宮守の神域   作:銀一色

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東三局です。
ギリギリ投稿間に合いました……!


第61話 決勝戦 ⑨ 波乱の予感

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視点:神の視点

東三局 親:辻垣内 ドラ{二}

 

小瀬川 36,300

照 18,600

辻垣内 21,100

洋榎 24,000

 

 

 

 

小瀬川が宮永照に満貫の直撃を果たした前局、小瀬川以外の三人は少し小瀬川白望という悪魔に恐れをなしていたが、其々解釈や発想を変えて、その恐怖に真っ向から立ち向かった。

そしてこれで全員の気持ち、闘志がやっと等しくなったこの東三局。ここからが"本当の勝負"の始まりと言っても過言ではないだろう。

立ち上がりの四人の配牌は全員がまずまずと言ったところ。打点、手の進みやすさ、この二つの点から考えても、全くと言っていいほど対等な条件である。この時点では、まだ誰が和了るかという予想はできそうにもない。そう思わせるほど四人の配牌は拮抗していた。

 

配牌から6巡が経ち、未だ場に鳴きやリーチなどの動きは見られず、暫く対局室には沈黙が生まれていた。配牌から四人の手は進んだものの、一人が進んだと思えばもう一人が進み、そしてそれを追いかけるように二人が追いつき……といった追いかけっこを繰り返していて、四人は同じ速度で手を進めていた。

そして事が起こったのは8巡目。北家の宮永照が拮抗状態から一歩足を出し、誰よりも先に聴牌に辿り着く。

 

 

「リーチ」

 

宮永照

打{横③}

 

 

そしてすぐさま1,000点棒を取り出して、リーチの宣言をする。その行為に淀みはなく、迷いなき眼で放ったリーチであった。

先陣を切って宣言した宮永照。そしてそれに追いつくように辻垣内は、リーチの直後のツモによって聴牌に至る。

 

辻垣内:手牌

{六六七八⑤⑥⑥⑦⑧⑧789}

ツモ{⑦}

 

 

{⑤}か{⑧}、もしくは{六}を切って聴牌。{⑤と⑧}の場合は{六九}待ち、{六}の場合は一盃口は確定しないものの、{⑤⑧}待ちとなる。ここは一盃口を確定させるために{⑤}を切りたいところだが、意外にもこの選択に辻垣内は悩んだ。

そして悩んだ末に出した牌は{六}。一盃口を確定させず、{⑤⑧}待ち聴牌。何故この聴牌にとって、一盃口が確定する{⑤}を切らなかったのかと言われれば、他の誰でもない宮永照のせいである。

 

 

宮永照:手牌

{赤五五六六七七⑥⑦33567}

 

リーチタンピン三色一盃口赤1の手。{⑤}がでれば高目となる。つまり辻垣内が{⑤}を切っていれば、一発がついて倍満となっていた。辻垣内はこれを読んで{⑤}を切らず、{六}を切ったのだ。確定一盃口という甘い罠につられずに、辻垣内は倍満直撃を回避する事が出来た。

 

そして次に聴牌に至ったのは小瀬川。断么七対子を聴牌し、ドラである{二}を抱え、待ちは奇しくも辻垣内と宮永照と同じ待ちの一つ、{⑧}単騎待ちであった。

しかし、既に{⑧}は辻垣内が二枚持っているため、残された{⑧}はあと一枚のみの地獄待ちである。故に、待ちが一種多い辻垣内と宮永照の方が有利な状況といえよう。

 

小瀬川

打{西}

 

 

これで三人が聴牌に至る。未だ聴牌していないのは愛宕洋榎だけだが、彼女はそんな事は気にも留めなかった。彼女には彼女なりの策があったからである。

小瀬川の一打から宮永照、辻垣内へとツモ巡が回るが、二人とも和了牌を引き入れる事はできず、場が動く事はなかった。

そして愛宕洋榎のツモ番になり{②}をツモる。これで彼女も三人に一巡遅れではあるが聴牌する。そして打牌するかと思いきや、ここで愛宕洋榎は手牌にある内の4枚を晒す。暗槓だ。

 

 

「カン!」

愛宕洋榎:手牌

{裏裏裏裏裏裏裏裏裏裏} {裏11裏}

 

新ドラ

{8}

 

 

「ツモ!」

 

 

愛宕洋榎:和了形

{九九九①②③⑨⑨79} {裏11裏}

ツモ{8}

 

 

「嶺上開花に新ドラを加えて跳満……3,000-6,000や!」

 

 

そして流れるように嶺上開花でツモ和了る。槓によって生まれた新ドラに嶺上開花を加えて満貫どまりの手が跳満に成長した。全て愛宕洋榎の計画通りだ。

愛宕洋榎は他の三人と聴牌がほぼ同じタイミングになると最初の方に悟っていた。だからこそ、手牌を狭めてまで{1}を槓材として残していたのであった。聴牌に至った時、暗槓によって一歩先を行くため。その結果愛宕洋榎だけが一巡遅れとなってしまったが、その間誰にも和了られず自分の番へと回ってきたので結果オーライである。

 

 

(やられたッ……!ここは鳴いてでもいいから連荘に向かうべきだったか……?)

 

 

辻垣内は愛宕洋榎の和了形を見て、内心舌打ちする。これで親を流されたどころか、跳満の親被りである。舌打ちしてしまう気持ちも頷ける。

悔しそうにする辻垣内とは対照的に、宮永照と小瀬川は氷のように固まった表情で愛宕洋榎を見つめる。この二人は粗方予想していたようで、愛宕洋榎が暗槓した時も、和了った時も眉一つ動かさずにそれを見ていた。

そして三人を振り切り、無事に和了った愛宕洋榎は、心の中で大いに喜んでいた。夢にまで見た決勝の舞台に最高の好敵手。その中であのように完全な形で和了れば、嘸かし嬉しいであろう。

 

(……ええ調子や!どんどんギア上げてくで!)

 

 

そして次の親は現在絶好調の愛宕洋榎である。ここでどれだけ稼げるかが今後の展開を変えていくであろう。無論、辻垣内ら三人はただ見過ごすわけにもいかない。東場最後の局は、始まる前から既に荒れそうな予感を醸し出している。

 

 




今回急いで書いたので中々に文書が乱れていそうですね……
今後の展開も現実の忙しさも一段と激しくなっていくでしょう……

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