宮守の神域   作:銀一色

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辻垣内智葉さん回です。
乙女が書きたかったんだよォ!!!



第14話 名前呼び

 

 

 

 

 

 

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「ざわ…ざわ…」

 

予選を通過し、全国大会への出場を決めた私は学校で表彰式が行われた。

 

やはり全国大会というネームバリューは大きく、すぐに学校での注目の的となった。

朝学校に行けば、私の周りに人だかりができ、まともにダラける事もできなかった。

 

校長が長ったらしい前口上を言い、何事も無く賞状とトロフィーを渡される。

 

宇夫方さんはこの時、表彰式には参加していなかった。どうやら失神してしまったらしい。何が起こったと言うのであろうか。

 

それは置いといて、全国大会までは少し時間がある。

 

なので休日を利用して智葉のところへ行く事にした。

 

主に全国大会に出る強者を知るためだ。

 

もしかしたら、智葉並に強い人もいるかもしれない。

 

そうなれば、全国大会がもっと楽しみになる。

 

 

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東京

 

 

そんなわけで東京にやってきた私。新幹線から降りて、東京駅から出ると、所謂ベンツなる車の側に智葉が立っていた。

 

こちらが手を振ると、智葉もぎこちなく手を振り返す。

 

「おはよう。智葉。」

 

「お、おはよう…」

 

挨拶を交わすと、黒服が出てきて、車のドアを開ける。随分と豪勢な出迎えだ。

 

私と智葉が乗ったのを黒服が確認して、ベンツを走らせる。

30分位で智葉の家?らしきところに着いた。

家、というよりは屋敷と呼んだ方がいいだろう。車から降りると、黒服達が門の前に並んで、頭を深く下げ、「おはようございます。お嬢。」と智葉に向かって言う。

 

そんな光景を目の当たりにした私は惘然としていたが、智葉が進むのを確認したので、それについて行く事にした。

そして、智葉の部屋らしい場所にお邪魔する。確実に私の部屋の二倍はある。

部屋の中には座布団と机があり、智葉が座布団の上に座る。

 

智葉が「て、適当に座っていいぞ」と言うが、座布団と机がそれはまあ高価なものだ。私は恐る恐る座布団に座った。

 

「じゃ、じゃあ…全国大会に出場する選手の情報だっけか?」と智葉が書類を取り出す。

 

そこには全国大会に出る選手の名前、顔写真、牌譜など隅々まで記入されていた。

 

「一体どこからそんな情報が…」

 

「ひゃい!?」

智葉が一瞬変な声を上げたが、すぐに冷静を取り戻し、

「…まあ、私のグループの情報網は伊達じゃないからな。」

何だろうグループって。絶対なんか怪しいやつにしか聞こえないが、それは一旦考えないようにしたが、耐えられなくなり、

「…智葉って何者なの?」

と、つい質問してしまった。が、

「…お前は知らない方が身の為だ。それより、それを見に来たんじゃないのか?」

 

「…そうだね。」

何かはぐらかされた気がするが、まあいいだろう。

 

 

 

(んー?)

智葉が用意した書類を見ている内に、見た事のある顔があった。

 

 

宮永照

 

 

愛宕洋榎

 

 

清水谷 竜華

 

 

 

この三人はこの前の連休であった人達だ。宮永照は何となく予想していたが、まさかあの洋榎まで麻雀が打てる人だったとは。

 

 

「ほう、その三人を見るとは流石お前だ。」

 

「…というと?」

 

「まあ、その三人は私と同じ位。若しくはそれ以上の奴らだ。去年にも出場している。」

 

「へえ…」

 

そうだったのか。まさかそんなに強い人達と会っていたなんて。

これはますます楽しみになってきた。

 

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視点:辻垣内 智葉

 

 

…今のところはまだ大丈夫だ。まだ正気を保てている。

 

書類を見つめる小瀬川をちらりと見る。やはり綺麗だ。そしてかっこいい。

 

(…まさか自分の為に用意した書類のおかげで合法的にデートが出来るとは…!!)

 

寝る間も惜しんで作成した私と、それに手伝った黒服に感謝する。

 

「そういえばさあ」

 

(…!?!?)

 

「な、何だ?」

 

危ない。急に話しかけられたから、変な声をまた出すところだった。落ち着け私。

 

だが、次の小瀬川の発言で冷静な私は完全に砕け散った。

 

「私は、智葉の事名前で呼んでるけど、智葉は私の事名前で呼ばないの?」

 

「え…!?それは、その…」

 

名前呼び。だと?メールをするだけで精神を削ぎ落とした私が、名前呼び?

いくら何でもハードルが高すぎる。失神してしまうぞ。

 

(だが、これはアイツの、小瀬川白望の頼みだぞ?辻垣内智葉。行け…!行くんだ辻垣内智葉ァ!!)

 

「じゃ、じゃあ…何て呼べばいい?」

 

(違あああああう!そうじゃない!辻垣内智葉ァ!名前で呼ぶんだよォ!何妥協してんだよオイ!)

と自分で自分を責めたが、アイツは

「じゃあ皆も読んでるからシロって呼んで。」

 

と、提案してくれた。

思考回路がショート寸前の私の脳内で厳粛な会議が開かれそうになるのを抑え、

 

「…じゃあ、そうしようか。シ、シロ。」

 

そう言うと彼女は、いや、シロは。

「いざ言われてみると恥ずかしいね…」

と顔を真っ赤にする。

それにつられて私も顔が真っ赤になる。

 

その後黒服が部屋に入ると、顔を赤く染めた2人の乙女を見て、

(お嬢の成長にこの黒服…感激です…!)

 

と思ったそうな。

 

 

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咲-Saki-で、バトル(物理)小説物を書きたくなってきた今日この頃。
まあ、その話は小学生編が終わるまでは書きませんがね。
そもそも書くと決まったわけでもないですし。

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