進撃のイスカリオテ~Titan to Dust~   作:マイン

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なんかいろいろ嬉しい評価をもらえてハッピーうれぴーよろぴくねー!状態なんだけど
興味を持ったらニコニコにある「進撃の吸血鬼」という動画も見てみてねー



運命の日

アレクサンド・アンデルセンは一年前、このシガンシナ区にやってきた。というより調査兵団が連れ帰ってきた、という方が正しいだろう。

詳しいことは自分にもよく分からなかったが、なんでもたまたま調査に赴いた森の岩場の陰で倒れていたのを保護されたらしい。パッと見て見つかるような状態ではなかったため巨人にも気づかれずに済んだのだろう。というのが彼らから聞いた話である。

 

録に状況を理解していないアンデルセンは簡単な聴取の後、解放された。その際自分のシガンシナ区での戸籍と来歴(小さな宗教の神父で、食糧難のためにこっそり外に出ていた。ということになった)、そしてウォール・ローズの傍に空き家を一件用意してもらい、そこに住むことになった。キリスト教もロクに知らない異教徒共であるが、このことについては感謝している。

 

 

 

そしてその空き家を有志の元改築し、元の世界のように孤児院となった我が家にてアンデルセンはひと時の休息に浸っていた。

「ふぅ」

アンデルセンは聴取の際、自分が神父であるということは話したが、元の世界や、イスカリオテ、吸血鬼のことは話していない。下手に話せば狂人扱いされる、…いや元の世界でもそんなものだったが、うえに自分を拾った調査兵団とかいう連中が戦っている巨人とやらの戦いに駆り出されるやもしれん。カトリックや法王のためにならば身を粉にしてでも戦うが、誰とも知れぬどこぞの異教徒共のためになどに振るう刃は持ち合わせていない。殺されないだけありがたいと思え。それがアンデルセンの持論であった。

 

「神父様ー、そろそろ時間ですよ」

そういってアンデルセンを呼んだ少女(どことなくハインケルの面影がある)は一番の年長者である12歳のロゴスである

「おお、もうそんな時間ですか。いやはや歳をとったものだ、うっかりしていた」

改築の際、アンデルセンは一つ注文を出している。

「なにいってるんですか、まだまだ若いですよ。さあ”礼拝堂”に行きましょう。みんなが待ってます」

「うむ、ではいこうか」

己が信じるカトリックの礼拝堂を一室に設けるというものである。カトリックを知らぬのならば自分が広めるしかない。司教の真似事などやったことがないが、今を生きる子供たちに救いを説くことぐらいならばできる。礼拝堂といってもマリア像もない、ミサもできないこぢんまりとした祭壇があるだけだが、アンデルセンにとっては大切な心のよりどころであった。

 

礼拝堂に入ると、孤児院の子供に交じり、普段いない子供や大人までいる。彼らはアンデルセンの一年の尽力の結果、信徒となったものたちである。

「みなさん遅れて申し訳ない…おや、エレン君ではありませんか。それにミカサ君にアルミン君も。どういった風の吹き回しですか?」

「…別に。父さんが行ってみろっていうから来てみただけだ」

そうアンデルセンに返事した少年はエレン・イェーガー。彼の父親であるグリシャ・イェーガーはキリスト教、ひいてはカトリックに興味を持ち、何度かアンデルセンの元を訪ねその教えを拝聴している。(といっても信徒としてではなくあくまで研究のためであるが)

「ち、ちょっとエレン!」

「…ごめんなさい神父様。エレンが失礼なことをいって」

いかついアンデルセンにビビりながらもエレンに注意する少年はアルミン・アルレルト。もう半年ほど顔を突きあわせているのに未だにアンデルセンになれないのである。

物おじせずぺこりと頭を下げるのはミカサ・アッカーマン。この三人の中で一番早くアンデルセンに順応できた少女である。

「構いませんよ、理由はどうあれカトリックを知ってもらえるのは嬉しいことですからねえ。ささ、早くお座りなさい」

そんな三人に微笑ましく席を勧め、アンデルセンは祭壇の前に跪き、振り返って皆に告げる。

「ではみなさん、我らが主のためにお祈りを-」

そして聖句を唱える。カトリックここにありといわんばかりに、朗々と。

 

 

 

月日は流れ、845年のある日、アンデルセンは3人の子供と一緒に買い出しに出向いていた。お供をするのは年長組のロゴスと、ベレッタという少女(ミカサと同じ東洋系で、どことなく由美子に似ている)、そして今回買い出し初となるリバーという10歳の少年であった。

 

ロ「神父様、今日は何を買うんです?」

ア「…そうですね、最近野菜ばかりだからたまにはお肉でも買いましょうか」

リ「やったあ!お肉だあ!やったね、ベレッタ姉ちゃん!」

ベ「そうね、でもあんまり余裕はないから少しだけよ」

リ「ええー!」

ア「ふふふ…」

 

そんな会話をしながら街を歩いていると、ふと壁に気配を感じアンデルセンはハッとして壁を見上げる。

「?どうしたのですか神父…様…」

まずロゴス、次いでベレッタ、リバーと後を追うように壁を見上げ、愕然とする。

 

 

 

 

なぜなら50メートルあるはずの壁の上に

 

 

 

 

巨人は絶対突破できないと思われた壁の上に

 

 

 

 

 

その巨人の顔があったのだから。

 

 

 

 

 

 

「化け物(フリークス)…ッ!」

そしてそれを見たアンデルセンの顔は、まるで怨敵を見たかのように憎々しげに歪んでいた。




次回いよいよ神父無双はっじまっるよー

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