宮守の神域   作:銀一色

24 / 473
今回から全国小学生麻雀大会編に突入します。
シロは優勝できるのか!?
シロのブラックホールの正体や如何に!?
そして頑張れ乙女辻垣内智葉!


第12話 ブラックホールと全国小学生麻雀大会

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-------------------------------

 

塞と胡桃との麻雀から一夜明け、赤木さんと昨日起きた事について考察していた。

もちろん、題材はあの「ブラックホール」みたいなものである。

無意識に出たものなので、どうやって出したのかも分からない。

 

そんな有耶無耶な「ブラックホール」だが、赤木さんには心当たりがあった。

 

【…そいつと同じかどうかは知らねえが、同じようなモノを出していた奴ならいるな。】

 

「…誰」

 

【多分、俺が生きた中で一番俺を追い詰め、一番強い奴だ…】

 

【名は鷲巣巌。昭和の怪物と言われた男…】

 

【俺は特別な条件下で奴と打った。半荘6回にしか満たない勝負だったが、奴と打った記憶は鮮明に覚えている。】

 

「特別な条件?」

 

【ああ、奴が賭けたのは大金。それに対し俺が賭けたのは自らの血液…文字通り命を賭した博奕だ。…結局、奴も血を賭けたんだがな。】

 

「金を賭けてたのに?」

 

【ちょいとルールが特殊でな、それについては今は関係ないから省略するが…まあ、要は鷲巣の金が底をついたから、血液を賭けたんだ。】

 

【…それで、沢山奴の血を抜いて、何度も地獄の淵へ追い詰めた。いや、一回地獄にいったか。】

 

【事が起きたのは確か南一局4本場。親は俺で、奴の抜いた血液は1100cc。老体の奴には致死量でもおかしくない…そんな奴の死の間際に、奴が光を放ったんだ。それまで奴は5連続俺に振り込み、絶不調の鷲巣が…だ。】

 

【その結果奴は七対子を配牌で聴牌。奴はダブリー一発七対子ドラ4の倍満を和了り、俺の親を蹴った。】

 

【言うまでもなく…その時の流れは俺…!確実に俺が優勢だった…!

本来なら…俺が奴から和了り奴を葬れたはずだ…

が、それを超越したのが奴の光だ。あれは、オカルトだとか、そんな程度のモノじゃない。正しく…神を超えた力…】

 

【…多分、お前のは奴の光と相反するようで、実は同じ…そんなモノだと思う…】

 

「…」

私に、そんな力が。

確かにあの時はとてつもない力を感じた。しかし、今こう言われると実感が湧かない。

 

「じゃあどうすればいい?」

同じようなモノを見た赤木さんなら知っているはず…そう思って言ったが、流石に赤木さんにも分からなかった。しかし

【鷲巣のホワイトホールも、奴がコントロールして発動させた訳じゃない…あまり躍起になっても仕方ないって事さ…】

 

「そればっかりに頼らないようにしろって事でしょ…?」

 

【そういう事だ。】

 

 

「分かった。」

聞きたい事も聞き終えたので、私は学校へと行った。

 

-------------------------------

学校が終わり、家に帰ってきて自分のベッドに寝転がり、塞とメールを打っていた私は未だ「ブラックホール」について考えていた。

 

 

(「ブラックホール」…赤木さんを追い詰めたのと同じようなモノ…か。)

 

(まあ、私はそんなモノで勝つより、実力で勝ちたいから別にどうでもいいけど…もっと詳しく知りたいなあ…モヤモヤするし)

 

そう思っていた矢先、ピロリンと手に持っている携帯が着信音を放つ。

 

宛先は智葉からだ。

 

(あ、そういえば交換してたんだっけ…何も送ってないけど…悪いことしたなあ。)

 

罪悪感をぶら下げ、智葉から来たメールを開く。

 

-------------------------------

16:48

From 辻垣内 智葉

件名:私だ

 

こんにちは。今少し時間あるか?

 

 

 

-------------------------------

 

なんだろうか。流石に今東京には行けないぞ。

とりあえず「何の用?」と返す。

そしてその1分後、再び着信音が鳴る。

 

-------------------------------

16:50

From 辻垣内 智葉

Re:何の用

 

今週の土曜日、麻雀大会の予選があるんだが…

お前も参加してみないか?

因みに岩手も今週の土曜日が予選だ。

 

本戦は三週間後になるはずだ。

 

 

 

-------------------------------

 

麻雀大会?麻雀大会ってあの『全国小学生麻雀大会』の事か?

別に私はそういう大会には興味無いのだが…

まあいい、智葉が出るような大会だ。期待はずれって事にはならないはずだ。少なくとも智葉とは打てるのだから。

 

私は「いいよ。エントリーってどこでするの?」と返そうとしたが、続けて智葉から送られてきて、

 

-------------------------------

16:51

From 辻垣内 智葉

Re:Re:何の用

 

エントリーはこちらで済ませておく。あとはお前次第だ。

 

 

-------------------------------

 

と先読みされた。

私は「エントリーってどこでするの?」という文だけ消して返信した。

 

土曜日か。

 

 

まだ時間はある…予選だからといって気は抜かない。全力で叩き潰す。

 

そう意気込んで、赤木さんとの特訓に励む。

 

 

 

-------------------------------

視点:辻垣内 智葉

 

 

ついにあいつを誘ってしまった…

震える手を強引に押さえつけ、メールを打った甲斐があった。

 

(あいつとまた会えるのか…)

 

そう考えると胸が高鳴る。と同時に私は自分の有り様に恥ずかしくなり、布団にくるまる。

 

(あいつとまた会って…それで…デ、デートなんて事になったら…)

 

〜〜〜

脳内:小瀬川

[早く行こう。智葉。恋人同士なんだから…あんまり恥ずかしがらないで…私も恥ずかしいんだから。]

 

[でも大丈夫…私がついてる…]

〜〜〜

 

 

 

「〜〜…!!」

 

声にならない叫びで悶える私。その日、私は寝る事が出来なかった。

 

 




次回は予選ですが、麻雀描写は少ないです。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。