進撃のイスカリオテ~Titan to Dust~ 作:マイン
原作セリフ借りんの初めてだけど大丈夫かなあ…
みんな…泣いては…いけ…ま…せん…
寝る…前に…おい…のりを…
AMEN…
それが神父、再生者、銃剣と呼ばれ恐れられていたヴァチカン法王庁第13課イスカリオテの神父、アレクサンド・アンデルセンの最後の言葉であった。
アンデルセンに、後悔はなかった。あの吸血鬼(フリークス)を殺せなかったのは残念だが、ハインケルも由美恵も生き残った。あとはあいつらに任せておけば、ヴァチカンも安泰だろう。自分は、先に行ったあのどうしようもないバカを小突きにでも行くとしよう。
そう思い、安らかな死の安寧に身を任せた。
だが、運命は彼を戦いから遠ざけなかった。むしろより孤独な戦いの火中へと叩き込んだのである。
巨人と人間の戦いの中へ。
ここは巨人が大地を支配する世界。
シガンシナ区。ウォール・マリア内側、3枚の壁で囲まれた都市の中で最も外側にあり、多くの民衆が住まうエリアでもある。とはいえ外側の壁の高さは50メートル、確認されている巨人の最大の身長が15メートルである以上、安全であると思われていた。あの日までは。
「うわあ!なんだよこいつぅ!」
「この、このぉ!」
シガンシナ区の外れ、市街地から少し遠ざかった2枚目の壁、ウォール・ローズの傍にある小さな孤児院の前で二人の男の子が取っ組み合いをしていた。他の子達は玄関脇からこっそり見ていたり、それを見て、囃し立てているものもいた。
すると、建物の中から大柄な男が出て喧嘩している二人に呼びかける。
「コラーッ、二人ともやめなさい!」
そういうとぴたりと喧騒はやみ、当人たちも、手を止めて申し訳なさそうに下を向く。
「友達同士で喧嘩しちゃいけないでしょう。謝りなさい」
「はあい、ごめんなさい」
「…ごめんなさい。でも神父様!エドが悪いんですよ!調査兵団で死んだおれの父ちゃんのことバカにして!」
やられてたエドという少年に続き、殴っていた少年もお互いに謝るが、彼はその喧嘩の原因を男に告げる。
すると男はうなずき、次いで穏やかな顔でエドに語りかける。
「いいかエド、リンクのお父さんは人間のために戦い、そして死んでいったんだ。人間の勝利を信じて戦ったんだ。それはとても立派なことなんだ。間違っても、けなしたりしてはいけないよ」
そういうとエドはうなずき、リンクを見てもう一度謝罪する。リンクも今度はそれを笑って受け入れた。
それを見届けたのち、男は立ち上がって今度は周りに呼びかける。
「みんなもいいですかあ?」
ただし今度は笑いながらも眼に確かな決意と殺意を込めて、
「暴力を振るってもいいのは巨人どもと異教徒共だけです。わかりましたか?」
『はーい、神父様』
神父、アレクサンドアンデルセンはそう言った。
とりあえずここまで