宮守の神域   作:銀一色

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通算200話です。
これからも頑張っていきたいと思います(小並感)


第191話 鹿児島編 ⑰ 二度目の御祓

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視点:小瀬川白望

 

 

「ああ、そういえば初美ちゃん」

 

 智葉と無事(?)に交渉が終わり、携帯電話を返された私はポケットに携帯電話を入れていると、霞が初美に声をかけていた。初美は「何ですかー?」と言って巫女服をヒラヒラさせながらくるくるとその場で回る。……見えてはいけないものがチラチラ見えているのだが、それはもう突っ込まないことにした。

 とりあえずその事を置いておいて、霞の方を見ると霞は少し恥じらい深いような表情をしてこう言った。

 

「御祓をしてほしくて……」

 

「ああー!成る程ですよー」

 

 霞の変な表情は一旦無視して、また何かやるのか?と私は疑問そうに二人のことを見ていると、初美は私に向かって「霞ちゃんがさっきの"絶一門"のやつを使うと、一回御祓をしないといけないんですよー」と説明する。成る程、ようはあの"絶一門"は強制的に何かを霞自身におろして使用していたのか。

 

(あれ、でも御祓って……)

 

 そう、私が気付いた通り、御祓はさっき私がやられたように裸にならなくてはならないようだ。だから霞もさっき何かを恥じらうような表情を浮かべていたのか。まあ実質裸を見せるようなものだし、自分から御祓をしてというのは結構恥ずかしいものだろう。

 そう私が考えていると、霞は私の腕を掴んでこう言った。

 

「そうだ……白望ちゃん?」

 

「……?」

 

「御祓の手伝い……してほしいの。いい?」

 

 邪悪な笑みをこぼす霞を見て、若干だがかなり嫌な予感がしたのだが、一応私は霞に「それって……もしかして……」と聞こうとしたが、その途中で霞に「ええ。もちろん脱いで貰うわよ」と言われてしまった。人の笑顔とはここまで怖くなるのか、と思わず初美の方を見ると、目線をそらして私に「頑張って下さい」と表情で訴えてきた。どうやら逃げることはできないらしい。初美のあちゃーという表情で何となく理解できた。この状態の霞から私は逃げることはできないと。

 しかし、それでも初美の良心なのか、情けなのか、仕方ないといった風に初美は「別に素人が手伝えるようなものじゃ……それに、はるるを起こせばいいと思いますよー」と呟いたが、それを言った瞬間霞が初美の口を塞いで「……どうしたのかしら?初美ちゃん」と言って微笑み、誤魔化そうとする。いや、全然誤魔化しきれていないのだが 。

 

「はあ……」

 

 私はため息をつくと、仕方なく了承の意を霞に伝えた。すると霞は「じゃあ、行きましょうか!」と言って私と初美の腕を引っ張り、巫女さんとは思えないほどの猛烈な速さで走る。私と初美は躓きながらも、しっかりとついていくこととなった。

 それにしても、何故私をわざわざ御祓で巻き込むのだろうか。そういうのが好きだとでもいうのであろうか。変わった人だなと思ったが、私の隣にいる初美もそういう露出狂のような服装であった。

 

(裸を人に見せたい変態さんの集まり……なのかな)

 

 さすがに小薪と巴はないであろうが、春は結構微妙なラインだ。まあそういう変態かどうかの区別をしたところで、私が嫌々とはいえ了承してしまっている時点で、私も十分霞や初美側の人間なのかも……?いや、流石にそれほどではないだろう。

 

(はあ……恥ずかしいし早く終わってくれないかなあ……)

 

 そんなことを考えながら、先ほど私が御祓的なものをされた部屋へと戻ってきた。当然、そこには大麻があるし、初美はその大麻をとって「本来なら巴ちゃんの役目なんですけどねー……補助のはるるもいないし……まあ、できるだけ迅速にやってみますよー。さあ、二人はちゃちゃっと着替えるですよー」と言って私と霞に服を脱がすように促す。私は少し躊躇していたが、隣にいる霞はそんな躊躇いもなく待っていたかのように服を脱ぎ捨てる。あっという間に裸になった。そして霞はまたも怪しい微笑みをして私に向かってこう言ってくる。

 

「……私が脱がせてあげようかしら?」

 

「いや、いいです……」

 

 私は霞の変な目線を感じながらも、服を脱いでいく。大麻を持つ初美はため息をつきながら私をジロジロと見る霞に「端から見ればただの変態さんですよー……」と言ったが、霞の「何ですって?」という一言でバッサリ切られてしまう。

 そんなやり取りをしているうちに、私は服を脱ぎ終える。そうして裸になった私は、霞に「もっと寄ってちょうだい」と言って霞の近くへと招かれる。私の躊躇など御構い無しのようだ。

 

「やっぱり二人の身体は大きいですねー……どことは言いませんが。同年代の私からしてみれば嫉妬ものですよー」

 

 そんな私と霞を見て初美はそう言うが、とにかくこの状況を早く終わらせたい私は「いいから早く……」と初美に促す。

 

「そういえば、御祓ってどれくらいかかるものなの……」

 

「……補助のはるるがいないとなると、結構かかりますよー?これでも、ちゃんとやるつもりですけどねー」

 

「はあ……」

 

 そうして御祓が始まったが、正直私は目の前にいる裸の霞に気を取られて初美の事など見えていなかった。無論何が起こっているかなど分かるわけもなく、どれだけ進んだのか、いつになったら終わるのか分からないため、余計に何も考えられなくなっていた。

 

(もうどうでも……いいか)

 

 そして御祓が始まること体感時間で約5分。私はとうとう諦め、無心のまま御祓が終わるのを待つことにした。

 

 

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視点:小瀬川白望

 

 

「はあ……やっと終わったですよー……」

 

 

 御祓が始まってどれくらい経ったのかは分からないが、初美のその言葉によって無心だった私は我に返る。どうやら終わったらしい。私はもう後半の方は何が起こっているのかすら覚えていないほどで、人形のような表情をしていたと思う。

 

「はあ疲れた……お風呂入ってくるですよー」

 

 さっきの巴のように初美は疲れ切っていて、同じようにフラフラとした足取りで初美は何処かへ行く。そして裸の状態で取り残された私と霞だが、霞はどこか満足気な表情を浮かべていた。絶対私がいる必要性は無かったであろう。

 そして霞は、私に労いの意を込めてなのかは分からないが、裸のまま部屋の箪笥らしきところから巫女服を私に手渡す。私は「自分の服あるんだけど……」と言ったが、「服を着るのも嫌になる程疲れているかと思って。……ダメだったかしら?」と返される。口ではそう言っているが、表情は全くそんなことを言っていなかった。ただ巫女姿が見たいだけだろ。しかし、断ることもできないので、仕方なく私は普通の私服ではなく、巫女服を着ることにした。

 

(思った以上にダルい人……)

 

 果たして私はどこで道を踏み外したのであろうか。そんなことを心の中で呟きながら、巫女服を着る私であった。




まあ通算200話だからと言って雑じゃないって事は無いんですけどね。

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