ハリー・ポッターと欲望の錬金術師   作:ドラ夫

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物凄い才能を物凄い馬鹿な事に使う話です


第1章 欲望の錬金術師と賢者の石
第1話 バーソロミュー・フラメル


 とある山に見すぼらしい小屋があった。

 何の変哲もない木で作られ、たいした大きさもなく、壁には蔦が絡み付いているただの小屋。

 一見何の価値もなさそうなこの小屋だが、ありとあらゆる人間が、最盛期には例のあの人でさえこの小屋を探していた。

 何故なら、ここに住んでいる人物は伝説中の伝説と言われた男。不死の錬金術師ーーニコラス・フラメルなのだ

 

 

 

 彼と妻が二人で住んでいるはずのこの小屋に、一人の男の子がいた。

 肌は白いが体はかなり引き締まっており、身長も高い。

 髪は白銀に近い程眩い金髪、所謂プラチナブロンドと呼ばれるそれは品良く切り揃えられており、何処かの国の王族の様な印象を受ける。

 そして何より瞳。見た者を惑わす淫靡な輝きを放つ、蠱惑的な紫色の瞳

 

 しかし顔は確かに美形なのだが目つきが悪く、常に不機嫌そうな顔をしているせいか、近寄りがたい雰囲気を放っている。

 そんな彼の名はバーソロミュー・フラメル。

 生きる伝説ニコラス・フラメルの孫だ

 

 バーソロミューは確かに容姿も素晴らしいが、彼の真に優れている点は外側ではなく中身、つまり頭脳だ。

 彼は一度見た事は絶対に忘れず、永遠に覚えていられた。

 また型に嵌らない柔軟な思考も持っており、簡単に知識を蓄える事が出来る彼は7歳にして、錬金術に関する歴史的な発見をいくつも成し遂げていた。

 そして何より素晴らしい事に、彼は学問を納めるという事に非常に意欲的だった。

 彼は2歳になる頃から日に18時間という学者顔負けの勉強量を毎日こなしており、それを喜びとしていた。

 脳が疲れて勝手に眠ってしまうまで勉強をし続ける。それが彼の日常だった。

 また日々様々な壁にぶつかりながらも決してめげず、ひたすら錬金術の深淵を覗かんと努力し続ける事が出来る不屈の精神も持っていた

 

 

 しかし、彼は歪んでしまった。

 彼は幼い頃より遺憾無くその才能を発揮し、ありとあらゆる賞を獲った。

 最初の頃はほとんど人間が彼を褒め讃えたが、彼のそのあまりに強大な才能故か徐々に人々は彼を恐れ、離れていった。

 また彼に嫉妬する人間も少なくなかった。

 しかしそれも無理からぬ話だった。

 人生を賭けて挑んでいた難問を、生まれて間もない彼があっさりと解いてしまうのだ。プライドを傷つけられた、というレベルではない。それは彼等の人生の否定につながった。

 しかし彼には、生まれ持った能力面は仕方がないにしても、自分以下の努力しかしていない人間が妬みから騒ぎ立てる様にしか見えなかった。

 彼は7歳にして、人間という()に失望した

 

そして彼は苦悩の末、ある結論に達した

 

 

 自分と同等の頭脳を持つ人間も、学問に対する意欲を持つ人間も居ない。

 だったら、作ってしまえばいい!

 俺様と同等の頭脳を持ち、常に学習し続ける人間を!そしてどうせなら、誰もが嫉妬する様なとびきり美しい女にしてやる!

 ジジイが賢者の石(究極の物質)を作った様に、俺様はラブドール(究極の人間)を作る!!!

 

 

 

 

いかに天才と言えど、結局彼も男の子。つまり、そういう事だ。

こうして彼の、究極のラブドール作りが始まった


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