疲れて頭が回りませんでした……
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視点:神の視点
「ふー……ちょー美味しかったよー!」
「そりゃあそうだろう。岩手の中でも一番豪華なところを選んだからね」
夕食を終え、部屋に戻ってきた小瀬川白望達は先ほどの夕食の感想を話す。熊倉トシが言うように岩手の中でも屈指の豪華なところのホテルの食事とあってか、宮守のメンバーからは絶賛であった。
「ぶ、ブラ無しは流石に刺激……強過ぎ……」
「わー!?塞!?血、血ー!」
そして一方の臼沢塞はもちろん食事の方も満足していたのだったが、それよりも絶賛していたのは小瀬川白望の浴衣姿であった。小瀬川白望の官能的で扇情を煽るような格好に対し、臼沢塞は自分でも気が付かない間に鼻血を出していた。鹿倉胡桃は驚いてテイッシュを持って臼沢塞の鼻に宛てがうが、臼沢塞はそれも気にせずただぐったりと椅子に座る小瀬川白望の事を眺めていた。
「塞、何こっち見て……って、大丈夫?」
「え?いや……まあ……ってあれっ!?」
「だから言ってるじゃん!」
小瀬川白望に言われてようやく気づいた臼沢塞は、鹿倉胡桃からテイッシュを受け取って鼻を塞ぐ。その時に小瀬川白望が臼沢塞に詰め寄って「大丈夫?」と言って手を取ろうとしたが、更に鼻血を噴き出しそうになったりなど、隣にいた鹿倉胡桃は頭を抱えていた。そしtwそんな光景を見ていたエイスリンは姉帯豊音に向かって「……ワタシモハナヂダセバ、シロ二シンパイシテモラエル?」と言った。
「うーん……多分そうだと思うけどー……無理はいけないよー?」
「ワカッタ!トヨネ!」
姉帯豊音に言われて了解したエイスリンは敬礼のポーズを取ると、タタタと駆けていくと、心配になって臼沢塞の事を看ていた小瀬川白望の胸元に顔を埋めた。小瀬川白望は驚いて仰け反りそうになるが、その時に小瀬川白望の浴衣がはだけてしまい、それを見ていた臼沢塞が更に鼻血を噴き出すなど、熊倉トシが制止するまでその騒ぎは続いた。
「もう……死ぬ……」
「塞、塞ー!!しっかりして!」
「ハナヂ……デナイ」
「何言ってるのエイスリン……?」
そうして熊倉トシの仲裁によって騒ぎを収束させた宮守メンバーは、小瀬川白望と姉帯豊音は練習の続きを再開、そして残りの臼沢塞と鹿倉胡桃とエイスリンは熊倉トシに促されて温泉へと向かった。
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「……そろそろ時間かね。皆、もう眠いかい?」
夕食後の事件が終わってから三時間ほどが経ち、そろそろ皆の眠気もピークに達してきていると読んだ熊倉トシがそう言うと、小瀬川白望は欠伸をしながら「眠い……」と言い残し、そのままパタリと倒れてしまった。側にいた姉帯豊音が倒れようとする小瀬川白望を支え、スッと持ち上げると「私ももう眠いよー……」といかにも眠そうな声でそう呟いた。
「こっちもそろそろ限界を迎えてるようだしね……」
熊倉トシがそう言って臼沢塞と鹿倉胡桃とエイスリンの方を見る。疲れも溜まっているのか、三人は声すら出さずに重い瞼をめいいっぱい上げているようだった。そんな五人を見て、熊倉トシが「じゃあ今日はもう終わりだね。寝るとしようか」と言うと、姉帯豊音は小瀬川白望を抱きかかえたままベッドの方まで行き、バッタリとベッドに倒れこみ、そのまま眠った。そして一方の三人はというと、卓から立ち上がった後はまるでゾンビのように背中を丸めながらよろよろと姉帯豊音と小瀬川白望が眠っているベッドに向かって行った。
熊倉トシは全員が眠りについたのを確認すると、そのままにしておいた麻雀牌を片付けながら、ベッドの上で寝ている五人を見て(全く……よっぽど仲が良いんだね……出会って半年ちょっとのチームとは思えないよ……)と心の中で呟いた。
(それもこれも、白望のおかげってことかい……豊音と元々知り合いだったのも白望、エイスリンを誘ったのも白望……まるで女の子を引き寄せる能力でも持ってるみたいだよ)
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「合宿、ちょー楽しかったよー!」
「そうだね……」
合宿を終え、宮守に戻ってきた姉帯豊音は未だ合宿の余韻を噛み締め、はしゃぎながら感想を言う。小瀬川白望がそれに同調すると、姉帯豊音に向かってこう言った。
「……次は東京で思い出を作ろうか」
「……!うん!頑張るよー!」
「ちょっと!私たちも忘れないでね!」
そうして合宿を終え、更に成長を遂げた宮守女子のメンバーらは、再来週に行われるインターハイに向けて最終調整をするだけとなった。泣いても笑ってもあと二週間、宮守女子の強化は最終段階へと進んで行った。
次回からいよいよインターハイ編です。