宮守の神域   作:銀一色

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麻雀回だと思ってた人。すみません。
麻雀の構想を練っている時に思いついたので、その息抜きとしての投稿です。


第16話 第一次小瀬川争奪戦

 

 

 

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開会式のあった日から一夜明けた翌日。とうとう今日から試合が始まる。

 

因みに昨日はあの後胡桃が途中で寝たりして、そのまま正座を続けざるを得なくなり、非常に足が痺れて痛かった。

 

そんな事もあったけど、私は後もう少しで始まる大会にうずうずしている。

 

いつ以来だろうか。こんなにも私が期待に胸を踊れせているのは。

 

そのうずうずを抑え、私は大会の会場に出発する。

 

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会場につくと、もう別の試合が始まっているのを、会場にある巨大なスクリーンに映し出されているのを見て確認した。

 

現在時刻は10時ちょうど。

今始まった試合は1回戦第2試合目。

日程は1回戦に2日使い、今日8試合。明日8試合となっていて、準決勝と決勝は3日目に行う。

 

メディアの人達に対する配慮で、選手の試合時間が被らないようにしているからか、1時間ごとに次の試合が始まるようにスケジュールが組まれている。

理由は単純で、1回の半荘の平均時間が45分程度だからだ。

また、前の試合時間が1時間を越えれば、その分次の試合が始まる時間が延期される。

それだけ日本中が関心を示しているということだ。

 

それと、1回戦は半荘1回だが、準決勝と決勝は半荘2回に設定されている。

 

つまり3日目だけ空き時間が2時間という事になる。

 

 

 

第1試合目が9時に始まるので、今の所はそういった遅延は起きていないようだ。

 

因みに私は第6試合に出場する。このペースでいけば試合が始まるのは14時とまだ時間があるが、私は会場に来ていた。

 

目的は、今スクリーンに映し出されている智葉を見る為である。

 

観戦が目的の為、塞と胡桃はホテルでお留守番だ。

 

智葉レベルなら何事もなく突破できそうだが、一応見に来たのだ。

 

第2試合目が始まって10分しか経っていないが、現状智葉は1位をキープ。

大量リードとまではいかないが、恐らく手の内を隠そうとしているのだろう。

 

このまま何事もなく智葉が1位で準決勝へコマを進めた。

 

智葉が勝ち上がったのを見届け、私は塞と胡桃が待つホテルへと戻る。

 

本来なら智葉に一言かけようと思ったが、また充電地獄の刑をされるのは嫌なので、私はすぐに帰った。

 

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ホテルに帰ってきた私は、塞と胡桃を連れて東京の街で昼食を食べる事にした。

 

まあ、小学生の財力ではファミレス以外選択肢は無いのだが。

 

「いらっしゃいませ。3名様でよろしいでしょうか?」

店員が接客を始める。

「はい」と、私は答えて店員が私達を誘導する。

 

店員が誘導した席に着いた私達は、水を店員から貰い、メニュー表を見て、何を頼むのかを決めようとする。

 

お昼時だが、満席で座れない何て事や、うるさい中での昼食にならなくてよかった。

 

これで静かな昼食を堪能できる。

 

が、

 

「シ…シロ!?」

 

私を呼ぶ声がした。その音源は胡桃でも、塞でもない。

 

「あ、智葉。」

そう。智葉からだった。

それを聞いて、真っ先に反応したのは胡桃だった。

 

「でたな!ドロボウ猫!」

 

「なっ!?何がドロボウ猫だ!」

やっぱり始まった。仲が良いんだか悪いんだか…

 

しかし、その状況に油を注ぐように

「シロちゃん!おっはーやで!」

 

「ちょ、お姉ちゃん?今はもう昼やろ?」

愛宕姉妹のご登場である。

 

「あだ名呼びか…なんか特別感あっていいなー…」

横では塞がモジモジして何かを呟いていた。

 

「シ、シロちゃ、ん…だと!?貴様!一体シロの何だというんだ!」

それに過剰な反応をする智葉。一体どこでスイッチが入っているんだ。

 

「シロちゃんはシロちゃんや!自分こそ何なんや!」

洋榎が反論する。いや、ちゃんとした理由になっていないだろ。

 

「シロさん、試合頑張ってな…ウチは麻雀じゃなくてサッカーやっとるんやけど、良かったら後日、試合見に来てくれます?」

と、いつの間にか私の隣に座っている絹恵ちゃんが顔を赤く染めて私を誘う。

 

あんまりサッカーとか分かんないけど…

「まあ、この大会が終わったら考えるよ…」

と答えた。すると絹恵ちゃんは喜び

「ホンマですか!?やった!」

と言った。

 

その会話を切断するように智葉と胡桃が来て、

「「年下が抜け駆けようとするな!!」」

と叫ぶ。抜け駆けって…レースでもやってるのかこの人たち。

絹恵ちゃんもやる気に満ちていて、席から立ち上がって

「上級生が相手でも、負ける気は毛頭ないで!」

と完全に一触即発の状況である。

それを横では洋恵が面白そうに眺めている。

 

(静かに昼御飯を食べさせてくれ…)

そう思った私だが、神様はそれを嘲笑うかのように次の刺客を寄越してくる。

 

「イケメンさん!お久やで!」

 

「ちょ、怜?ここファミレスやで?」

竜華さんと怜さんだ。どうやら竜華さんの付き添いできたらしい。

 

智葉と胡桃と絹恵ちゃんから発せられる殺気をものともせず、私に近づいて

「またあの時みたいにおぶってくれんか?」

と三人に見せびらかすように抱きつく。

 

(((おんぶ…だと?)))

 

三人が絶句する。おんぶにそんな驚くこともなかろうに。

 

「いや、ここファミレスだから…そういうのは…」

とりあえず断っておく。しかし

「あんときはイケメンさんからおぶらせてくれたのになあ…つれないなあ…」

とわざと他の人に聞こえるように呟く。

さっき刺客と言ったが、とんでもない。まるで核爆弾だ。

 

「え…いや、あの…」

私が返答に困っていると、私の肩をグッと掴む手が出てきた。

「シロォ?」

それはさっきまでモジモジしていた塞だった。

その手には力が込められており、笑顔ではあるが、その目は笑っていない。

(あ…これヤバいやつだ。)

私は周りを見渡す。

誰か私を助けてくれる人はいないのか。

そう思った矢先、大きなパフェを食べている少女を見つけた。

そう、照だ。

 

私はそこから器用に抜け出し、照のところへ緊急脱出し、

「照。助けて。」

と言った。

 

が。

「…」

その頬は赤く染まっている。照、お前もか。

結局、私が望んだ静かな昼食とは正反対の、騒がしい昼食になった。

 

(ダル…)

昼食をとった私は、会場へ行き、試合が始まるまで精神統一という名目で仮眠をとった。

 

 

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ファミレス (10分前)

視点:清水谷竜華

 

小瀬川さんを中心に騒がしくなっていく様を、同じ大阪代表の愛宕洋恵と眺めていた。

すると、洋榎

「清水谷は行かんのか?」

と質問する。

「そっちこそ、妹さんが行ってんのにええのか?」

と返すが、

「…ウチは別にええねん。友達だとは思ってるけど、それ以上の関係は望んでないから、ええねん。」

それに、と洋榎は付け足し

「ウチは絹ちゃんのサポートせえへんといかへんしな。」

と笑って言った。

 

…ええ姉やな。

 

ウチも、できるだけ怜を応援せえへんとな。

 

 

 

 

 

 




次回は本当に麻雀回です。(多分)


追記
すみません。次回麻雀しません。
許して下さい。

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