宮守の神域   作:銀一色

323 / 473
最近隔日化してきてますね……
まあ疾走するよりはマシかなと思いますが、自分で毎日投稿謳う以上は頑張らないといけませんね。


第311話 高校二年編 ㉗ 武勇伝

-------------------------------

視点:神の視点

 

 

 

「……ここでええですかーぁ?」

 

「うん……憩が言うならそこで良いよ」

 

 荒川憩は小瀬川白望と目を合わせないように横を向かずに目の前の喫茶店のような所を指差して提案する。小瀬川白望はあっさりと了承すると、荒川憩はそれを聞いて(『私が言うならそこで良い』って……さっき会ったばかりなのにようそんなこと言えるわーぁ)と内心恥ずかしがりながらもその喫茶店へ小瀬川白望を連れて行った。

 

 

 

 

「……ほんで、ウチに他に何か聞きたい事とかありますーぅ?」

 

 喫茶店に入り、とりあえず手始めに二人分の飲み物を頼んでそれを飲み、一息ついた荒川憩は小瀬川白望はそう聞くと、小瀬川白望は少し悩んだような素振りを見せる。荒川憩はそれを見て(あ、これ続かないヤツかもしれへんなーぁ)と察すると、荒川憩は即座に「そ、それなら!ウチから聞きたい事があるんやけど聞いてええですかーぁ?」と小瀬川白望に向かって聞く。小瀬川白望は悩んでいた素振りを止めると、飲み物を一口飲むと、「いいよ。なに?」と荒川憩に聞いた。

 

「その……宮永さんや辻垣内さんとかと打った事とかあるんですか?」

 

「え、まあ……何回か打ったことはあるけど」

 

 小瀬川白望がそう答えると、荒川憩は目を輝かせて「その話、詳しく聞かせて欲しいですーぅ。いいでしょうかーぁ?」と尋ねると、小瀬川白望は「うん……もちろん」と言うと、「個人個人で打ったのは何回かあるけど……二人を相手したのは五年前の一回きりだったかな……」と昔のことを思い出しながら語りだす。

 

「六年前、っていうと……シロさんが小学六年生の頃ですねーぇ?そんな昔からの付き合いやったんやねーぇ」

 

「まあ……そうだね。最初に出会ったのはどっちもその年だけどね。その年の麻雀の全国大会の決勝戦が、最初で最後の照と智葉と一緒に囲った卓かな……」

 

 それを聞いた荒川憩が驚き咳き込む。すると荒川憩は慌てるように右手をコップに手を伸ばし、飲み物を強引に喉に通した。そして落ち着いた荒川憩は小瀬川白望に「シロさん、全国大会に出とったんですかーぁ?じゃあなんで今は……」と言い掛けるが、それを最後まで言う前に小瀬川白望は「まあ……私の高校は部員も足りないし、よほどの事が無ければ出る気はないよ」と荒川憩に尋ねられる前に答える。

 

「そうなんですかーぁ……残念やね」

 

「うん……それで話の続きなんだけど、その時もう一人同卓してたのが照や智葉と同じ時期に知り合った洋榎」

 

「洋榎って、姫松の愛宕洋榎の事ですかーぁ?」

 

 荒川憩がそう聞くと、小瀬川白望はゆっくりと頷く。荒川憩はこのときに(東は宮永さんと辻垣内さん、西は愛宕んとこの姉さん、顔が広いってレベルやあらへんねーぇ。最初は全国を飛び回っては誑し込むとか嘘やろって思ってたけど、ウチも同じ事になりかけとるし、嘘やないのは間違いないなーぁ)と心の中で考えていたが、小瀬川白望の話を聞くために一旦思考を中断させる。

 

 

-------------------------------

 

 

 

「まあ、だいたいそんな所かな。全国大会の時の牌譜とかは智葉が持ってるらしいし、智葉に聞いたら見せてもらえると思うよ」

 

「辻垣内さんがですか……」

 

 話を終えて、牌譜の詳細は辻垣内智葉が所有しているということを小瀬川白望が荒川憩に伝えると、荒川憩は後で辻垣内智葉に連絡を取ろうと思いつつ、それと同時に(他にもいろんな話を聞いたけど……どれも本当とは思えない話ばかりやね……まあそれくらいの事ができないと宮永さんや辻垣内さんを圧倒できないんやろうけど……)と小瀬川白望に対して驚きと恐ろしさを感じながらも、ニコッと笑って「今日はありがとうございますーぅ」と小瀬川白望に言う。

 

「ん、もういいの?」

 

「そうですねーぇ……ウチがやらねばならない事を見つけたんで、今日はこの辺にしておきますーぅ」

 

 それを聞いた小瀬川白望は、ポケットから携帯電話を取り出すと「じゃあ電話番号とメールアドレス、交換しようか?」と聞くと、荒川憩は目線を外しながら「ほ、ホンマですかーぁ?///」と携帯電話をそっと取り出す。小瀬川白望に顔を見せないように顔を逸らしたため小瀬川白望は分からなかったが、その時の荒川憩の顔は確実に赤面していた。

 

(……成り行きでとはいえ、シロさんの連絡先、ゲットしちゃったわーぁ///)

 

 心の中で呟いた荒川憩は、喫茶店の外へ出ると「じゃあ、また会いましょうやーぁ。来年のインターハイ待っとるんで、期待しときますーぅ」と小瀬川白望へ言い、歩を進めた。小瀬川白望はそんな荒川憩の後ろ姿を見ながら、心の中でこう呟いた。

 

(……インターハイ、か)

 

 

(そう上手く部員なんて集まるとは思えないけどね……宇夫方さんは頼めば入ってくれそうだけど、それはやらないでおこうかな……)

 

 

 

 

-------------------------------

 

 

 

「……なるほど。お前もまんまと誑し込まれて、挙句ここまで来るとはいい度胸だな」

 

 そしてあれから数日後、荒川憩は再び東京の地まで舞い降り、辻垣内智葉の家までやって来ていた。辻垣内智葉は納刀している日本刀を担ぎながらも、抜刀はせずにナース姿の荒川憩の事を睨み付けていた。たまたま辻垣内智葉の家まで来ていたメガン・ダヴァンは(……ナゼサトハの家にやって来る人はシロさんラブしかイナイんでしょうカ……ソシテどうして変人しかイナイんでしょうカ……)と呆れながら二人のことを見ていた。

 

「まあそれで、牌譜を見た後はどうするんだ?」

 

「見た後、ですかーぁ?」

 

 辻垣内智葉に質問されて返答に悩んでいた荒川憩を見て、辻垣内智葉は「ま、その後は好きなだけ麻雀に付き合ってやるよ」と言い、日本刀を床に置いた。荒川憩は「ほ、ホンマですか!?」と聞き返すと、辻垣内智葉はこう返した。

 

「あの牌譜を見たら嫌でも自分の非力さを痛感するさ。……どうせ私も触発されるだろうしな。嫌というほどやってやるよ」

 

 そう言った辻垣内智葉はメガン・ダヴァンの事を呼ぶと「今から明華を呼んでくれ。こいつが笑顔でいれなくなるほど……いっそ気絶させるまで麻雀を打つからな」と言うと、荒川憩は驚いて「え、な……?」と困惑していると、辻垣内智葉が荒川憩の腕をガッシリと掴み、笑顔でこう言った。

 

「まあさっきのは半分建前だ。もう半分はシロに想いを寄せている……こっちの世界に入って来やがった洗礼だよ」

 

 

 それから数時間後、荒川憩が辻垣内智葉達によって本当に気絶させられる事になるのであった。




次回はとうとう宮守編もとい原作に突入する予定です。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。