宮守の神域   作:銀一色

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多忙だったせいか、二日振りなのに久々と感じました。


第446話 二回戦大将戦 ⑮ 天啓か毒か

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視点:神の視点

東四局 親:永水 ドラ{白}

清澄  91500

宮守 100300

姫松 112300

永水  95900

 

 

 

姫松:三巡目

{一三五六裏赤⑤⑦246裏東裏}

 

 

 

永水:三巡目

{一一二二裏四四裏八八東東白}

{一一二二二四四四八八東東白}

 

 

 

清澄:三巡目

{裏九九裏①裏⑥⑥222南南}

 

 

 

宮守:三巡目

{六裏八②④⑤4裏裏裏裏} {横三二一(黒)}

打{六}

 

 

 

『黒牌の一萬ってことは……もう一萬は存在しないということじゃないか……よりにもよって奴が潰していたとは……クソ……ッ!』

 

 

 

 

 鷲巣巌は怨念を込めるように右手をグググッと握りしめ、歯をガチガチと音を立てて鳴らす。自分が求めていたはずの最後の一萬が、よもや小瀬川白望に食い潰されていたという事を知り、必要以上に悔しさを溢れんばかりに滲ませる。仮想アカギ、というよりほぼアカギとして小瀬川白望を見ている鷲巣巌にとって、これは屈辱極まりないものであった。よりにもよって小瀬川白望に狙っていた牌を潰されるとは。

 

 

 

『が……しかし……一萬が潰されたところで、八萬、東……!これらさえ残っとればツモれる……十分……!先のツモではしくじったが……あれは言うなれば、奴の執念、狂気がわしの運に、水を差した……!僅かに生み出した……小さな淀み……翳り……!』

 

 

 

 

『どれだけわしが豪運とはいえ、奴やアカギの前では……絶対というわけではない……!実を無に帰す規格外……が、二度目はない……この鷲巣巌ともあろうわしが二度、同じ過ちはせん……!アカギだろうと……何だろうと……!聴牌だ……次のツモで……ッ!』

 

 

 

 

 そして鷲巣巌の怒りのボルテージはだんだんと下降していき、末原恭子が打牌した頃には鷲巣巌は冷静を取り戻す。今末原恭子が打牌した牌は東。この東、鷲巣巌は鳴こうと思えば鳴くことができる牌だ。しかし、鷲巣巌はあくまでも四暗刻、役満狙い。それ故に石戸霞に『構わん。引け……!わしが狙うのはあくまでも役満。それを崩す副露など言語道断じゃ……!』と、東を見送ってツモをするよう指示する。

 

 

 

『あるんじゃろ……八萬と東……ならば良し……それで十分……ッ!』

 

 

 

 

 そうして、鷲巣巌からの指示を受けた石戸霞が中央の穴に手を入れようとしたところで、鷲巣巌はある事に気がついたように声を漏らす。

 

 

 

『あ………………?()()()()()()()……?』

 

 

 

 

宮守:捨て牌

{9西六}

 

 

宮守:四巡目

{裏八②④⑤4裏裏裏裏} {横三二一(黒)}

 

 

 

 

 

『ああッ…………!?言い切れん……確かに言い切れん!八萬と東がまだあるとは……!』

 

 

 

 

『ま、待て!石戸!その手を止めろ!』

 

 

 

 

 鷲巣巌が慌てて石戸霞の事を引き止めようと声を荒げる。それを聞いた石戸霞は条件反射的にびくりと手を震わせ、あと少しで穴に手が入ろうというすんでのところで手の動きを止めた。石戸霞は疑問そうに鷲巣巌に問い掛けるが、鷲巣巌はそれに応答せずに、黙ったまま熟考を始めた。そうして場の空気が止まってから十数秒後、ようやく鷲巣巌が口を開いた。

 

 

 

『ぐぬぬッ……!……可能性は低い。が、有り得るやもしれぬ……!』

 

 

 

(……どういう事かしら?)

 

 

 

『奴の手牌と、直前に切った牌を見ろ……』

 

 

 

 鷲巣巌は石戸霞に向かって、小瀬川白望の手牌と捨て牌を見るように示唆する。その上で鷲巣巌は『奴が直前に切った六萬……あの手牌から察するに、普通は有り得ん打牌……そう思わんか……?』と尋ねる。確かに鷲巣巌の言う通り、{六八}の状態から六萬を切るというのは考えにくい。黒牌が何かにもよるが、かといって六萬切りは無いだろう。搭子落としという可能性もあるが、一刻を争うこの状況で搭子落としがどれほどに無意味で遠回りかという事は言うまでもない。

 だが、唯一、小瀬川白望があの状況から六萬を切ってもおかしくないという状況が存在する。それは、あの大量の黒牌の中の一枚が、八萬である状況。つまり、一萬に引き続き八萬も小瀬川白望が握り潰しているという事だ。それならば、あの六萬切りも納得がいく。

 

 

 

『即ち……先にツモったドラの白……奴に水を差された結果などではない……!言い換えるならば、神からの使者……僥倖……天啓……!土壇場の土壇場で……天は照らしたのだ……正解への道……!逸れたわしらに……垂れた……!一本の糸……!いや、糸ではない……橋……!崩れを知らぬ強固な橋が……かかった……!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……そう考える……じゃろ……?』

 

 

 

 そこまで前置きをした上で、鷲巣巌は一層狂気に満ちた笑みを浮かべながら、まるで小瀬川白望に向かって言うようにそう呟く。『そこまで考えが至ったのなら……当然、ここは四暗刻を諦めるべき……さっさと倍満なり三倍満なりを和了った方が確実……八萬が対子となっとるなら、強引ではあるが聴牌してるようにも見える……ここは賢明な判断が求められる……そりゃあそうじゃ……48000か0かよりも……24000、36000を確実に取った方が良いに決まっとる……ッ!』と続けた鷲巣巌は、石戸霞に向かってこう言う。

 

 

 

『が……それこそ罠……!天啓でもなんでもない……毒……!今は倍満や三倍満で満足するが……最後の最後で……結局それが裏目……死に至らしめる猛毒となる……!これが奴にとって最も好都合な展開……ッ!』

 

 

 

『持っとらんよ……八萬も、東も……ッ!わしが引く牌だ……残っておるに決まっとる……!』

 

 

 

『間が開いてしまったが……引け……!引いて引導を渡せ……あの悪魔……虎視眈々と首を狙うあの悪魔に…………!』

 

 

 

 そう言い、改めて石戸霞にツモを促す鷲巣巌。石戸霞は少し緊張した素振りを見せたが、穴に入れる頃には迷いを振り切った様子でツモを行う。石戸霞が引いたのは最後の八萬。鷲巣巌の読みは当たっていたのだ。そして白を切り、これで四暗刻聴牌となった。

 

 

 

 

永水:四巡目

{一一二二裏四四裏裏八八東東}

{一一二二二四四四八八八東東}

打{白}

 

 

 

 

 

『カカカ……ッ!当然……!当然のこと……!遂に馬脚を現しおったの……アカギ……!』

 

 

 

 

「……」

 

 


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