下手くそですがどうぞよろしくお願いします。
甲賀卍谷、伊賀鍔隠れ源平の昔より数百年、互いに憎悪を抱く不倶戴天の敵同士でもあったが服部半蔵の統制下、両門争闘の禁制により和平を保っていた。そんな中、徳川家康は世継ぎを決めるため伊賀と甲賀双方を争わせる使命を与えた。
その争いも十日ばかりで伊賀十人衆、甲賀十人衆も伊賀の朧と甲賀の弦之助を残すのみ。
最終決戦の地は駿府城西方安倍川。服部半蔵の立会いのもとの果し合いとなったが、勝敗は火を見るより明らか。甲賀弦之介は伊賀の秘薬により目を開くこともできず不死の伊賀忍者薬師寺天膳との死闘での毒を受け満身創痍。伊賀の朧の、竹千代側の勝利は目前であった。
朧は服部響八郎より借り受けた小太刀を源之助は太刀を持ち向かい合う二人。朦朧とする意識の中、源之介はこれまでの伊賀との争いを思い返す。
ー恐るべき忍法を身に着けた双方が長年の祝宴と称し、憎み合う。真、おろかの極みとわしは思う。本当は誰もが殺しとうはなかったはずじゃのにー
だが、多くの里の仲間が闇に散り、血を流し、すでに取り返しのつかないところまで来てしまった。どちらかの命を持って終えなければならない。
「えぇい何をしておる!朧、はようその甲賀ものを殺すのじゃ」
阿福は待ちきれずに催促する。それを合図に朧の小太刀は弦之助に向けられる。
ーもう、刀を構えることすらできないか…。ー
弦之介の体はすでに毒に深く侵されているようであった。
愛しあったものと殺しあう。これも忍の家に生まれた定めなのか。
覚悟を決め刃を待つ。
「大好きです………弦之介様…」
その言葉を最後に朧の小太刀の先は円を描き源之助ではなく朧自身の心の臓をゆっくりと差し込まれていく。
その時を見計らったように弦之介にかけられた秘薬の効果が切れ弦之介は目を開く。
「……」
何も言葉が出なかった。朧はただ眠りについているようで、少し微笑んでいるようにも見えた。だが、その胸には深々と刺さっている。
「うぁぁぁ、誰か、誰か弦之介を討ってたもう」
阿福の叫びに従者も鞘から刀を抜き弦之助に切りかかる。弦之介四方から切りおろされようとされた瞬間、一瞬にして空気が一変し弦之介の瞳は金色に変わる。従者の刃が止まり自ら首を断ち自害するもの、お互いに切りあいうもの、弦之介の周りは阿鼻叫喚、地獄のありさまと化した。
弦之介はゆっくりと歩きだし、忍法帳をとり、朧の元へ戻る。
「朧…」
朧の胸の小太刀を抜き取り強く抱きしめる。
「…朧……」
忍びの家に生を受けなければこのような結末でなく違った未来があったであろうに。
朧の血を指に付け朧と弦之介の名の上に塗りつけ最後にこれを最後に書きたるは伊賀の忍者、朧なりと記し空に向かい投げ上げる。伊賀の鷹はそれを受け取り飛んでいく。
「伊賀の勝ちだ。城へ行け。」
すべてこれで終わった。この身も長くは持つまい。さればと弦之介は朧を抱き上げ安倍川へと向かう。
朧を見ているとふと朧の言葉を思い出す。
『ともに風に吹かれしとき、ともに夢を刻みしとき。ふと、思うことがあるのでございます。弦之介様とわたくしとは遠い昔、一つの魂だったのではないのかと。二つに分かたれた魂が、あるべき姿に戻りたがっているのではないのかと。なればこそ私はこんなにも弦之介様を…』
『一つの魂ならば必ずあいよるじゃろう。たとえ幾瀬を隔たれようと、たとえ幾夜を生きようと、必ず。』
そう、たとえ
「必ず」
小太刀を胸に突き朧を抱きながらゆっくりと意識を失っていった。
弦之介主人公にしたらヒロインが朧以外思い浮かばない……
個人的には万千代姐さんだいすきだからヒロインにしたいけども