絶望のシロの親番…
これじゃあ完全にシロが悪役だけど、アカギ原作でも鷲巣様が主役で、アカギが悪役みたいな感じだしヘーキでしょ(なげやり)
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東四局 親:小瀬川 ドラ{七}
小瀬川 33900
モブA 23700
清水谷 18100
モブB 24300
小瀬川の親で始まる東四局。前局、前々局と和了ってきた小瀬川にとってのここでの親番は、最高以外の何物でもなかった。
小瀬川:配牌
{二四五六七④⑥⑦⑨5西発中中}
配牌も結構良さげだ。{中}の対子に、ドラもあり、おまけに三向聴だ。鳴きの中ドラ1でも、面前でも攻めることができる理想的配牌。
小瀬川
打{西}
この東四局では小瀬川は『絶一門』をしかけなかった。もともと、清水谷を折るためだけの戦法だったので、清水谷が茫然自失の今『絶一門』は使い物にならないと判断した。
やはり今の流れは小瀬川一辺倒のようで、他3人と比べて明らかに手の進む速度が違う。6巡目にして3人は未だ三向聴未満だが、小瀬川だけは聴牌まであと一歩の一向聴まで手を進めていた。
そしてその勢いは止まることなく、8巡目。
小瀬川:手牌
{四五六七⑥⑦345発中中中}
ツモ{⑧}
小瀬川が聴牌に至る。中ドラ1が確定している手。待ちは通常なら{発}を切って聴牌だろう。だが、
(この{発}は使える。地雷となって、竜華を刺せる武器になる…)
そう。{発}は現在今持っている{発}を除けばさっき場に二枚見えている。つまり地獄待ちだ。そしてその最後の一枚を持っているとしたら清水谷だ。彼女は役牌を私に鳴かせまいとして字牌を意図的に止めている。となれば、{発}が二枚見えれば彼女は切ってくるだろう。しかも{発}の二枚目は私のツモの前、さっき下家が直前で切ったのだ。即ち、次清水谷が切る牌はほぼ{発}で決定だろう。
無論リーチはかけない。完全に闇に溶け込んで清水谷を討つ構えだ。
小瀬川
打{四}
そして清水谷のツモの番。引いた牌は場に生牌の{中}。この{中}は既に小瀬川が暗刻っているが、そんなことは知る由もない。
そしてしばし考えた後、打{発}。それとほぼ同時、
「ロン」
小瀬川が発声する。それを聞いた清水谷の体が少し跳ねた。
小瀬川:和了形
{五六七⑥⑦⑧345発中中中}
「4800。」
闇に溶けた刃が清水谷を襲い、そして貫いた。詩人などがこの場にいたら、そう表現したであろうこの和了りは、まさしく黙聴、闇聴の名に相応しい和了りだった。
(どうした"清水谷竜華"。霧を払ってみろよ。私が作った幻想の霧を…)
そう清水谷に心の中で言い、100点棒を取り出す。
「一本場…私の連荘…!」
小瀬川がそれを右端に投げ、東四局一本場が始まる。
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東四局一本場 親:小瀬川 ドラ{中}
小瀬川 38700
モブA 23700
清水谷 13300
モブB 24300
小瀬川の親である東四局一本場。そう、ここからなのだ。さっきまでのはただの序章に過ぎない。この局から小瀬川白望の本当の地獄。連荘地獄が始まる。
まず一本場。相変わらず流れのいい小瀬川は僅か3巡で聴牌し、上家から出和了る。
モブA
打{八}
「ロン」
小瀬川:和了形
{一二三四五六七九⑨⑨南南南}
「一気通貫。一本場を加えて4200。」
軽く40符2飜を和了る。その異常な手の速さは、誰も寄せ付けない。まさに独壇場。一人麻雀。そんな声が聞こえてくるほど呆気ない和了りだった。
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東四局二本場 親:小瀬川 ドラ{三}
小瀬川 38700
モブA 23700
清水谷 13300
モブB 24300
東四局二本場では、東四局、東四局一本場とは打って変わったような和了であった。
「カン」
小瀬川:手牌
{一一一一二三③③③西} {裏77裏}
ドラ{三、西}
{7}の暗槓。新ドラに{西}が乗り、これでツモれば嶺上開花、自摸、三暗刻、ドラ3。無論ここで引けない小瀬川ではない。そのまま流れに身を任せ、
「ツモ」
小瀬川:和了形
{一一一一二三③③③西} {裏77裏}
ツモ{西}
「自摸、嶺上開花、三暗刻、ドラ3。跳満に二本場を加えて6200オール。」
当然の如く嶺上自摸でツモ和了る。この勝負初めての跳満和了。この二本場まで大きくても満貫止まりで、しかも一回戦のようなノーテンリーチやブラフなどのトリッキーさは無く、ただただ裏をかいて細かい打点でチマチマ和了っていた印象とは正反対と言える和了り。
そんな彼女のオーラはまさに獲物に飢えた獣。清水谷という"エサ"を逃しはしないといった感じで和了りを積み重ねていく。
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東四局三本場 親:小瀬川 ドラ{九}
小瀬川 57300
モブA 17500
清水谷 7100
モブB 18100
とうとう小瀬川の親もこれで4回目。三本場に突入した。今の小瀬川と清水谷の点差は50200。役満をツモっても吹っ飛ばないこの点差は、まだ前半戦の東四局であっても絶望的であった。
通常、50000点差はそうそうひっくり返す事はできない。それが普通だ。だが、可能性は無くはない。良く考えれば満貫直撃や7700直撃4回で吹き飛ぶ差だ。リーチタンピンドラ1。これを4回当てればいいだけの話だ。そう考えるとまだ希望はありそうにも見える。
だが、それは仮に普通の奴が相手だったらの場合だ。小瀬川白望が相手でなかったらの話だ。
まず、前提として小瀬川は絶対に振り込まない。振り込んだと言っても、一回戦の白水に差し込んだ一回きりだ。県予選から数えても、小瀬川が振り込んだのはその一回だけだ。
感覚をも超越した彼女の読みは、普通の人間が一生を費やしても手に入れる事はできないであろう。
そんな彼女から、満貫直撃や7700直撃を4回。馬鹿げた話だ。そんな無茶苦茶な事をするくらいなら、役満を和了る方がまだ希望は持てるであろう。可能性はあるのだから。
…もっとも、役満を和了る前に彼女が阻止するだろうが。
ここまで、現時点での絶望感を語ってきたが、まだ地獄は終わっていない。まだ彼女の親番は続いているのだ。
ここからもっと点差は広がる一方であろう。誰かが止めようとしないと、トビが存在しないこの準決勝ではこのまま一生和了り続けるだろう。
だが、分かっていても動けない。それを止めようとしたら、本当に恐ろしい何かが見えそうな気がする。そんな見えない恐怖に清水谷は覆われていた。
(…この局で終わりだな。)
そんな清水谷を見て、小瀬川が心の中で思う。この三本場、ここがターニングポイントだ。ここで小瀬川を止めることができなければ、勝ちの目はゼロだ。
逆に、小瀬川の親を蹴ることができたら、その時は…
(勝つ気じゃなく、殺す気で行くよ。"清水谷竜華"…。)
…清水谷は小瀬川の相手ではなく、敵になるであろう。
シロが最近ドSな件。
親を蹴れなきゃこのまま負け、蹴れたら殺す気で行くとかどっちにしろ竜華がやられるじゃないですかやだー!
因みに言うと、シロの本気と殺す気の違いは
本気→勝負に勝つ。一位になる。
殺す気→心を完全に折る。何がなんでも執拗に狙い、相手を壊す。
みたいな感じです。完璧にシロが若き頃のアカギに近づいていってる。怖い(小並感)