宮守の神域   作:銀一色

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昨日は投稿できなくて申し訳ありませんでした……
魔の金曜日でした……


第274話 高校一年編 ⑱ 美貌

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視点:神の視点

 

 

「ふう……やっぱり智葉のとこのお風呂は広くていいね……体を思いっきり伸ばせる……」

 

「え!?あ、そ、そうか……」

 

 あれから時間は経って、小瀬川白望達は辻垣内智葉の家にある大浴場で風呂を堪能していた。やはりここの風呂はお湯の質とでも言うのであろうか、他の家との風呂とは一線を越していた。小瀬川白望もこの風呂に入るのは初めてではないのだが、それでも思わず感動してしまうほどのものであった。

 そしてその小瀬川白望はというと、足を開きながら浴槽の中で寛いでいた。本人は何気なくやっている動作なのだろうが、小瀬川白望が足を開く度に周り……というか辻垣内智葉と雀明華が小瀬川白望のあまりにも無防備な状態をジロリと見ていて、彼女らはもはや風呂などはどうでも良い状態であった。そしてそんな二人と、その二人の視線に気付かない小瀬川白望を、呆れたような目でメガン・ダヴァンは見ていた。

 

(マッタク……気付かないホウもホウですケド、あの二人もタイガイデス……そうならアタックすればイイノニ……)

 

 心の中でため息をついたメガン・ダヴァンは、それと同時に一昨年のような理不尽な怒りを辻垣内智葉にぶつけられる事がなく、ほっと一安心していた。一昨年のこの時間帯であれば、きっとメガン・ダヴァンは辻垣内智葉に脅すような目で見られていたものだが、今回はそんな事はなく、今度は呆れた意味ではなく、安堵のため息を吐いた。

 

(マア……見たくなるキモチはワカラナイわけでもないデスガ……)

 

 そしてメガン・ダヴァンは心の中でそんなことを呟きながら、小瀬川白望の綺麗な白い足を眺めていた。湯を通しても分かるほど小瀬川白望の足は美脚と呼べるものであり、触らずともきっとスベスベなのであろうという事も分かるほどであった。足だけに限らず、小瀬川白望の身体全体が綺麗と呼べるものであり、辻垣内智葉と雀明華が釘付けになってもおかしくないほどの美貌であった。メガン・ダヴァンは彼女らの気持ちも分からないわけでもないとフォローはしたが、ここで口にしたら辻垣内智葉に何をされるか分かったものではないので、言おうとはしなかった。そもそも、言う気もさらさらなかったのだが。

 

(な、なんか一昨年より更に大きくなってるような気が……)

 

 一方の辻垣内智葉はというと、先ほどから小瀬川白望の主に胸の部分を重点的に見ていた。一昨年の時点でも彼女のバストは豊満なものであったが、二年経ったいまではその時以上に大きくなっていた。自分も断じてまな板のような胸ではないと自負はしていたが、彼女の胸を見てしまうとその自身は一気に崩れるとともに、なにやら変な欲望を弄られるような感覚を受けていた。

 

(白望さんの……あんなに)

 

 また、雀明華も同じような感想を胸に抱いていた。彼女は普段いつもなにを食べているのだろうという疑問を胸に秘めつつ、雀明華は日本の風呂というものを楽しんでいた。

 

(……皆、なんで私のことジロジロ見てるんだろう……)

 

 そして小瀬川白望はようやく3人からの目線に気づくが、何故見られているのかを理解していない小瀬川白望は、ただただ三人の視線を浴びるしかなかった。

 

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視点:神の視点

 

 

 

(まさかサトハの家に泊まらせてもらえるとはね……まるで宿泊施設……いや、下手すればそれ以上のところだ……サトハが羨ましいよ)

 

 アレクサンドラ・ヴィントハイムは夜中、そんな事を考えながら辻垣内家の廊下を歩き、用意してもらった寝室へと向かっていた。無論その前までは先ほどまでずっと小瀬川白望の牌譜を見ており、小瀬川白望が一打一打、どういう事を予想して牌を売っていたのかを必死に辿っていた。当然ながら完璧に理解する事は不可能であり、事実からでしか推測する事ができないのだが、小瀬川白望がどれほど凄い雀士であるか、それを知れただけでも収穫であったと言えよう。彼女はインハイに出ないと言っていたが、もし事前情報なしで小瀬川白望と当たったらと考えると、恐ろしいの一言に尽きるであろう。

 

(ん……)

 

 そしてアレクサンドラ・ヴィントハイムが歩いている最中、彼女は襖が少し空いている部屋を見つけた。その隙間から部屋を覗いてみると、布団の上で辻垣内智葉と雀明華に抱きかかえられている小瀬川白望と、メガン・ダヴァンが仲良く眠っているのを見つけた。

 

(全く、こんな暑い夜に……どれだけ仲良しなのだか)

 

 そんな四人を微笑ましく見つめるアレクサンドラ・ヴィントハイム。しかし彼女はこの時知らなかった。今目の前にいる小瀬川白望が二年後、臨海女子の目の前に絶対的な壁として立ちはだかるという事を。

 

 

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「もう行くんですね、白望さん」

 

「うん……智葉達と仲良くやってね」

 

 翌日、小瀬川白望が出て行くのを辻垣内智葉達が見送っていた。そしてそう言った雀明華が小瀬川白望に傘のようなものを渡すと、「日傘です。よかったら……」と言った。そう聞いた小瀬川白望は、受け取った傘を早速開くと、雀明華に向かってこう言った。

 

「ありがとう明華。これで涼しくなるよ」

 

 そう言われて顔を赤くする雀明華であったが、小瀬川白望はそれにはやはり気づいてはいなかった。

 

「……またな、シロ。いつでも来いよ。そしていつでも相手になってやる」

 

「コンドはニホンゴ、前よりもモット上手くしてきマス」

 

「うん……ばいばい」

 

 そう言って小瀬川白望が歩き出すのを、三人は旅に出る我が子を見送るように小瀬川白望の事を見つめていた。そうして姿が見えなくなると、辻垣内智葉は雀明華に向かってこう言った。

 

「まあ……改めて。よろしくな、明華」

 

「よろしくお願いします。サトハさん」

 

 




次回はまだ未定です。

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