宮守の神域   作:銀一色

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前回に引き続きです。


第296話 高校二年編 ⑫ 夜中

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視点:神の視点

 

(おー……サカってんな。いや、実際やってるわけやないけど……)

 

 明かりのついていない愛宕家の一室。そこでは床に敷かれている布団に寝転がっている少女四人と、二段ベットからその少女四人の様子を見ている少女二人がいた。愛宕洋榎は頭の中でそんな事を考えながらも、寝ている小瀬川白望ら四人を楽しそうに見ていた。

 愛宕洋榎が予想していたように、小瀬川白望だけが真っ先に熟睡し始めており、他の三人はその小瀬川白望の布団に入るように接近していた。そのため布団は四人分敷かれていたのにもかかわらず、実際に使われていたのは二人分の布団しか使われていなかった。小瀬川白望の両隣りの末原恭子と愛宕絹恵は直接小瀬川白望の体を抱きしめ、末原恭子の隣で寝ている上重漫は末原恭子を通して小瀬川白望の体を抱きしめていた。愛宕洋榎が予測していたことが案の定的中したことになった。

 

「ゆーこ、起きとるか」

 

 そんな面白い光景を目の当たりにした愛宕洋榎は、顔を二段ベットから出して下のベッドで寝ている真瀬由子に小さな声で呼ぶ。真瀬由子もニッコリとした表情で愛宕洋榎に「もちろん起きてるのよー」と小さな声で返した。

 

「な、ウチの言った通りやったろ」

 

「恭子も絹ちゃんも漫ちゃんも自分の気持ちに正直なのよー」

 

 そう言ってヒソヒソ声で話していた愛宕洋榎と真瀬由子だったが、次第に微妙な距離に嫌気がさしたのか、愛宕洋榎は音を立てずに上段のベッドから降り、真瀬由子のベッドの上に乗った。真瀬由子もスペースを確保するために寝転がっていた状態から体を起こす。

 

 

「シロちゃん凄いなあ……この姫松だけでもハーレムを作れるとはなあ……」

 

「やっぱりここだけじゃないー?」

 

 真瀬由子が愛宕洋榎に聞くと、愛宕洋榎は「そうなんよ……多分全国各地にシロちゃん好きが居るわ」と返す。それを聞いた真瀬由子は若干呆れたような表情で「恐ろしいのよー……いつか刺されちゃうのよー」と思わず口に出してしまった。

 

「ホンマにな……まだ刺されないのがおかしいくらいや……」

 

「白望ちゃんにアタックしてる人はおらんの?」

 

「絹から聞いた話ではおらんらしいな……まあ皆こいつらみたいにヘタレなんやろ」

 

「逆に白望ちゃんが好きな人はおらんのー?」

 

 そう真瀬由子に聞かれると、愛宕洋榎はちょっと考えてから「おらんと思うでー……いたらあんな事せんやろ。流石に……」と言う。しかし真瀬由子は「でもいたとしてもあの天然さだから有り得そうなのよー」と反応した。

 

「あー……有り得るかもなあ。まあ仮にそうだとしたら大変なことになるけどなあ。マジで戦争が起きるで」

 

「ヤバい人たちなのよー……」

 

 そんな事を話していた愛宕洋榎と真瀬由子だったが、そろそろ眠くなってきたのか、愛宕洋榎が大きな欠伸をした後真瀬由子にこう言った。

 

「眠いしそろそろ寝るわー……まだこいつらを見てたい気持ちはあるけどなー」

 

「オッケーなのよ。おやすみなのよー」

 

 そうしてようやく長い1日が終わりを告げ、全員が眠りにつくことになった。

 

 

 

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視点:神の視点

 

 

 

「んん……なんだこれ」

 

 

 目が覚めた小瀬川白望が最初に放った言葉はそれであった。愛宕絹恵、末原恭子、上重漫に両側から抱き締められ、全く身動きができない状態であった。過去に小瀬川白望はこの状態に何度も出くわして来たのだが、それでも起きようとしても身体を起こせないこの感覚に小瀬川白望は慣れなかった。

 

「おっ、王子様が起きたな」

 

 そんな小瀬川白望を見た愛宕洋榎はニヤつきながらそうお目覚めの小瀬川白望に投げかけると、小瀬川白望は「どういう事……?王子様って私女でしょ……」と返す。しかしそれを聞いた愛宕洋榎は少しほど笑って「まあ、こっちの話や」と言って誤魔化した。

 

「っていうか私起きれないんだけど……」

 

「うーん……まあまだそんなに遅い時間でもないし、そんままでもええんちゃう?」

 

「……まあいいや。おやすみ」

 

 小瀬川白望はそう言って再び目を閉じ、眠りに就こうとした。それを見ていた愛宕洋榎は(相変わらずというか……マイペースやな)と思っていながら、下のベッドにいる真瀬由子に話しかけようとした。

 

 

「……」

 

 しかし、真瀬由子は何かを恥じらっているような表情をしていた。それに対し愛宕洋榎は「なんかあったか?」と質問すると、真瀬由子は「絹ちゃんって結構積極的なのねー……」と言った。

 

 

「ウチが寝た後何かあったんか?」

 

「洋榎が寝た後も少し見てたんだけど、絹ちゃんが突然起きて、そのまま白望ちゃんにキスしてたのよー……」

 

 それを聞いた愛宕洋榎は「あー……前もキスしとったな絹は。夜這いみたいな感じではなかったけど……」と寝ている愛宕絹恵を見て呟く。

 

「びっくりしたのよー……起きたと思ったら周りを伺ってキスしてて……凄くあの状況で居づらかったのよー」

 

「まあ……絹にも絹なりで覚悟はあるんやろな……端から見れば完全に夜這いしとる奴やけどな……」

 

 そう言って二人は今度は末原恭子と上重漫の方を見る。そして愛宕洋榎はこう呟いた。

 

「……絹だけに言える話やないんだけど、シロちゃんが誰かとくっついたらどないなるんやろ、コレ」

 

「私たちがフォローするしかないのよー……」

 

「いや、そうやなくて……シロちゃんが夜這いとかされて寝取られるんやないかなって……」

 

「あー……女の恐ろしい事だね……そうなったら本当の修羅場なのよー」

 

「……想像もしたくないわ」




次回に続きます。
何故キスから発展しなかったのか(困惑)

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