宮守の神域   作:銀一色

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鹿児島編です。
安定のおっぱいオバケ


第180話 鹿児島編 ⑥ 関節技

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視点:小瀬川白望

 

「お疲れ様でした……」

 

 さっきのさっきまで大麻を振っていた巴さんがそう言うと、巴さんは大麻を筒へしまって、ふらふらとした足取りで奥の部屋へと向かった。未だ春さんと霞さんに裸のままサンドイッチされている状態で、しかも二人に寝られてしまっていて身動きの取れない私は、この状態をどうにかしようとしてもらうべく巴さんを引きとめようとしたが、それよりも先に巴さんは部屋の襖を閉めてしまった。

 

(……はあ)

 

 私はため息をついて目の前で寝ている霞さんを見つめる。いや、別に普通に私に倒れかかるのも、それで寝られるのもそんなに嫌な事ではない。ただダルいだけであり、そんなに拒絶するような事ではない。なんだったら私も一緒に寝る事だって可能だ。

 しかし、今の状態は少し通常の場合とは異なる。要するに今私と霞さんと春さんは裸の状態なのだ。裸の状態のまま寝られてしまうと、起きてもらうまで私まで裸のままでいないといけないし、何より恥ずかしい。目のやり場にも困るし、寝ようとしても寝れるような状況でないのは一目瞭然である。

 

(しかも胸……当たってるし)

 

 しかも、しきりに霞さんと春さんの胸がしきりに私の体に当たっている事も、私が早くこの状況から脱出したいと思える一つの要因であった。私も裸であるため、直で胸の感触が伝わってくる。

 確かにこの状況、私が力づくで抜け出したり、霞さんと春さんを起こしたりする事も一つの手だ。しかし、それはあくまでも私個人だけの理由である。先ほどの行為で相当疲れたのが素人の私から見ても分かるし、倒れるようにして寝た二人を無理に起こすのは悪い。そもそも、私が声をかけて起きるかどうかすら怪しい話だ。霞さんと春さんをどこか別の場所に移す事も、サンドイッチのようになっている私一人だけではしたくともできない。

 結局、私はこの羞恥と二人の胸の感触に耐えながら二人の目覚めをただひたすら待つしかなかった。巴さんの協力も無理そうだし、初美さんと小薪さんが今どこにいるのかも分からない以上、私はただ耐えて待つ事しかできなさそうだ。全裸の状態なため端から見ればただの露出魔にしか見えないが、服を着たくとも身動きが取れないためどうにもする事ができないのだ。仕方あるまい。

 

(それにしても……やっぱり大っきいなあ)

 

 そうして何もする事ができない私は、霞さんの胸に視線が向く。やはり霞さんの胸は尋常じゃないほど大きい。見ただけでもその大きさは伺えるが、今直で触れているからこそ改めて分かる。異常なほどの大きさだ。絹恵や竜華よりも大きい"かも"と私は思っていたが、今なら確実に分かる。確実に絹恵や竜華よりも大きい。いや、絹恵はともかく竜華の胸は服越しでしか見た事はない……というかそれが普通なのだが、服越しだとしても、竜華がこれほど大きいとは思えない。それほど霞さんの胸が大きすぎるのだ。

 

「霞ちゃー……ってあれ、もう終わったんじゃなかったんですかー?」

 

 そんな事を考えていると、運がいい事に初美さんが襖を開けてやってきた。ちょうどいいタイミングでやってきてくれた。初美さんに協力してもらって、霞さんと春さんをどこか布団とかにでも移動させよう。

 

「いや……ちょっと霞さんと春さんが終わったんだけど寝ちゃって……」

 

 私は初美さんに事情を説明すると、初美さんは成る程と言いながら頷くと、私のところまでやってきて私に倒れかかるようにして寝る霞さんの顔を覗く。裸であるという事に特に驚いたり言及しないところを見ると、やはり裸になってこういう御祓的なものをやるのは彼女らにとっては普通なのだろう。慣れとは恐ろしいものだ。

 

「しっかし……霞ちゃんも大きくなったものですねー……身長的な意味でも、胸的な意味でも……」

 

 初美さんは寝ている霞さんを見てそう呟く。私は「どういう事?初美さん……」と初美さんに聞くと、初美さんはどこか誇らしげに私にこう答えた。

 

「今はこんなデカいおっぱいオバケみたいな感じですけど、七歳の頃は胸もツルツルぺったんで身長も私より低かったんですよー?性格も輝くほど純粋でしたし……しっかしそれがどうしてこんな風に……」

 

 そして初美さんがそう続けようとした瞬間、寝ているはずの霞さんが初美さんに向かってパンチを繰り出した。霞さんが放ったパンチは初美さんの顔面をまっすぐ捉え、そのまま振り抜かれた。初美さんは顔面を殴られて顔を押さえながら「んなっ……!?ちょ、本当に寝ているんですか霞ちゃーん!?」と霞さんに向かって言う。しかし霞さんは目を閉じたままで寝息を立てている。完全に起きているわけがなかった。

 

「うーん……あら?どうやら寝ちゃってたわね……」

 

「あ、霞さん」

 

「霞ちゃん、酷いですよー!」

 

 すると初美さんの声で起こされたのか、霞さんが目をさます。霞さんは欠伸をしながら背筋を伸ばすと、私に向かって「裸のままで……ごめんなさいね」と私に謝り、私の後ろに倒れかかるようにして寝ている春さんの背中を優しく叩き、「春ちゃん、おきなさい」と言って起こす。春さんもいかにも眠そうにして起きると、何も言わずに裸のまま巴さんが先ほど行った部屋へと向かった。

 二人に解放された私はとりあえず近くに脱ぎっぱなしにして置いてあった服を再び着る。霞さんも巫女服を着直していると、初美さんに向かってこう言った。

 

「そういえば、初美ちゃん?」

 

「なんですかー?」

 

「さっき私の事を酷いって言ってたけど……どういう事かしら?」

 

「えっ」

 

 霞さんにそう聞かれた初美さんは汗をダラダラと流しながら目を泳がせて「な、なんでもないですよー」と言って誤魔化そうとする。

 

「おかしいわね……さっき初美ちゃんが白望ちゃんに言った事は気のせいだったのかしら?」

 

「やっぱり起きてたんじゃないですかー!……ってハッ!」

 

 霞さんの策略によってボロを出してしまった初美さんの事を心配しながら、霞さんの事を見る。今の霞さんの表情は笑っているようにも見えるが、目は笑っておらず、初美さんの事を睨みつけていた。

 霞さんは初美さんの事を捕まえると、関節技のような事を初美さんにしながらこう言った。

 

「さーて……じっくりと聴かせてもらおうかしら……」

 

「痛い痛い痛い!ギブ、ギブだから許して下さいー!」

 

 そこから初美さんが全てを打ち明けるまで、初美さんの悲鳴が消える事がなかった。




次回も鹿児島編です。
そろそろ麻雀回になると思われます。

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