宮守の神域   作:銀一色

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今回から全国大会が始まります。
今回はその前日に行われた開会式についてのお話です。


第2章 全国大会 (小学生編)
第15話 全国大会 開会式


 

 

 

 

 

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ついに始まる。小学生最強を決める大会が。

 

私は全国大会に出場する為、塞と胡桃と私で東京へ出発した。無論新幹線である。

私は今からワクワクが抑えられないでいた。

 

実際試合は翌日からだが、開会式が今日行われるのでそれに参加するため、前日に出発している。

故に、今日は東京のホテルで宿泊である。

因みに塞と胡桃も私と同じ部屋だ。同伴者という事で同じ部屋になったらしい。いつから私の保護者になったんだ?

 

そもそも何故開会式が前日にあるかというと、1日置いて英気を養う為なんだろうと自己解釈しているが、本当のところは良く分からない。

それに人数も県予選に比べれば半分より少ない。わざわざ1日空ける必要性が分からないが、大人の事情だろう。

 

 

今回出場する選手の人数は64名。トーナメント方式で一位しか勝ちあがれないおかげか、試合数もそんなに多くなく、1回戦、準決勝、決勝の三回一位を取れば優勝できる。逆に言えば、2位になったら即敗北である。

敗者復活戦なども当然ないので、負けることは許されない。

 

いずれも県予選で1つ、若しくは2つしかない全国大会というイスを勝ち取った精鋭揃いだ。

県予選のように一筋縄では行かないであろう。

 

因みに47都道府県の内、どこの県が全国大会出場人数2人なのかは、県別の麻雀人口ランキングによって決められたらしい。

一位から順に、

東京都

神奈川県

大阪府

愛知県

埼玉県

千葉県

兵庫県

北海道

福岡県

静岡県

茨城県

広島県

京都府

宮城県

新潟県

長野県

岐阜県

 

の上位17県が2人の出場を認められている。

これは知って驚いたが、私の住む岩手県は32位。なんと下から数えた方が早いほど低かった。

…面積は2位なのに人口が少ないとはこれいかに。

 

 

そんな事を考え、トーナメント表を見つめる。

私の名前と、智葉、洋榎、照、清水谷さんの名前を見つけた。

清水谷さんとは準決勝に行けば闘えるが、他の三人とは決勝まで行かないと闘えない。

 

 

(私の1回戦の相手は…)

 

そう思い、目線を私の名前のある方に戻す。

 

 

小瀬川白望(岩手県)

上埜久 (長野県)

白水哩 (佐賀県)

小走やえ(奈良県)

 

 

(この三人が1回戦の相手か…)

名前だけでは分からないが、全国大会出場という時点で、相当の強者という事は確かだろう。

 

 

(明日は楽しくなりそうだ。)

 

そう思いながら、窓の景色を眺める。新幹線のスピードのおかげで景色はゆっくりとは見えないが、空が綺麗だった。

 

 

 

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開会式

 

 

47都道府県から選抜された精鋭達が集まり、開会式が開かれる。

 

周りを見ると智葉などの知っている人もいたし、当然ではあるが全く知らない人もいた。

 

運営員が前に出てきて、開会式を始める。

 

「只今より、平成XX年度第65回、全国小学生麻雀大会の開会式を開催致します。」

 

拍手が鳴る。私も皆に合わせ、拍手をする。

 

「開会宣言。主催の日本麻雀協会会長、◯◯さんお願いします。」

 

「皆さん、おはようございます。……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…以上をもちまして、第65回、全国小学生麻雀大会の開催を宣言します。」

 

パチパチパチ。と拍手が起こる。

この中で今の話をまともに聞いた人は何人いたのだろうか…と思わせるほど長い。

私の苦悩をよそに、開会式は続く。

 

「続きまして、選手宣誓。代表者の宮永照さんお願いします。」

 

「ざわ…ざわ…」

 

宮永照という名前に辺りがざわつく。あれ、照ってそんな有名な人なんだ。と思っていたら、照が皆の前に出て、選手宣誓お約束の右手を上げ、宣言する。

 

「宣誓。私達選手一同は私達を支え、励ましてくれた保護者や友に感謝を表し、一戦一戦を正々堂々と行う事を誓います。選手代表 宮永照」

照の選手宣誓も終わり、開会式の全行程が終了する。

 

 

「以上をもちまして、第65回全国小学生麻雀大会開会式を終了致します。」

 

 

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ホテル

 

 

開会式が終わり、ホテルに着いた私と塞と胡桃。私達以外にも、この大会に出場する人の殆どがこのホテルで一夜を過ごす。

 

荷物を持ち、私達の部屋に行く途中に、智葉と会った。

 

「よ、よう…シロ。」

 

「智葉。」

 

私と智葉の会話に、塞と胡桃は驚愕していた。

 

「シ、シロ!?この人とどういう関係なの!?」

胡桃が私を揺さぶって問い詰める。

「シロの事…名前呼び…えー?」

塞は戸惑い、混乱している。

 

「東京で会った人。そこから仲良くなった…」

 

「そ、そうなんだ…」

胡桃が納得する。が、その後すぐに

「こらそこ!シロは私達のモノなんだからね!シロがカッコいいからって手出ししない!」

 

「「ぶっ!」」

塞と智葉が噴き出す。

 

「な、なんだお前。シロはお前らだけのモノじゃないだろ?」

智葉が反論する。というより何で私はモノ扱いなんだ。

 

「むー!」

 

「あー?」

 

智葉と胡桃が睨み合う。

 

「「ふんっ!」」

そしてほぼ同時に振り返る。もしかしてこの2人、案外気があうんじゃ…

 

「もういい!行くよ!塞、シロ!」

強引に胡桃が私と塞を引っ張る。

 

智葉に後で謝っておこう。と思った。

 

 

 

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視点:辻垣内 智葉

 

(…やっぱりモテるよなあ。シロ。)

覚悟はしていたものの、やはりシロはモテるようだ。

 

(麻雀には勿論、シロの争奪戦も負けられないな。)

恐らくあの調子では岩手のみならず他県にも恋している敵がいるだろう。

 

 

ぐっと拳を握りしめ、私は自分の部屋へと戻る。

 

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視点:小瀬川白望

 

「あ。」

胡桃に引っ張られている私は、選手宣誓をした照を確認した。

「おーい、照。」

すると照は少しビックリしながらも、こちらの方へ向かってくる。

 

「ちょっと!シロ!今度は何!?さっきの人と同じような人!?」

胡桃が私に怒る。いや、照とはファミレスの件以来会ってないのだが。

「久しぶり。白望さん。やっぱりあなただったのね。」

照が胡桃を無視して私に話しかける。

「いや…こっちもまさか照と会えるとは」

 

「え…?」

照が目を見開く。一体どうしたのだろうか。

 

「いや、何でもない。じゃあ、また明日。」

照がそそくさと帰っていく。何かあったのか。

 

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視点:宮永照

 

私はホテル内を走っていた。

(…何だろう。白望さんに、照って呼ばれた時、胸がドキっとした。)

この胸の高鳴りは一体何だろう。

何かの病気でなければいいが。

 

(…切り替えなきゃ。明日に備えて、もう寝よう。)

 

私はベッドに寝転がり、そのまま寝た。

 

 

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視点:小瀬川白望

 

引き続き胡桃に引っ張られながらの私は、私を揺さぶって軽いトラウマを生んだ洋榎に遭遇する。

 

「シロちゃんおひさ!名簿見た時ごっつビックリしたで!麻雀やってたんなら教えてくれれば良かったのに!」

 

「シ、シロさん。お久しぶりです。」

 

「ああ、お久しぶり。」

色々とこの姉妹には言いたい事があったのだが、前にいる胡桃と塞からは異常なまでの殺気を放っていたので、これはやばいと思い、さっさと逃げ出す事にした。

 

「じゃあ、私達これから用があるから…」

と一言加え、全力ダッシュで自分達の部屋を目指した。

 

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視点:愛宕絹恵

 

 

「あー。行ってしもた。何があったんやろ。シロちゃん。」

 

シロさんが猛烈なスピードで走って行った。

恐らく隣にいた友達に迷惑をかけない為であろう。優しいなあ…シロさんは。

 

(やっぱカッコええなあ。シロさん。お姉ちゃんは気付いとらんようやけど。)

 

 

 

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ホテル 部屋

 

 

ホテルの部屋に辿り着いた私は、部屋に着くなり正座をさせられていた。

 

正面には塞と胡桃。

 

完全な修羅場である。

 

「一体これはどういう事?シロ?」

塞がニッコリと問いかける。人の微笑みをここまで恐怖として感じたのは初めてだ。

 

「ちゃんと説明する!」

胡桃は完全にカンカンだ。

 

 

私はさっき会った人達について、しっかりと言った。

 

 

 

 

 

「やっぱりシロはシロだったかあ…」

塞が呆れたように言う。

 

「あんまりアレだと岩手から出入り禁止にするよ!」

胡桃は未だ怒っている。

 

「まだもう1人いて「もういい!」…」

 

園城寺さんの事を話そうと思ったら、胡桃に一刀両断されてしまった。

 

「シロには今夜、寝るまで充電器の刑に処す!」

と、正座している私の上に乗る。

 

「ちょ…足、痺れるよこれ…」

私は数十分後に来るであろう地獄を予見し、胡桃に懇願する。

勿論答えはNO。「ちゃんと反省する!」と怒られしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 




通算UA数が1万回という大台に乗りました。
これも全て読者様のおかげです。
これからも拙い文章ではありますが、どうぞよろしくお願いします。

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