンティンから真紅の弾丸が吐き出され、紫炎が這うように刀身を包む。

 

 それに答えるようにシュトラルスからも弾丸が吐き出されて、レヴァンティンと同じように白銀の魔力があふれ出す。

 

「ではこれからは先ほどまでの比ではないが……ついてこられるか?」

 

「はい。いくらでも打ち合う覚悟は出来てますって」

 

「いい覚悟だ」

 

 瞬間、シグナムの姿が残像を残して消えると、聖の肩を狙うようにレヴァンティンが振り下ろされる。

 

 けれど聖もその攻撃は予測できていたのか、落ち着いた様子でシュトラルスを掲げて斬撃を防ぐ。

 

 レヴァンティンとシュトラルスが衝突することにより、それぞれの魔力が周囲に放出され、二人の肌を擦過した。

 

「やはりお前との戦闘は心躍るな、聖!」

 

「そいつはありがとうございますっと!!」

 

 言いながらシグナムを弾くと、彼女は空中で身を翻して聖を見据えるとレヴァンティンを真横に構えた。

 

「レヴァンティン!」

 

〈Schlangeform!〉

 

 シグナムの意図に答えるようにレヴァンティンのカートリッジが吐き出され、刃の形状が変化し、鞭状連結刃へと姿を変えた。

 

「お前との戦いで見せるのは初めてだな。以前、テスタロッサも苦しめたフォルムだが……果たしてお前に見切れるか?」

 

 シグナムの誘いに聖も小さく笑みを浮かべると、シュトラルスに言った。

 

「シュトラルス、わかるか?」

 

〈はい。あの形状から察するに、恐らく中距離の攻撃が可能かと。同時に、かなりの位置まで伸ばすことも出来ると思われます〉

 

「ああ。けど、アレを突破すれば剣の状態にすぐ戻す事は出来ないから、防御が出来ない。ねらい目はそこだ、だから後はわかるな?」

 

〈……アヴァランチですね?〉

 

 その声に静かに頷くと、シグナムが声をかけてきた。

 

「相談は終わったか?」

 

「ええ、じゃあ残り時間も少ないことですからさっさとやりましょうか!」

 

 聖は足に魔力を溜めて一気に蹴り出し接近するものの、連結刃となったレヴァンティンの切先が彼の胸に向けて放たれる。

 

 それを見切れない聖ではなく、切先を避けて見せた。しかし、彼が再びシグナムを見据えると、彼の周囲にレヴァンティンの分かれた刃が球体を作るように展開されていた。

 

「マジかよ……!」

 

〈展開が速いですね〉

 

「そんなこと言ってる場合じゃねぇってッ! シュトラルス!」

 

〈了解〉

 

 シュトラルスが答えた瞬間、展開されていた連結刃が一気に束ねられて聖を拘束にかかる。そして、収束されたレヴァンティンの刃が激突し、魔力による衝撃から少量ながらの爆発が発生し、聖の姿は見えなくなった。

 

 遠目から見ていた皆はその攻撃で終了したと思っていたのだが、攻撃を放った本人であるシグナムは怪訝な表情をしている。

 

 ……手応えがなかった。ギリギリで回避したか……。

 

「……だが、不意打ちを狙うなら背後か、真下の方がいいと思うぞ?」

 

 彼女が言いながらレヴァンティンを元の長剣の形状に戻し、上を見上げた。

 

 ちょうど昼時と言うこともあってか太陽は真上にあったが、それをバックにするように黒い影があった。

 

 段々と落下してくるその黒い影は二振りの短剣、所謂双剣を携えた聖だと言うことがわかったが、彼のバリアジャケットの装いは先ほどまでとは全く違っていた。

 

 先ほどまでジャケットに包まれていた上半身は袖なしの内着となっており、首元には白のマフラーのようなものを巻いているという、かなり軽装甲の装いだった。

 

「フェイトの真・ソニックフォームよりは多少速度が劣りますけど、それでもアイツに迫る事は可能らしいッスよ!!」

 

「そうか、それは楽しみだが……残念ながら時間切れのようだな」

 

 肩をすくめて言う彼女にあわせたように、訓練場のアラームが鳴り響き終了を告げた。

 

 聖もシグナムの前に降り立つと、小さくため息をついた。

 

「やれやれ、お前との模擬戦はいつになったら決着が着くのだろうな」

 

「今度は時間無制限でどっちかが気絶したら負けにしますか?」

 

「そうだな、そうしよう。まぁ私もこれで楽しみが増えてよかったよ」

 

 二人は話し合いながら皆が待つビルの屋上に降り立つ。

 

 すると、スポーツドリンクを二つ持ったヴィヴィオが二人の元に駆けて来た。

 

「はい、パパにしぐなむさん」

 

「おう、サンキュ」

 

「すまないな、ヴィヴィオ」

 

 二人に撫でられてヴィヴィオは嬉しそうな顔をする。

 

「にしてもまぁ……二人はホント相性がいいのやら悪いのやら。ようわからんね」

 

「どういう意味だ?」

 

「同じタイプのアームドデバイスをつかっとるから、相性的には戦闘面では同じ土俵で戦えとるから相性はいいんやろうけど、いざ戦ってみると勝敗が全く読めへんからね。言ってみたんよ」

 

「それは仕方のないことです、主はやて。聖と私の力は拮抗していますからどちらが勝ってもおかしくはないでしょう。ようは、場合によっていくらでも勝敗は変わりますよ」

 

 シグナムの説明に納得したのははやてだけでなく、その周りにいたスバルたちもそうだった。

 

 そんな皆を見つつ、聖はシュトラルスに声をかけた。

 

「で、どうだった? 初めての戦闘は」

 

〈いきなりハードなお相手でしたが……レヴァンティンとシグナム様の関係は確かに最初マスターが言ったように、相棒といった感じでしたね。互いに考えていることがすぐに理解しているといった様子でした〉

 

「そうだろ? まぁ今すぐにああなれとは言わないさ。段々理解していけばいい。さて、これ飲み終わったらあと二人残ってるからな」

 

〈なのは様とフェイト様でしたか?〉

 

「ああ。二人も手ごわいから、覚悟はしとけよ」

 

〈わかりました〉

 

 二人が話していると、その間に割って入るように赤い宝石が話しかけてきた。レイジングハートだ。

 

〈あまり緊張しなくても大丈夫だと思いますよ。シュトラルス〉

 

〈そうなのですか? 戦闘は気を抜いてはいけないものだと思うのですが?〉

 

 レイジングハート言葉にシュトラルスが問うと、なのはが代弁するように言葉を発した。

 

「そうだね、確かにシュトラルスの言う事は尤もだよ。緊張したりしないなんてことはありえないけど、あんまり緊張しすぎちゃっても本来の力が出せないし」

 

〈なるほど……そういうものですか〉

 

「うん。それに今日は模擬戦だからあんまり気を張り過ぎなくても平気だよ。ね、聖くん?」

 

「……お前の場合は模擬戦でも気を抜けなさそうだけどな……」

 

「何か言った?」

 

 ボソッと呟いた聖に問い詰めるようになのはが威圧感たっぷりの眼光を向けてきたが、聖は口笛を吹いてそっぽを向いた。




はい、今回でやっとこさ新デバイスちゃん登場です。
シュトラルス……ドイツ語をちょこっと捩っただけですw

次回はなのはとフェイトと模擬戦やって……告白までいけたらいいです。
まぁこの模擬戦の意味はデバイスのフォルム紹介も兼ねているので次回は残りの二つが出ますねw
その後は後日談的な最終話ですかね。

まぁどちらにせよもうすぐに終わりですので、がんばりたいと思います。
完結したら、タイトルをちょっと変えて再編集版を投稿します。
これは……残しておいた方が良いのか、残さないほうがいいのか……w

では感想などあればよろしくお願いします。

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