魔法少女リリカルなのはStrikerS-King Seong clone of another-   作:炎狼

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予告ミスです。
聖の新デバイスはまだです。
次回です。申し訳ない。


その後

 事件から一ヶ月ほどたち、六課の隊舎も完全に修復されそれぞれのメンバーが通常の業務に戻っている中、聖はフェイトと共に軌道拘置所内の面会室にいた。

 

「聖……ほんとに大丈夫?」

 

「心配すんな。アイツに会ってキレやしねぇって」

 

 フェイトの問いに聖は軽く笑って答えて見せる。すると、強化ガラスで仕切られた面会室の向こう側の扉が開いて目当ての人物であるスカリエッティが現れた。

 

「やぁ君達から面会があるなんてね」

 

「うっせ、つか割と元気そうでムカつくぜ」

 

「おやおや。仮にも管理局員がいっていい言葉とは思えないねぇ。そう思うだろう? テスタロッサ執務官」

 

 スカリエッティの言葉にフェイトは答えなかった。しかし彼は肩を竦めて不敵な笑みを浮かべるだけで、特に気にした風もなかった。

 

「そういえば君の目。どちらも赤くなったようだが……何があったね?」

 

「聖王の力を手放した。俺にはもう必要なくなったからな」

 

「ほう、自分と残念なことをしたものだね。しかし手放したとなると、クラウンはもう壊れたか」

 

「ああ、逝っちまったよ。で? お前はどうだよ少しは反省でもしたか?」

 

 聖が言うとスカリエッティは一瞬呆けたような顔をした後くつくつと笑いを漏らした。

 

「反省……反省ねぇ。全く君はおかしなことを聞く。私が反省する意味など何処にある? 私は私の目的のために行動したまでだ、誰かに咎められるなど筋違いだろう? しかし、こうして捕まってしまっては元も子もないがね」

 

「そーかい。まぁテメェならどうせそういうと思ったよ」

 

 聖も肩を竦めてみるが、更に付け加えるようにスカリエッティは続ける。

 

「それにこんな牢獄でも研究をしようと思えばできるからね。退屈はしないさ。あぁそういえばチンク達は元気かい? 私達とは別の更生施設に送られたそうだが?」

 

「元気そうだったよ。あいつ等はまだ不幸中の幸いってヤツだな、お前に汚染されてねぇから」

 

「ククク、言ってくれる。おっと、そんな話をしていたらもう時間のようだね」

 

 彼が言うとおり、既に面会時間は終わる十秒前だ。聖もそれを確認すると無言で立ち上がって踵を返すが、そこでスカリエッティが彼に声をかけた。

 

「エシェク……いいや、今は白雲執務官だったか。ドゥーエが会いたがっていたよ? 会って行ってはいかがかね?」

 

「……知るか」

 

 聖は短く答えるとフェイトと共に面会室を後にした。

 

 姿を消した二人を思い出しながらスカリエッティは口元を吊り上げ面白そうに笑った。

 

「相変わらず君はあまい……しかし、そこが面白い」

 

 

 

 

 

 拘置所の廊下を歩きながら聖は大きくため息をついていた。

 

「あー、なんでアイツと話すとこんなに疲れるんだか……」

 

「まぁ同意はするよ。私もあんまり話したくないし」

 

「アイツ、絶対またなんかたくらんでるな」

 

 呆れたようにもう一度溜息を漏らす聖だが、そこでフェイトが問う。

 

「ねぇ聖、ドゥーエって……」

 

「ああ、俺がガキの頃、あいつ等に兵器として育てられてた時に一番世話してきたヤツだよ」

 

「心配だったりするの?」

 

 フェイトが問うてくるが、聖は小さく笑みを浮かべて手をパタパタと振った。

 

「それはないな。アイツも結構外道だし、心配することなんか微塵もねぇ。それよりも、午後からは六課戻って新しいデバイスの相談があるってシャーリーとマリーさんが言ってたから、行くとしようぜ」

 

「あ、うん」

 

 フェイトは頷き聖に後に続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 六課に戻りデバイスルームに二人が入ると、既にシャーリーとマリエル、そしてリインフォースがいた。

 

「あれ? なんでリインが居るんだ?」

 

「それは私も貴重なスタッフの一人だからです」

 

 リインは小さい身体でえっへんというように胸を張るが、シャーリーが補足を加えた。

 

「実はリイン曹長にもいろいろお手伝いをしてもらいたくて私達が呼んだんです。いつもなのはさんのレイジングハートやフェイトさんのバルディッシュ。フォワードメンバーのデバイスの調整の時も来てもらってますから」

 

「なるほどね。まぁいい相棒を作ってくれるんだから感謝しねぇとな。サンキュなリイン」

 

 聖が言うとリインフォースも笑みを浮かべる。

 

「じゃあ早速どういうデバイスにしたいか聞いていくから、そこに座ってくれる?」

 

 マリエルが端末を手に聖に座るように促す。聖もそれに頷くとマリエルに言われた先に腰を下ろした。

 

「フェイトさんはどうしますか? 多分一時間くらいかかると思いますけど」

 

「そうだね……じゃあ私はヴィヴィオのところに行ってくるよ。またね、皆」

 

 フェイトはデバイスルームを出ながら皆に手を振った。残された四人はそれぞれ端末を操作しつつ、マリエルが聖に聞いていく。

 

「それじゃあ最初に待機状態の形だけど、何がいいかな? ネックレスとかブレスレットとか、ちょっと変わった感じで行けばティアナみたいなカード型もあるけど」

 

「そうっスねぇ……じゃあネックレスでお願いします」

 

「ん、了解。それじゃあ次はフォームはどれぐらいあったほうがいい?」

 

「三つ……いや四つでお願いします」

 

 聖は口元に手を当ててマリエルに言うと彼女も頷いて端末に入力していく。

 

「次はいよいよそれぞれのフォームの形を決めていこうか。とりあえず挙げて言ってくれる?」

 

「わかりました。じゃあ最初はやっぱ使い慣れてるんで刀、二つ目は双剣で、三つ目は大剣。んで最後はガントレットとグリーヴでお願いします」

 

「うんうん、なるほどなるほど。というかやっぱりクラウンと被るよねぇ」

 

 マリエルは少しだけ意地悪そうな笑みを向け、シャーリーとリインフォースも薄く笑みを浮かべていた。

 

 聖はそれに方を竦めつつも答える。

 

「そりゃしょうがないっスよ。一番使いやすいのがその形なんだから」

 

「まぁそうだね。さてと、それじゃあこの後はもっと細かい設定をしていくからもう少し聞いていくからね」

 

 その言葉に聖は静かに頷くと、そのあと一時間近くデバイスルームにこもって新しいデバイスについて話し合った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 デバイスルームを後にした聖は少しだけもよおしてしまったため、トイレに向かった。

 

 トイレに入りようを足した聖は手を洗うが、そこで目の前にある鏡に映った自分の姿を見て少しだけ自嘲とも取れる溜息を漏らした。

 

 拘置所でスカリエッティにも言われたことだが、聖の瞳は聖王の力を手放して以来、どちらも真紅の瞳に変わってしまった。

 

 以前は片方が緑色だったのだが、聖王の魔力が抜けたことにより両方とも同じ色になったのだ。しかし、失った力による影響は髪にも現れ、今は真っ黒な黒髪に変化していた。

 

「まぁ俺的にはこっちの方が似合ってるかな……」

 

 小さく呟き、軽く髪をかきあげると彼は残っている仕事を済ませに行った。

 

 隊舎に設置されているデスクにやってくると、聖は執務官としての仕事を始めた。

 

 事件の事後処理のデータ整理や、被害損失、事件の捜査資料など様々なことに目を通し、文章を纏めているといつの間にか開始してから数時間が経過していた。

 

「っともうこんな時間か……」

 

 時間を見ると既に時刻は午後五時をさしていた。聖は端末の電源を落として立ち上がってから大きく伸びをした。

 

 長い時間デスクワークをしていたため背骨がグキグキとなったが、聖は特に気にした風もなく大きく息をついた。

 

「ひーじりくん」

 

「どわぁッ!?」

 

 いきなり声をかけられ思わず飛び上がってしまったが、聖が後ろを向くとなのはが悪戯っぽい笑みを見せていた。

 

「なのはか……アレ? 新人達の訓練はもう終わったのか?」

 

「うん。今日はいつもよりも早く切り上げたんだ。皆がんばってるからご褒美みたいな感じかな。それにしても聖くんすごい集中してたね」

 

「ああ、今日中に纏めなくちゃいけない資料があってな。それでなんか用か?」

 

 聖が問うとなのはは思い出したように手を叩いて彼に告げた。

 

「ご飯にしようと思ってさ。まぁあと一時間したらなんだけど、ヴィヴィオも「パパと一緒がいいー」って言ってたし」

 

「あー、そだな。最近忙しくて一緒にメシ食えてなかったからな。よしわかった」

 

 彼が言うとなのはも嬉しげに笑みを見せ、二人は寮の部屋に居るヴィヴィオとフェオトを呼ぶために寮へ向かった。

 

 道中、なのはは聖の新しいデバイスについて問うてみた。

 

「デバイスはどんな感じ?」

 

「今日色々話して方向性は決まったから、再来週ぐらいには出来るみたいなこと言ってたぜ」

 

「そっか。新しい子はどんな風にするの?」

 

「クラウンの時と似たようなもんだな。あぁでも一個追加したフォームがあったな」

 

「へぇ、どんなの?」

 

 なのはが聞くと聖はにやりと笑いながら答える。

 

「大剣だ、読んで字の如くでっかい剣」

 

「大剣……バルディッシュのザンバーフォームみたいな感じ?」

 

「感覚としてはそうだな。後は刀に双剣とガントレットか」

 

「名前とかは決めたの?」

 

「いいや、まだだ。名前は出来てっから決めようと思う」

 

 聖の言葉をなのは頷きながら聞いていたが、そこでレイジングハートが声を発した。

 

〈新しい仲間が増えるのは嬉しいことです〉

 

「だね。私もどんな子が出来るのかすごく楽しみだよ」

 

「ああ、俺もだ。レイジングハート、できた時は先輩としてビシッといってやってくれよ?」

 

〈わかりました〉

 

 二人と一機はそんな他愛もない話をしながら寮に戻っていった。

 

 寮の部屋に戻るとフェイトとヴィヴィオがおり、ヴィヴィオは画用紙にクレヨンで絵を描いていた。

 

 だが、二人が戻ってきたことに気がつくと彼女は聖に駆け寄った。聖もかがんでそれを迎えると勢いをそのままに彼女を高く抱き上げた。

 

「パパ、おかえりー」

 

「おー、ただいまヴィヴィオ。今日もいい子にしてた見たいで何よりだ」

 

 聖が笑顔を見せながら言うとヴィヴィオも嬉しげに笑顔を見せた。前までなら半べそをかきながら彼に抱きついていたところだが、今はそんな事はなくなりヴィヴィオはないていることよりも笑っていることが増えていた。

 

「おかえり二人とも。聖、デバイスの方はどうだった?」

 

「再来週には出来るってよ。それよりもメシ行こうぜ、腹減っちまった。なぁヴィヴィオ」

 

「うん!」

 

 ヴィヴィオを肩車しながら彼が言うと、なのはとフェイトも頷いて四人は食堂へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 食堂へ向かう四人の後方にまるで彼等を監視するようにうごめく影が五つあった。

 

「お、聖くん達ご飯行くみたいやなぁ」

 

 そういったのはバッテンの髪留めが特徴の六課の部隊長であるはやてである。更にその後ろに興味津々と言った様子のスバルと呆れつつも少々気になっているティアナ。そして完全に巻き添えを食らったエリオとキャロの姿があった。

 

「あの、部隊長? いくらシグナム副隊長達が居ないからって僕達を誘わなくても」

 

「なに言うとんのエリオ。聖くんは二人に好きって言われとんのにまだ正式にどっちにするのかも決めてへんのよ? これはどっちが選ばれるのかその瞬間を見るのが皆を纏め上げる部隊長の役目にきまっとるやろ」

 

 完全に己の趣味ののような気もするが、スバルははやてと気になることが一緒なのかうんうんと頷いていた。

 

 それをみていたティアナやエリオ、キャロは若干苦笑いだが実のところ彼等も気にはなっている。

 

「まぁミッドって申請さえすれば一夫多妻だろうが一妻多夫だろうが行けるんやけど、どっちが先になるかすごい気になるやん!! それにもしかしたら正妻戦争とかおこりそうやし」

 

「そんな万能の願望機を求めて争う戦いみたいな風に言わないでください」

 

 ティアナはヤレヤレと溜息をつくが、はやてはそんなことを気にもせずに食堂へと向かった。スバルは嬉々としてそれに参戦していったが、三人も一度乗りかかった船なのか仕方なくついていくことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 食堂に到着すると四人はそれぞれ自分の食べたいものを注文して席に着いた。ヴィヴィオも三人に頼らずに自分で運んでいた。

 

 食べながら談笑していると、ヴィヴィオが苦手なピーマンとにらめっこをしていた。

 

 そこでなのはとフェイトが声をかけようとしていたが、聖がアイコンタクトでそれを制するとヴィヴィオはピーマンをスプーンですくって口に入れた。

 

 一瞬顔を苦悶に歪ませるが、何度か咀嚼すると彼女はゆっくりとピーマンを嚥下した。

 

「お、ヴィヴィオ。ピーマン食べられたか、えらいなー」

 

「う、うん! 私がんばった」

 

「ああ、すごくがんばったな。でもなヴィヴィオ、ピーマンはそれだけで食うから苦いんだ。何かと一緒に食べれば苦さなんか大して感じないかなら、次はそうやって食べてみな」

 

「わかった!」

 

 聖の声にヴィヴィオは大きく頷いて食事を再開した。

 

 

 

 

 

 

 四人が食事をしているのを影の方で見ているはやては「うーん」と唸っていた。

 

「なんや、やっぱりここじゃそういうのはいわへんか~」

 

「さすがに他のスタッフの人も居ますからそれは無理じゃないかと」

 

 キャロも苦笑いで答えると、ティアナとエリオは同意するように頷いた。

 

「えーでもこういうのってなんだかワクワクしてこない?」

 

「アンタ、地味に趣味悪いわねスバル」

 

 ティアナが呆れた様子でため息をつくと、彼女はスバルの襟を引っ掴んでずるずると引きずりはじめた。

 

「ほら、いい加減戻るわよ」

 

「あー待ってー! まだご飯食べてないー!!」

 

「後でいいでしょうが」

 

 ティアナは駄々をこねるスバルを尻目に彼女をずるずると引きずり部屋へと戻っていった。

 

「僕達も一回戻って後で来ようか」

 

「そうだね」

 

「なんや二人も帰ってしまうん? そんなら私ももどろかなー、そろそろリインも帰ってくる頃やし。なのはちゃん達の監視はまた今度にしとこ」

 

「やめる気はないんですね……」

 

 エリオが溜息混じりに言い、キャロも苦笑いを浮かべてもはやては「当然やー」などと小悪魔のような笑みを浮かべて自室に戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 深夜。

 

 なのは達が眠るベッドの傍らで聖はソファに座りながら夜天に浮かぶ二つの月を見上げながら小さく呟いた。

 

「前に好きだとは言ったが……やっぱどっちかに絞らなきゃだよなぁ……」

 

 聖はスカリエッティ達との戦いの前、二人に自分がどんな存在なのかを説明した際に勢いあまって二人に「好きだ」といってしまったことを思い出していたのだ。

 

 ……いやどちらもすっげー美人だしかわいいとは思うけど……。なんであそこで言っちまったかなぁ。

 

 声にならない声で「ぬおおお」とのた打ち回る聖だが、やがて動きを止めてガバッと起き上がり覚悟を決めたように言った。

 

「よし、決めた。もうちょっとしたら言おう!」

 

 大して覚悟は決まっていなかった。




はい、今回はただの日常回でしたね。
完全なる予告ミス!申し訳ない。
次でデバイスお披露目ですかね。
気のせいかデバイスがフェイトよりになっている気がしますが……ま、まぁ高速戦闘だし(震え声)

あと少しで終わりって感じですが、ここで読者の皆様にお知らせというかもしかしたらするかもしれないことをご報告します。

感想でももらいましたが、やはり若干この作品は駆け足気味に進めすぎていたので、この作品が一度完結したらそれから数日後にこの小説を一旦削除し、聖が出てくる事はそのままにして新しく書き直そうかと思っています。いわば再編集版ですね。
今度はこと細かく書いていくため恐らくかなりの時間がかかるかもしれません。その際には活動報告などを使用して皆様にご連絡を差し上げたいと思います。
再編集版にはドラマCDの話も盛り込みながら行きますので、恐らく話数的にはこれの倍近くになるかもしれませんw
因みにこの作品は九月中には完結させるつもりです。

読者の皆様には多大なるご迷惑をおかけすること誠に申し訳ないと思います。しかし、もう決めました。一度再編集をしてもう一度この作品をよりよい物として生まれ変わらせます。その際、また読んでくださるととても嬉しい限りです。

では予告はこれくらいにして、かなり遅いですがvividがアニメ化しますねw
とても楽しみです。後はDOGDAYSの三期ですか。

それでは感想などありましたらよろしくお願いいたします。

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