本当に小学生編終わるまでに70話かかるんじゃないかコレ
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視点:神の視点
南1局 親:小瀬川 ドラ{南}
小瀬川 45300
小走 12400
上埜 27900
白水 14400
小瀬川:配牌
{七八①④1223455889}
(ふふふ…)
南1局。その親の第一打。通常の手作りをするのなら混一色に向かうために{①や④}あたりを切るのが無難であろう。
が、今は和了る気など毛頭ない。白水に流れが傾いているのを気付かれる前に局を消化する事が今の最優先事項だ。
こんな状況の時、常人が考えつく策は『混一色』ブラフであろう。適当に萬子と索子を切っていき、索子の混一色の聴牌偽装をして、相手に安くて速い和了りを誘発させるブラフ。
だが、この小瀬川はここから誰も予想できなかったストーリーを展開させていく。
打{5}
まさかの{5}切り。和了りにも、ブラフにも向かっていない謎の打牌。
この南1局までにも、こういった不可解な打牌は起こったが、今回のは少し異質である。
今までの謎の打牌は、通常考え得るルートとは別のルートを通るための打牌である。対局中にそれに気づくことは難しいが、説明されればなんとか理解の範疇にはいたのだ。
しかし、今回のはどう考えても別のルートなどありはしないのだ。
いや、厳密にはある。あるのだが、その可能性は既にないのだ。
そう、{5}打ちから考えられるブラフである、国士無双のブラフは有り得ないのだ。
何故なら、
白水:配牌
{四六八②④⑥⑨東東東北中中}
白水が国士無双の為の{東}を暗刻っているからである。そしてドラは{南}であるのだから、表示牌には必然的に{東}が使われている。つまり、{東}は既にカラであるのだ。
故に、国士無双ができないのだから国士無双のブラフもできないのである。
が、小瀬川は御構い無しに次順、
小瀬川:手牌
{七八①④122345889}
ツモ{赤5} 打{5}
捨て牌
{55}
また{5}打ち。国士無双のブラフは有り得ないというのに、{5}打ち。
観戦客やメディアの人間も、皆小瀬川の意図が分からない。無論、特別観戦席にいる塞達も、例に漏れず意図が掴めない。
何故なら、国士無双のブラフが有り得ない状況で、国士無双のブラフをするのは、意味がないという事だ。当然ではあるが、この場での無意味という事は、決定的な過ちであるのだ。
今局、小瀬川の目的は「白水が流れを掌握する前に局を消化するという事」。それなのにありもしないブラフをしては、最悪白水が己が流れに気付いてしまうかもしれない。
そういった危険を孕んでいるのだ。この無意味なブラフは。
しかし、そんな事など気にする素振りも無く、3巡目、
小瀬川:手牌
{七八①④12234赤5889}
ツモ{②} 打{赤5}
捨て牌
{55赤5}
またもや{赤5}。今度は赤ドラ。
これで三連続{5}打ち。捨て牌には{5}が3枚並ぶ異様な光景になっている。
当然、この光景を目の当たりにしても、白水にとっては痛くも痒くもない。
事実国士無双という可能性だけはないのだから。
そう考えれば、白水にとっては楽な麻雀である。
だが、今まで述べたのはあくまでも客観的視点からの話である。
つまりどういう事か?
結論から言えば、白水は焦っていたのだ。
国士無双はない。国士無双はないのだ。だがしかし、
(…!)
白水によぎるある可能性。その僅かな可能性が白水を苦しめていた。
そして、4巡目。その可能性を裏付けるかのような事態が起きる。
小瀬川:打{1}
打{1}。今までとは打って変わって老頭牌の{1}。この{1}により、白水はある確信を得る。いや、得てしまう。
(緑一色…)
そう。{5}三連打から考えられ得る役満は、国士無双だけではない。緑一色もあり得るのだ。
*緑一色。手牌が{23468発}だけで構成されている役満。別名オールグリーンとも言われる。
即ち、小瀬川のブラフは、最初から国士無双ではなく、緑一色であったのだ。
国士無双なら対処は簡単である。一九字牌を切らなければいいのだから。
しかし緑一色となってくると話は違ってくる。{234}は4枚切れであっても絶対安牌ではないし、例え{6}が4枚見えても、それでも聴牌できないわけではない。
そういった点では、国士無双よりも厄介な役満といえよう。
その後も小瀬川の打牌は{9、白ツモ切り、①、1ツモ切り}と、着々と緑一色のブラフに磨きをかけていた。
そして、9巡目。小瀬川が最後の仕掛けを放つ。
「リーチ」
小瀬川:捨て牌
{55赤519白}
{①1横3}
小瀬川:手牌
{七八②④⑤2246888}
緑一色のブラフを完成させる為のリーチ。無論ブラフであるからノーテンリーチである。
(!!)
実はこの時、白水は聴牌していた。
白水:手牌
{④④④赤⑤⑥⑨⑨東東東中中中}
混一色中三暗刻赤1。ツモれば文句なく倍満の大物手を聴牌していた。
今は白水に流れが吹いているので、これは当然といった結果だろう。
だが、此の期に及んで未だ白水は流れが良いことに気付いていない。
それを図ったかのように、同順、白水に使者が舞い降りる。
白水:ツモ{発}
{発}。まさかのここでの{発}引き。
通常、流れの良い今、当たり牌を掴むことなど滅多にない。
しかし、白水には幻想の緑一色が見えている。故に、流れが良いのは小瀬川だと錯覚しているのだ。
そう考えれば、この{発}は当たり牌と言えよう。
白水にとっては、この{発}は自分の流れの悪さの象徴に見えてしまうのだから。
故に、白水は聴牌を崩す。
打{⑨}
この選択は、白水にとっては至極当然の事である。
が、それは小瀬川の手が本当に緑一色だったらの場合である。
即ち、白水は騙されたのである。ありもしない緑一色に。幻想の龍に…
小瀬川:手牌
{七八②④⑤2246888}
捨て牌
{55赤519白}
{①1横3}
次回は南1局終わらせます。
そろそろこの1回戦も終盤戦に入りかけています。