怜のエロオヤジっぷりが……
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視点:神の視点
(あれ……学校から家までの距離ってこんなにあったんか……?)
江口セーラと一旦別れて小瀬川白望と共に園城寺怜は自分の家に向かっている最中なのだが、園城寺怜はなかなか自分の家に辿り着かないことに若干の不安を感じていた。もちろん距離が遠いというわけではなく、園城寺怜の身体的疲労がまだ抜け切っていないのが原因で少し歩いただけでだいぶ疲れていたからである。故にいつも帰宅している時の疲労と進んだ距離との関係式に差異が生じているのだ。
「……怜、大丈夫?」
そしてそのこと事が小瀬川白望に伝わってしまうほど園城寺怜が疲れている様子だったのか、小瀬川白望が心配の声を園城寺怜にかける。慣れない未来視を使用したために疲労が溜まっていたのに加え、このギラギラに照りつける夏の太陽の熱光線が園城寺怜の体力を奪っていたのだ。いくら寝ていたとはいえ、流石に園城寺怜の病弱な身体では耐え切れなかったのだろう。園城寺怜は苦しそうな顔で「あ、ああ……ちょっときついかもなあ」と答えると、小瀬川白望が園城寺怜の前で屈んだ。
「ど、どうしたんや?」
「いや……辛そうだから、おぶってあげるよ?」
小瀬川白望が平然とした顔でそう答えると、園城寺怜は申し訳なさそうな顔で「い、良いんか……?」と聞くと、小瀬川白望は「倒れそうな勢いだし……全然大丈夫だよ」と言った。園城寺怜は思わず涙を流すような勢いで「あ……ありがとな。イケメンさん」と言って、ゆっくりと小瀬川白望におぶられる。小瀬川白望を撮影するための大きいカメラとか重たい余計な荷物を持ってきてなくて良かったと園城寺怜はとても数時間前の自分に心から感謝していた。そしていつもは自分を蝕む憎き太陽もこの時に限っては感謝をしていた。
「懐かしいなあ……小学生の頃を思い出すわ」
「そうだね……」
(あ……イケメンさんの背中……良い匂いや……)
そしてそんな会話をした後。小瀬川白望におぶられている園城寺怜は疲れているのを装って、顔を埋め、小瀬川白望の背中を嗅ぎながら幸福感に浸っていた。そして嗅いでいるのに夢中になっている園城寺怜はだんだんエスカレートしていき、今度は小瀬川白望の首筋に顔を埋め始める。
(怜……何してるんだろ……くすぐったいなあ)
首筋の匂いを嗅いでいる園城寺怜をおぶっている小瀬川白望は、興奮しているからなのかはわからないが園城寺怜の鼻息が首筋に当たってもどかしさを感じていた。いくら軽い園城寺怜をおぶっているとはいえ、流石に首筋に違和感がある状態で人をお振りながら歩くのは辛いものがある。しかし何も言わずに耐える小瀬川白望に対し、小瀬川白望が気付いていないと思った園城寺怜は更に興奮し、今度は小瀬川白望の肩に置いている自身の手をそっと降ろし、肩からだらんと自分の手を小瀬川白望の前に出すという姿勢をとった。
(……大丈夫かな)
自分の肩から手を出し、だらんと腕を垂らしている園城寺怜の事を若干心配しながらも、小瀬川白望は歩を進める。しかし園城寺怜の思惑はただ腕を出す事だけではないという事は言うまでもないだろう。園城寺怜はゆっくりと肩から垂らした腕を小瀬川白望の身体に近づけると、小瀬川白望という木にたわわに実っている果実を鷲掴みする。小瀬川白望は驚いて背筋を張るが、園城寺怜を落とすまいとしてどうにか持ちこたえる。
(うおっ……すごいな。竜華に負けず劣らずの見事なものや……)
園城寺怜は意地悪い笑みを浮かべながら小瀬川白望の胸をまさぐると、小瀬川白望は(ちょ……何やってんの)と戸惑いの表情を浮かべながら首だけで振り返って園城寺怜の方を見ると、園城寺怜は目を閉じていたので園城寺怜に何も言えなかった。
(ふふふ……これで本当に寝相が悪いって事で通るんやな……セーラが来ないって事になったら家でウチに食われてたで……)
園城寺怜は目を閉じながらふふふと密かにほくそ笑むと、小瀬川白望の胸を掴む手をゆっくりと動かす。その度に小瀬川白望の動きが止まり、「ん……」と声を漏らす。流石にこれ以上は無理だと判断した園城寺怜は再びゆっくり腕をだらんと垂らすと、今度は自分の胸を小瀬川白望の背中に押し付けた。
(……今度はウチのお色気攻撃や。セーラや監督んとこの姉にはできない芸当やな。……まあ竜華やイケメンさんほどやないんやけど)
園城寺怜がそんな事を思いながら自分の並ほどの大きさの胸を小瀬川白望に押しつける。小瀬川白望は園城寺怜の胸が押し付けられている事を意識しながらも、(……怜の胸当たってるんだけど)と心の中で呟く。
(んっ……ちょ、これ、ヤバいわ……)
そして段々園城寺怜も段々危なくなってきたのか、お色気作戦を途中で切り上げ、おとなしくおぶられる事にする。園城寺怜は一度山を越えてしまったための反動か、さっきまでの自分の行為を悔やんでいた。
(……流石におぶられている時に悪戯した挙句サカってエクスタシー感じるとか猿でもやらんわそんなアホな事……幾ら何でもやり過ぎやろ……)
そうして自責の念に駆られている園城寺怜は腕で小瀬川白望の事を抱き締めると、心の中で(ごめんな……イケメンさん)と言って今度は本当に眠ろうとし、小瀬川白望に素直におぶられる事にしたが、眠れる一歩手前のところで小瀬川白望に起こされる。
「怜?」
「ふ、ふぁい!?」
「いや……どっちに曲がれば……」
「あ、ああ……せやったな。寝ててごめんな、右や」
(……なんでおぶられとるんや。怜……)
そしてそんな二人を遠くから江口セーラは内心ドキドキしながら見ていた。あまりにも猛ダッシュして家に向かっていったため、園城寺怜達が家に着く前に追いついてしまったのだ。しかし江口セーラには勇気がないので、声をかけられずに遠くから眺めていた。
(いいなあ……)
次回に続きます。