魔法少女リリカルなのはStrikerS-King Seong clone of another-   作:炎狼

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開戦

 アラートが艦内に鳴り響く中、聖たちはブリッジへと向かった。ブリッジに到着した皆の中からはやてがシャーリーに問う。

 

「シャーリー! どないした!?」

 

「地上、及び空にガジェットが現れました! その中には例の戦闘機人、ナンバーズ達の姿が見られます!!」

 

「襲撃か……っ! 被害は!?」

 

「まだ明確な被害は出ていません。しかし、ガジェットとナンバーズ達の数人は市街地へと向かっています!!」

 

 その報告に皆が苦悶の表情を浮かべたその瞬間、グリフィスの焦った声が走る。

 

「森林地帯より巨大な魔力反応!! しかもこれはっ!?」

 

 同時に主モニターに映像が映し出された。そこには森林地帯の地盤が割れ、地面が隆起しながら木々が倒れていく光景が広がっていた。

 

 そして、割れた地面に見える金と藍色の装甲。地面とは全く違う明らかに人工的な構造物。それがゆっくりとした速度で浮上を始めたのだ。

 

 その光景に皆が絶句する中、聖だけが眉間に皺をよせ憎々しげに呟いた。

 

「……聖王のゆりかご」

 

 聖の呟きに皆が息を呑んだ。しかし、主モニターの映像はすぐにノイズによって掻き消された。数秒の後ノイズが晴れたかと思うとそこにはある男が映し出されていた。

 

 肩までかかる程度に伸ばされた紫色の髪に蛇を思わせるような金色の瞳。そして聖の脳裏に刻まれている三日月の笑み。聖はその男を真っ直ぐと見据えながら告げた。

 

「よぉ……13年ぶりだなスカリエッティ」

 

 睨みを利かせている聖に対し、スカリエッティはその笑みをなくすことはなく彼に答えた。

 

「やぁエシェク久しいじゃあないか。ドゥーエにはもう会ったかい?」

 

「あぁ、相変わらず気持ちわりーヤツだったよ」

 

「ククク、そう言ってあげるな彼女なりの愛情だよ。……おっと、君と思い出話をするのもいいがそろそろ君のお仲間達に私の事を紹介しておかねばね。初めまして機動六課の諸君、私が君達と敵対しているジェイル・スカリエッティだ。まぁ好きに呼んでくれたまえ」

 

 笑みを絶やさずに皆に言うスカリエッティに皆は顔をこわばらせる。その中でもはやては毅然とした表情のままスカリエッティと対峙する。

 

「機動六課部隊長八神はやてや。ドクター・ジェイル・スカリエッティ、貴方達に投降する意思があるのならば私達も手荒な真似はしない所存です。どうですか?」

 

「おぉなんという慈悲深い言葉だ。いやはや若いからといって侮ってはいけないようだねぇ。……しかし残念なことに私達に投降する気などはないのだよ」

 

 彼ははやてを見つめ笑いながら告げる。それを聞いたはやても真っ直ぐとスカリエッティを見据えながら力強い声で言い放った。

 

「ならば私達も相応の対応をとらせてもらう。これ以上あんた等の好きにはさせへん」

 

 それに呼応するようにその場にいた全員が頷いた。するとスカリエッティは声を出して笑った。その様子に不信な表情をする皆だが、彼はひとしきり笑い終えると、

 

「いや失敬。随分といい仲間たちに恵まれたようだねぇエシェク。ところで彼女達に君の事は話したのかな?」

 

「ああ。そして皆は俺のことを信じてくれた」

 

 それに聖がしっかりとした声音で答えると、スカリエッティはまたしても小さく笑みをこぼした。

 

「スカリエッティ! テメェに聞きたいことがある、ヴィヴィオはあの中か?」

 

「そうとも、彼女は大切な聖王の鍵だからね。それも君とは違う完全な成功体だ。彼女を取り戻したいのであればゆりかごの中に行くことをオススメしよう。しかし一筋縄ではいかないよ」

 

「上等だ。何が来たってあの子を取り戻す。俺はこいつ等と約束したんだ」

 

 聖はなのはとフェイトを見ながらスカリエッティに言い放つ。

 

「なるほどなるほど。君は本当に面白い成長を遂げたものだねぇ。救えるものなら救って見せたまえ。では私はこれで……おぉっと君に一つ言い忘れていた。エシェク、君にはこの座標に向かってみたまえ」

 

 そういうとスカリエッティは手元に一つのモニタを出し座標を表示した。聖は一瞬怪訝そうな顔をするものの、何かを感じ取ったように答えた。

 

「わかった、テメェの言い分に乗ってやるよ。だけどな覚悟しとけよ、テメェは俺達が絶対に捕まえる」

 

「楽しみにしているよ。ではね」

 

 そう言い残しモニタにはまたもノイズが蔓延った。

 

 はやては皆の方に踵を返しながら皆に命令を下した。

 

「皆、今の聞いたな? これより私達機動六課は全力を持って奴等を阻止する。なんとしても市街地に被害を出させないようにするんや!」

 

 命令に対し皆は頷き返事を返した。

 

「まず地上におるナンバーズ達はティアナ達に行ってもらう。ゆりかご内はなのはちゃんにヴィータ。スカリエッティのアジトへはフェイトちゃんが頼む。シグナムは意見陳述会の日に現れた男、元地上本部所属のゼスト・グランガイツ氏をよろしくな。ほんで、聖くんは……さっきヤツが指定したところへ向かうんや。皆これに対して何か意見あるか?」

 

 はやての問いに皆が首を振る。その中で聖ははやてに頭を下げながら告げた。

 

「ありがとう、はやて」

 

「なぁに気にせんでええよ。せやけど済んだら皆のサポートに向かってな?」

 

「ああ。勿論だ」

 

 聖が頷いたのを確認すると、はやてはもう一度皆の方に向き直り言い切った。

 

「これより十分後に全員出撃や。各自準備を整えていくように。……これが最後の戦いや。気張って行くで」

 

 それを聞いた皆はそれぞれの準備に取り掛かった。

 

 

 

 

 

 そして凡そ十分後。聖達隊長陣と新人達は出撃ポートにて顔を合わせていた。なのはは新人達の前に出ると彼等に笑顔で言った。

 

「皆、今までよくがんばってきたね。今日でこの今までの戦いは終わりになるけど、多分今までで一番激しい戦いになると思う。だけど忘れないで、みんなは今まで多くの訓練を積んで来た。辛いこともあったけど乗り越えてきた。これから始まる戦いでは自分達がやってきたことを信じて、どんな時でも諦めないで戦い抜いて」

 

「「「「はい!!」」」」

 

 なのはの激励に新人達は力強く頷いた。その様子を満足そうに見つめるなのはだが、ヴィータがなのはのとなりに眉間に皺を寄せながら立った。

 

「いいかテメェら! もう現場じゃあたし達はお前らをサポートすることは出来ねぇ! だけどな、さっきもなのはが言ったけどよ、どんな危機的状態でも決して諦めんじゃねぇ!!」

 

 怒鳴り声にも似た激励だったが、新人達にはしっかりと通じたようで四人はそれに嬉しそうに頷いた。

 

「んじゃ、隊長達の激励も終わったことだし……行くか!!」

 

 聖が言うとシグナムとはやて、ヴィータが先に出撃ポートから飛び立った。それに続き新人達がヘリに乗り込み出撃した。それを見送った聖はなのはとフェイトに目を向けた。

 

「二人とも、無理すんなよ」

 

「聖くんもね。あと……」

 

 なのはが答えると、彼女は不意に聖の頬に顔を寄せ唇を聖の頬に押し付けた。

 

 それに顔を赤らめる聖だが、それに有無を言わせないようにフェイトまでもが聖の頬に唇を押し付ける。

 

「な、ななななな……!」

 

「えへへ、じゃあ先に行ってるね聖くん!」

 

「私も」

 

 二人は若干顔を赤らめながら飛び立っていった。その様子を自分の頬に触れながら聖がボーっと見ていると、

 

〈ホラ、何してるんですか聖様。余韻に浸ってないでさっさと行きますよ〉

 

「バッ!? 誰も余韻なんかに浸ってねぇよ!!」

 

〈どーでしょうかねー。内心でエロイことでも考えてたんでしょう? この淫獣〉

 

「だーかーらー!! ……ハァ、ここでお前と言い合ってもしゃあなしだな」

 

〈ええ、そうです。だからっさっさと出て下さい〉

 

「どっちがはじめたことだよ!!」

 

 聖は毒づきながらもバリアジャケットを展開しながら飛び降りた。

 

 バリアジャケットを展開し終わった聖ははやてたちの元へと向かう。

 

「よし、全員集まったな。ほんならさっき言ったとおり、これからは個人で分かれるで。あと、今からリミッターを外すから皆手加減なしで思いっきり戦いや!!」

 

 はやてが言うとほぼ同時に聖の身体に一瞬軽くなったような感覚が走った。能力リミッターが解除されたのだ。なのは達もそれは同じなようで、なのははすぐさまバリアジャケットの形態を変化させた。

 

 なのはの変化させたこのバリアジャケットのモード名はエクシードモードと言う。デフォルト設定のアグレッサーモードとは違い、高速機動や回避を完全に度外視し、それと引き換えに重装甲と爆発的な威力を誇る形態だ。

 

「これがなのはの本来のモードってわけか」

 

「うん。こんな時にしか使わないけどね」

 

 なのはは苦笑気味に答えるが、聖はそれに感心したように頷いた。すると彼も安綱を前に突き出すと安綱に命じた。

 

「安綱モード転換、ハイリヒモード!!」

 

 聖が告げると同時に彼の体がなのはと同じように一瞬光に包まれる。そしてその光が晴れたとき彼の肢体があらわになった。

 

 普段の黒を基調としたバリアジャケットとは違い、今の聖のバリアジャケットは白を基調としており、白銀の装飾が施されている。

 

 そしてさらに変化した点は安綱の長さだ。薄さは先ほどまでと変わらないのだが、刀身が凡そ2mほどにまで伸びている。

 

「このモード使うのも久々だな」

 

 しみじみと言うものの、聖以外は安綱の変化に驚きを隠せないようだった。

 

「聖くんのフォームに驚いてる暇はないな。ほんなら皆、それぞれがんばってや!!」

 

 はやてがいうと、五人はそれぞれの方向へと散開した。なのはとヴィータはゆりかごへ、フェイトは地上のスカリエッティのアジトへ、シグナムは地上本部へと向かった。そして聖もまたスカリエッティが指定した座標へと飛び立った。

 

 皆を見送りながらはやては夜天の書を開きシュベルトクロイツを掲げた。

 

「ここは私が食い止める!!」

 

 魔力を纏った状態ではやてが力強く宣言した。

 

 ……頼んだでみんな。

 

 

 

 

 皆とわかれた聖はスカリエッティが指定した座標へと急いでいた。途中飛行型のガジェットが攻撃してくるが、安綱の長い刀身を巧みに使いながら聖はそれを斬り抜けて行く。

 

〈聖様、なのは様とヴィータ様の方にガジェットが集中しています〉

 

「チッ! やっぱりゆりかごの死守が最優先か。……やれるか安綱?」

 

〈私を見くびっておいでですか?〉

 

「はっ……悪かったよ」

 

 安綱の返答に聖は軽く肩を竦ませると、なのはに思念通話を送った。

 

『なのは。目の前のガジェットを相手にすんな。今はそこで止まって俺が砲撃した後で行け。道を作る』

 

『え? でも……』

 

『大丈夫だ。目の前のガジェットは俺が一掃する』

 

 なのはの疑問の声に聖はニヤリと笑いながら言った。なのはもその自信を信じたのか速度を落としガジェット群の手前で止まった。

 

「……安綱カートリッジ三発ロード」

 

 聖が言うと同時に安綱から薬莢が三発吐き出された。そのまま聖は安綱を腰に持ってきて居合いの態勢に入った。

 

「……斬閃響壊(ざんせんきょうかい)……龍哮(りゅうこう)ッ!!」

 

 技名と共に振りぬいたその長大な刀身から一迅の斬撃が轟音とともに撃ちだされ、なのは達の前方のガジェットを切り刻んでいく。しかも切り刻まれたガジェットの近くにいたガジェットすらも斬撃の余波なのか細切れにされていく。

 

『すっご……』

 

『ある意味シグナムの技より凶悪だな……』

 

 なのはの驚愕の声とヴィータの呆れにも似た声が思念通話で漏らされた。しかし、なのは達はすぐさま聖に礼を言うと、一気にゆりかごの中に飛んでいった。

 

 その姿を見送りながら聖は指定された座標へと向かった。

 

 

 

 

 

 その斬撃を遠目で見ていたシグナムも驚嘆の声を漏らしていた。

 

「凄まじい攻撃だな……」

 

「はい。目測ですが、恐らくシグナムの飛龍一閃よりも力があると思うです」

 

 シグナムの横にいるリインも同じく驚きを孕んだ声で聖の斬撃を分析した。するとシグナムは小さく笑った。

 

「私も負けてはいられないか……急ぐぞリイン」

 

「ハイです!!」

 

 シグナムとリインは共にゼストが向かっているであろう地上本部へ急いだ。

 

 

 

 

 

 フェイトもまたスカリエッティが潜んでいる洞窟の前に降り立った。洞窟の前にはヴェロッサとシャッハがフェイトを待っていた。

 

「アコース査察官、シスターシャッハ、お待たせしました」

 

「大丈夫です。では……ロッサ!」

 

「わかってるよ。とりあえず僕の無限の猟犬(ウンエントリヒ・ヤークト)で探索をしてみたけれどここに奴等がいることは確かだ。覚悟はいいかい?」

 

「大丈夫です、聖やなのは達と約束しましたから」

 

 フェイトの返答を聞いたヴェロッサは無限の猟犬(ウンエントリヒ・ヤークト)を自身の周りに展開させた。シャッハもまたいつもの修道服からバリアジャケットを纏った。

 

 3人は顔を見合わせると、洞窟の中へとはいっていった。

 

 

 

 

 

 なのはとヴィータも無事にゆりかごの中に潜入することに成功したものの、二人は体が少し重くなったように感じた。

 

「これって……」

 

「AMFだな……。しかもかなり濃いぞ、ガジェットとかシャレにならねぇ」

 

 なのはとヴィータは顔を見合わせながら苦々しい表情を浮かべるものの、そんなことを気にしていられないといった風にヴィータが切り出した。

 

「なのは。アタシは駆動炉を潰してくる。いくら大昔に猛威を振るった戦艦でも駆動炉さえ潰しちまえばなんとかなんだろ」

 

 グラーフアイゼンを肩に担ぎなのはに告げたヴィータに、なのはは一瞬何か言いたそうな顔をしたものの、静かになずくと、

 

「……わかった。お願いね、ヴィータちゃん。だけど無理しないで」

 

「……互いにな」

 

 二人は背を向けあった状態で二方向に飛んだ。なのははヴィヴィオがいるであろう玉座の間へ、ヴィータは駆動炉を破壊しに向かった。

 

 

 

 

 

 地上の旧市外ではエリオ、キャロとわかれたスバルとティアナがそれぞれの敵と対峙していた。

 

 ティアナとスバルは最初二人で行動をしていたものの、ナンバーズたちによって分断されてしまったのだ。ティアナはボロボロになったビルの中で三人のナンバーズと交戦をしていた。

 

 外にでようにも別のナンバーズの力なのかビル全体が結界のようなもので取り囲まれてしまっている。

 

 ……最悪な状況ね。あっちは三人こっちは一人。

 

 瓦礫の影に隠れながらティアナは愛機であるクロスミラージュを構え、大きく息をついた。

 

「……弱気になっちゃだめ。あの人にも言われた、どんなに危機的な状況になっても諦めるなって」

 

 もう一度大きく深呼吸をしたティアナの目にははっきりとした覚悟の光と、闘志が渦巻いていた。

 

 そのビルより離れること少しの道路上に二人の少女が対峙していた。

 

 一人はスバルであるが、もう一人はギンガだ。しかし、ギンガにはいつもの様な快活な表情が見られない。まるで感情を奪われてしまったかのようだ。

 

「ギン姉……」

 

「……」

 

 スバルの呼びかけにも全く顔を動かすことはせず、無表情のまま彼女はゆっくりと構えを取った。その行動にスバルは悲しげな表情をするものの、一瞬目を瞑ると覚悟を決めたように目を開け、ギンガと同じように構えを取る。

 

 ……決めたんだ絶対にギン姉を救いだすって。

 

「待っててギン姉。絶対に助け出してみせるから!!」

 

 宣言したスバルはマッハキャリバーを駆り、ギンガとの戦闘にはいった。

 

 

 

 

 

 そしてスバル、ティアナと離れたエリオとキャロも自分達が戦うべき相手と相対していた。

 

「ルーちゃん……」

 

 キャロとエリオは黒い服を纏った召喚師の少女、ルーテシアと共にビルの屋根で対峙していた。するとルーテシアは右腕を前に突き出すと、

 

「……ガリュー」

 

 言うと同時に彼女から黒い魔力の塊が溢れ、それが人型を形成していく。それは黒い鎧を身につけた人のようにも見えるが、人とは全く違う異質な存在、ルーテシアの召喚獣だ。

 

 ガリューはルーテシアを守護するように彼女の前に出る。それをみたエリオもまたキャロを守るようにストラーダを構え、ガリューを見据える。

 

「ガリュー。君もルーを守るって心があるのなら、こんな戦いは無意味だって教えてあげないとダメだよ!」

 

 エリオはガリューに呼びかけるが、ガリューはそれは出来ないというように首を振り改めて構えをとる。

 

 エリオもキャロもそれに一瞬悲痛な面持ちになるものの、互いにしっかりとしたまなざしで目の前にいる二人を見据えると、

 

「僕たちは君達をなんとしても止めてみせる!!」

 

「そして絶対にその孤独から救い出してあげる!!」

 

 二人の覚悟が決まり、エリオとガリューは互いに駆け出し、戦闘を開始した。

 

 

 

 

 

 聖はガジェットを切り裂きながら目的の座標へと降り立った。

 

「さて……いるんだろ! ドゥーエ!!」

 

 大声を張り上げながら周囲に言い放つと、木の影から不敵な笑みを漏らしながらナンバーズの二番、ドゥーエが現れた。

 

「来てくれたのね、嬉しいわぁ」

 

「その様子じゃ地上本部での仕事は終了したみてぇだな……」

 

「えぇもちろん。簡単な仕事だったわ、だから次は貴方の番よエシェク。貴方を捕まえて私は貴方を昔の私好みの貴方に作りかえるわ」

 

 狂気に満ちた表情で言うドゥーエに対し、聖は軽く舌打ちをしつつ、長くなった安綱の切先を突きつける。

 

「ハンッ! やれるモンならやってみやがれ、テメェの戦闘向きじゃねぇスキルでどうやって俺と戦うつもりだ?」

 

「そうねぇ……確かに私のスキルは他の子達みたいに戦闘向きじゃないわ。……だけど、貴方の相手は『貴方』がしてくれるから気にしないで大丈夫よ」

 

 ドゥーエの意味深な言葉を聴き、一瞬怪訝そうな顔をする聖だが、彼女は決して笑みを崩すことはなく、恍惚とした表情のまま指を鳴らした。すると、彼女の後ろの木陰に三人の人間がいる気配を聖は感じた。

 

 ドゥーエの動向を警戒したまま聖は彼女の後ろに目を向けた。その瞬間、聖は目を見開き顔は蒼白に染まった。

 

「……まさかッ!?」

 

 聖の驚愕の声に答えるようにドゥーエはその口をスカリエッティのように三日月形に歪ませると、ドゥーエは笑いながら横にはけた。彼女の後ろから三人の青年が姿を現した。三人は同じ体型をしており、髪の色も一本一本全て同じだ。背も全て同じであり、同じバイザーをかけている。

 

 何から何まで一緒な三人を目にし、聖はギリッと音がしそうなほど歯と歯をかみ締めた。安綱も目の前に広がる光景に気付いたのか、いらだたしげな声を上げた。

 

〈外道が……〉

 

 しかし、ドゥーエはそれすらも面白いというように笑みを絶やさずに聖に告げた。

 

「言ったでしょう? 貴方の相手は貴方にしてもらうって」

 

 笑顔で言ったドゥーエに対し、聖は彼女を睨んだ。その瞳には確かな怒りと、殺意、そして憎悪がこめられていた。

 

 そう、今現在聖が対峙しているのは、かつて殺し続けた己自身。

 

 聖のクローン達であった。

 

 

 

 

 

 

 それぞれの思いと、それぞれの覚悟が入り混じる中、最終決戦が開始された。




原作とは全く違う感じですがいかがだったでしょうか?
とりあえずは次はスバルたちの戦闘とエリオ達の戦闘を書いて、その後聖やなのは、フェイトたち隊長陣の戦いへともっていきたいと思っています。

感想などありましたらよろしくお願いしたします。

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