宮守の神域   作:銀一色

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シロと怜の二時間の最後です。
リクエストもやって、どうぞ。(しつこい宣伝)



第34話 準決勝前 ④ 温泉

 

 

 

 

 

 

 

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視点:小瀬川白望

 

 

 

「なぁ…イケメンさん。」

 

気がつくと、私の上にいたはずの怜が隣にいて私を揺すっていた。どうやらあのまま本気で寝てしまったらしい。

 

「あー…おはよ。」

 

寝ぼけていた私は時間ハズレな挨拶を怜に言い、上半身を起こし、現在時刻を確認する。時間は17:20分。結構な時間寝ていたようだ。

 

「それで、どうする…」

 

約束の18時までは少し時間があるので、これから何をするかを怜に聞いたところ、怜が胸を張って

 

「ふふ…もう考えてあるんやで。」

 

と自信満々に言う。少し時間はあると言ったものの、40分程度しか無いが大丈夫なんだろうか。

 

「それはな…」

 

怜が勿体振るように言う。私は見当もつかないので、黙って聞くしかない。

 

「…温泉や!」

 

 

「温泉…?」

 

温泉。ここのホテルにそんなものあったのか。初めて聞いたし、何よりもここのホテルはあまりにも豪華すぎないか…いくら全国大会とはいえ小学生が泊まれるようなクラスではないぞ。

 

「せっかくあるんなら行かんとな。ほな、行くで。イケメンさん。」

 

そう言って怜がバスタオルや浴衣などを持ってドアの前に立つ。準備がよろしいこと。

 

一回部屋に戻るのも面倒なので、竜華の分の浴衣とバスタオルを頂戴して一階にある温泉に行くことにした。

 

 

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ホテル 温泉

 

 

 

部屋から出て温泉がある一階についた私と怜は、女湯と書かれている暖簾を通った。

 

脱衣所には誰もいなく、温泉にも人はいない様子で、貸切状態であった。流石に夕食前に入るという人はいないか。

…温泉マニアならやりそうだが、女でそれはいないだろう。多分。

 

 

私は何ら躊躇せずに服を脱ぎ始めようとする。すると怜が私に声をかける。

 

「ちょ、ちょい待ち。イケメンさん。何ナチュラルに脱いどるんや…」

 

私は全く表情を変えずにこう言う。

 

「…?怜も分かってて温泉に入ろうって言ったんでしょ?」

 

すると怜は顔を真っ赤にしながら私に背を向けて、何かを呟いていた。

 

 

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視点:園城寺 怜

 

 

(積極的すぎやないか?イケメンさん…少しくらいは躊躇せえや…)

 

イケメンさんがいきなり服を脱ぎだした事に驚きを隠せないウチは、ついイケメンさんに背を向けてしまった。

いや、温泉に一緒に入るというという事は、つまりそういうことだ。そうだと分かっていた。理解していた。が、心の準備はまだできてなかった。

 

そうウチが考えている内に既にイケメンさんは脱ぎ終わったようで、中に入っていてシャワーで体を洗っていた。

 

遠くから見ても分かるように、イケメンさんの体は綺麗な体で、惚れ惚れしてしまうほどの艶やかな肌だ。

 

 

(イケメンさん…)

 

今イケメンさんのこの姿を見ているのは、世界中の中でもウチ1人だと思うと、優越感に浸れる。

 

腹を括ったウチは服を脱いで、イケメンさんの隣に行こうと、扉を開けた。

 

 

 

 

 

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視点:小瀬川白望

 

 

 

何かを呟いていた怜を置いてきた形になってしまったが、いずれ来るだろう。

 

 

中に配備されていたシャワーを使って体を洗っていた私は、温泉の近くにある効能などを見ていた。

 

 

【泉質】ナトリウム塩化物強塩温泉

【効能】神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え症、病後回復期、疲労回復、健康増進

 

 

(ナトリウム塩化物強塩温泉…ねえ。)

 

別にそれを見たところで何かが分かったり、理解できるわけでもないが、効能とかをしっかりと見るのは温泉通っぽくて私は好きだ。何か温泉に詳しくなった気がするから嫌いではない。気がするだけなのだが。

 

 

 

そうして、気がついたら怜が扉を開けた音がした。タオルに身を包んだ彼女が、私の隣にやってくる。

 

丁度体も洗い終わったところなので、怜と入れ替わる事にした。

 

「…先入ってるから。」

 

すると彼女は視線を落としながら

 

「せ、せやな…」

 

と何故か恥じらいながら答える。一体何があったのだろう。

 

 

兎にも角にも、私は温泉を堪能しようと、温泉に浸かる。

 

温度はちょうど良く、体の芯まで温まるのが分かる。実際どうかは分からないが、疲れがとれるような気がする。

 

(あー…やばいこれ…)

 

駄目だ。このままでは気持ちが良さすぎてのぼせるまで入ってしまいそうだ。

 

そんな状態の私の隣にシャワーで体を洗い終えた怜が入ってくる。

 

「ああ〜…ええなあ。」

 

怜もこの温泉を気に入ったらしく、心の底から出たような声を上げる。

 

 

 

そこから十数分が経ち、のぼせそうになる前に私と怜は温泉からあがる事にした…はずだった。

 

「なあ。イケメンさん」

温泉から出た私の腕を掴み、怜がどこかを指差してこう言った。

 

「サウナ行こうや!ウチ、一回行ってみたかったねん。」

 

怜が指差していたのはサウナであった。サウナ。確かフィンランドの蒸し風呂とかだったけか。

 

のぼせる寸前の私は遠慮したかったが、怜が行きたいと言うのなら仕方ない。のぼせるまで入ろうじゃないか。

 

 

と、若干思考回路がおかしくなっている私と怜はサウナに入った。

 

 

 

 

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サウナ

 

 

ドアを開けて最初に感じだのは異常な熱気である。試しに一回外に出ると、そこは屋外かと錯覚するぐらい涼しかった。いや、サウナが異常に暑いだけである。

 

怜は楽しそうにサウナ室にある椅子に腰掛け、私が座るのを待っている。

 

ええい。どうにでもなれと投げやりになりながら私は怜の隣に座る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局耐えきれなくなった私と怜は逃げ込むようにしてサウナ室から抜け出した。あれから何分が経っただろうか。数十分かもしれないし、もしかしたら5分も経ってないかもしれない。

 

 

異常なまでの熱気に煽られた私たちは、ボーッとしながら脱衣所に行き、着替える事にした。

 

 

「もうサウナはいいかな…」

 

「せやな…一回で十分や…」

 

 

もう二度とサウナにはいかない。そう固く決意した私たちは、夕食会場へと向かう事にした。

 

 

 

 

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夕食会場

 

 

夕食会場に向かった私と怜は、塞達と合流した。

 

 

「シーロー!!」

 

胡桃と塞が私に抱きつく。その勢いは凄まじく、危うく倒れそうになるところだった。

 

「シロ!大丈夫か!」

遅れてきた智葉が切羽詰まった表情で私に駆け寄る。なんだ大丈夫かって。捕まったわけでもないのに。

 

 

「しかし、シロ。何故浴衣…ハッ!?」

智葉が浴衣姿の私に疑問を持つも、すぐにそれは解決したようだ。

 

隣の怜を見ると邪悪な笑みで智葉達を見つめる。その笑みは優越感で満たされている。

 

 

「おー、小瀬川さん。二時間前ぶり」

 

遅れて哩、久、やえ、竜華もやってきた。

 

 

これで9人全員が揃い、私達は夕食をとって各々の部屋へ行き、夜を迎えた。

 

 

 

 

 

 

 




次回は準決勝前日です。
今までのはあくまでも一回戦直後の話です。準決勝前日は次からです。

…そんなに内容濃くないと思いますがね。

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