宮守の神域   作:銀一色

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今回時間がなくてかなり文字数が少ないです。
明日はもうちょっと頑張ります。


第226話 東京編 ㉙ 機会とリベンジ

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視点:神の視点

 

 

「じゃあ、行きましょうか」

 

 亦野誠子はそう言って釣竿をしまって宮永照と小瀬川白望に向かって言う。宮永照はもう既に戦闘態勢に入っているようで、何やら亦野誠子の事をじっと見ていた。隣にいる小瀬川白望は(照がああ言うなら……大丈夫か)と心の中で呟き、亦野誠子は少し遠めの方を指差すと、宮永照と小瀬川白望に向かって「ここから一番近くにあるあの雀荘でやりましょう」と言った。

 

「分かった。行こうか、白望さん」

 

 宮永照も久々の麻雀とあってか、いつになく真剣な表情をして、闘志をむき出しにしていた。小瀬川白望もそんな宮永照をみて(麻雀に対する熱はあの時から変わってないね……よかった)と安堵しながらも「そうだね。行こうか」と言って、亦野誠子についていった。

 

 

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雀荘内

 

 

 

「三人だけだから、三麻になるね」

 

 雀荘に入ってきた亦野誠子と小瀬川白望と宮永照は、卓に座ると他に誰もいない状況を見ると互いにそんな事を言った。こんな感じでは人が来るような気配などしないし、結局三麻をする他なかった。

 まあ三麻とはいえ、四人打ちに比べれば楽しさが減少するといえばそれは間違いである。三麻には三麻の面白さがあるし、四人打ちとは勝手が違うのだ。安易に同じものとして見てはいけない。

 

(……私の能力では若干不利になるかな?)

 

 亦野誠子はそんな事を考えながら山が全自動卓から迫り出されるのを見る。彼女の能力、通称「釣り人」と言われる能力は三副露をした後、五巡以内に和了ることができるという能力。三麻であるが故にチーをすることができず、鳴くためにはポンしかないのだが、それでも亦野誠子は(まあ……ちょうどいいか)と言って対面に座る小瀬川白望と、隣に座る宮永照の事を見る。

 

(楽しみだ……私がどこまで強いのか、計る良い機会になりそうだ)

 

 彼女のその余裕そうな表情と心の声からして、彼女は自分の力を結構評価しているようだ。確かに、亦野誠子も相当な実力者である事には間違いない。能力も弱いとまでは言わずとも、三副露すればその時点でほぼほぼ和了確定という能力は無いとあるのとでは全然違う。もちろんその能力を抜きにしても彼女は強く、またそれは自他認められてきた事であった。

 しかし、運が悪い事に今亦野誠子が闘おうとしている相手は、片や牌に愛された子、片や麻雀の歴史上で三本の指に入るかもしれないほどの真の実力者であり、神域の後継者。悪く行ってしまえば、亦野誠子は自分は井の中の蛙であるという事を思い知らされる事となるであろう。とは言っても闘う相手が極端すぎる例なのだが。

 

(……久々だ。この感覚は)

 

 そして宮永照はサイコロが回っているのを見つめながら、懐かしい感覚に身を馳せていた。2年前、たった2年ととるか、長い2年ととるかで大分印象が変わるのだが、宮永照は人生を歩んでまだ十三、四年しか経っていないのだ。そう考えれば2年という歳月が如何に長いかはいうまでもない。

 そんな2年前、宮永照は敗れた。最後の最後、南四局オーラス。その時点ではまだ勝ってはいたのだ。しかし、それでも尚宮永照は敗れた。今隣にいる小瀬川白望の手によって。何度も逃げ切った、勝ったと思った。しかし小瀬川白望はそれを悉く裏切り、安堵の数と同じ数……もしくはそれ以上の数の恐怖と戦慄を与えてきた。そんな彼女と、宮永照はようやく再戦する事ができるのだ。状況は違えど、小瀬川白望と闘うという事実は覆らない。その事実が宮永照の心を躍らせ、そしてそれが闘志となって燃え滾っていた。

 

(リベンジだよ……白望さん)

 

 




次回から麻雀回。
今日はすごく大変な一日でした(小並感)

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