宮守の神域   作:銀一色

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まさかの投稿出来ないかもっていった日に投稿できるとは思いませんでした。

何とか間に合ったので投稿します。
30%とは何だったのか

今回も麻雀しません!!


第9話 大阪の姉妹と病弱な少女

 

 

 

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東京の長旅を終えた次の日、その日はいつもと変わらない赤木さんとの特訓をする日だったはずだが、急遽予定が変更した。

 

何でも親戚の家に行くという事らしい。

何故それを当日言うのかと親に言ったところ、『お前が昨日急に東京行くのが悪い』と切り捨てられた。…否定はできない。

 

行き先はまさかの関西。未開の地、大阪に行く事になった。

私はどうも関西のイメージは皆ネタを言わないとダメだというイメージ(偏見)があるので、素直に喜べはしなかった。

 

…東京行った次の日大阪とは、またハードな日程だ。有名人のスケジュールでもあるまいし。

 

赤木さんに言ったところ、クククと笑われ

【家族との用事なら仕方あるめえ…俺は家族ってもんが存在しなかったからな…その大切さを良く知っている。必要かどうかは別としてな。】

と言って赤木さんは1人(一欠片?)お留守番だ。

 

因みに移動方法は車らしい。今日中に帰るのは無理なので、一泊する用意をして、家を出た。

 

 

 

 

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大阪

 

という事で私は生まれて初めて大阪という地を訪れる。

 

親戚の家に行って用事を済ませてきた。

さっき聞かされたが親戚の方が結婚をして、その結婚式に呼ばれたらしい。

 

結婚式まで時間があるので、私は暫く大阪を散歩してくるといって、外に出た。

 

そして今は比較的小規模な祭りに来ている。

昼間から屋台やらが点々とあり、小腹が空いた私はそこで早めの昼食を摂ることにした。

 

屋台の列に並ぶこと数分。私に順が回ってきそうな時に、チラとパックに入れられた最後の一パックのたこ焼きが見えた。

やはり大阪と言ったらたこ焼きだろう。何としてでも確保せねば。と思った時にはもう私の番に回っていた。

 

勝った。私の勝利だ。そう確信して屋台の人に頼もうとする。

 

「…たこ焼きh「おっちゃん!たこ焼き一つ!」…」

 

 

 

 

「「あ」」

 

 

予想外。隣からの刺客。客を捌く為の二列同時の接客が仇となった。

 

言い始めたのは私が先だが、声量、インパクト、迫力。など諸々隣にいた少女に負けたいた私は、

 

「…やっぱ焼きそばで」

 

妥協することにした。それを聞いた少女は

 

「…なんか、すまんなあ。」

と同情の目で私を見たが、その手にはしっかりとたこ焼きの入ったパックが握り締められている。

 

 

 

…同情するならたこ焼きをくれ。

 

 

 

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焼きそばを買った私は、たこ焼きを(合法的に)奪った少女と昼食を祭りの近くの公園のテーブルで食べていた。

 

「まあ、アンタも運が悪かっただけやん!気い落とすなや。」

 

「…別に気を落としてるわけじゃない。たこ焼きが食べたかっただけ。」

 

「それを気を落としてるって言うんやで、過去を引きずってるとネガティヴになるで〜」

 

少女がハハハと笑ってたこ焼きを頬張る。

畜生。もう数秒早く並んでいたら…!

 

「ま、悪かったな。ところで、アンタの名前、何て言うんや?」

少々機嫌が悪い私は素直に言わず、

「何で言う必要があるの…」

と冷たい態度をとる。

すると少女が

「悪かったな言うとるやん!まあ、面白そうな奴だったからやな。」

私はムスッとした態度で、

「わかったよ…小瀬川白望。」

「シロちゃんやな!ウチは愛宕洋榎!よろしゅうな!」

何でこの人はこんなフレンドリーなんだ。あとシロちゃんってなんだ。アメちゃんみたいに言うな。

「わかったよ、ヒロちゃん」

何か洋恵のペースに押され気味だったのでお返ししてやった。

 

「…!!」

洋榎がプルプル震える。あれ、流石に度が過ぎたか?

 

「おっもしろいなあ!シロちゃん!!!」

ガッと肩を掴んで揺らしてくる。私の体がガクンガクンとなる。

端から見ると面白い状態なのだろう。周囲の目線がヤバイ。

 

すると洋榎を呼ぶ声が聞こえた。

「お姉ちゃん、何やっとんの!?」

洋榎と違った髪の色をした妹と思われる人が来た。良かった。これで解放される。

「絹恵!絹恵に紹介したる、小瀬川白望、シロちゃんや!」

 

「…」

私は揺さぶられすぎて何が何だか分からん状態だった。赤子を揺さぶりすぎては行けないとよく聞くが、その意味を改めて知った気がする。

 

 

「お姉ちゃん!その人気を失いかけてる!」

 

 

 

 

 

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「これがウチの妹、絹恵や!自慢の妹やで!」

洋榎が胸を張って絹恵ちゃんの肩をたたく。

「お姉ちゃん、声デカいわ…!」

絹恵ちゃんは恥ずかしくて顔が真っ赤だ。

 

「そう…」

揺さぶられ地獄から抜け出した私は、未だにその余韻から抜け出せずそれどころではない。

 

 

今この最中もテーブルに倒れかかる状態になっている。

 

いや、いつもこんな感じか。

 

そんな私の状態を察したのか、絹恵ちゃんが心配そうな表情をする。

 

「すまんな、シロさん。ウチの姉が。」

 

グダッとしていた私は何とか

 

「大丈夫…」

と親指を立てる事ができた。表情は別として。

 

 

「で…も、絹恵ちゃん…(気分が悪いからこのまま)付き合って…」

 

「ぶっ!」

絹恵ちゃんが飲んでいた飲み物を吹き出す。

洋榎はたこ焼きに夢中でそれに気付いていない。

 

「いや…初対面で、その、あの…そういうんは、まだ早いっちゅうか…」

絹恵ちゃんがモジモジしながら何かを呟いているが、私はそれを聴き取る余裕は無かった。

 

そんな時に、絹恵ちゃんと洋榎を呼ぶ声。今度は一体誰だと思ったが、気分が悪くてその音源を確認する事もままならない。

 

話を聞いていると、それは洋恵たちの母親のようだった。

 

どうやらもう帰るらしい。

 

洋榎が「またな!シロちゃん!これ、ウチのメルアドや!」と学校で配られてそうなプリントの裏に洋恵と絹恵ちゃんのメールアドレスを記入し、去っていった。

 

 

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愛宕姉妹と別れて5分が経ったが、あの時の姿勢と何ら変わっていない。

 

しかし、体調は良くなってきてる。だがまだ本調子とは言えないというのを口実としてグッタリとしている。

 

気がつけば、私の前に同じようにグッタリとしている人が一名。

 

…最近私と同年代くらいの人とよく合うなあ。と思いながら、その子に話しかける。

 

「ねえ…」

 

その子は顔色が悪い状況で

「なんや…こちとら病弱なんや。はよ、竜華のとこに行かなアカンのに…」

 

「そう…」

と、私は彼女の側までいき、彼女を背にして屈む。

 

「…何しとるん」

 

「竜華って人のとこに行くんでしょ。おぶってあげる。目の前でそうされると、ダルいから。」

 

そういうと彼女は力無く立ち上がって、私の背中へ覆い被さる。

彼女は紙のように軽かった。

 

「すまんなあ…見ず知らずの人間をおぶらさせて…」

 

「別に…」

と私は返す。

 

 

彼女の指示した方向に行き、やがて竜華って人らしき人を見つけた。

 

その人は私達を見つけると、走って来て

「怜ー!」

と呼んだ。恐らくおぶっているこの子の名前だろう。

後は竜華さんにまかせるだけだ。

 

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「ほんまに怜をありがとな…あ、ウチは清水谷竜華。そんでこっちが園城寺怜や。」

 

「…よろしゅうな」

怜が死にそうな声で挨拶する。

さて、私の役目はもう終えた。私は2人を背にして、親戚の家へと帰った。

 

 

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視点:園城寺怜

 

…おぶってくれた人が何も言わず立ち去っていった。

 

かっこええなあ。憧れるわ。名前くらい聞いとけばよかったな…

 

見たところ関西人じゃ無さそうやし、もう会う事は無いんやろなあ…

 

と思っていたが、あの人が急に方向転換してきた。

 

何事かと思ったが、それは直ぐに解決した。

 

「…逆方向だった。」

 

天然さんやな。この人は。

 

「あー…そういえば名前言ってなかった。小瀬川白望っていいます…じゃ、お元気で」

 

と小瀬川さんは帰ろうとした。

 

その時、私は彼女の肩を掴み、耳元で囁いた。

 

「……………!」

彼女は意味が分からなさそうにしていたが、私が付け加えた。

 

「ウチの電話番号。ちゃんと覚えていきいな。」

そう言うと彼女はポケットから学校で配られてそうなプリントとペンを取り出し、そこにウチの電話番号を書き加えると、今度こそその場を離れていった。

 

 

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視点:赤木しげる

 

 

【…しかし、思ったよりも暇だな…】

白望がいないとこんなにも暇だったとは、と痛感する。

いや、幽霊に暇とか忙しいって概念は無いはずなんだがな。

 

 

【…帰ってきたらちょっと本気出してやるか】

そう言い邪悪な笑みを浮かべる。

そうして明日が一層楽しみになった。

 

 

 




本来、愛宕姉妹だけの予定でしたが、大阪には千里山もあるやんけ、って事で怜も追加です。

因みにお気に入りが100件突破しました。正直、かなりビビってます。


追記
次回は岩手に戻ります。
胡桃さんと塞さん関連にする予定です。

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