やっぱりノリで書かないとダメですよね。書いてる途中で賢者モードに入るようじゃSSは書けません。
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視点:小瀬川白望
「……始めます」
巴さんがそう言って御祓の時に使われる大麻を振りはじめる。それとほぼ同時に、後ろにいる春さんが私の背中に額を当てる。突然の事で、しかも裸で直に触れられた私は思わず声を上げてしまうが、その声も目の前にいる霞さんによって遮られてしまう。
「行くわよ……」
そう言うと、霞さんは私の額と自分の額を合わせて、目を閉じる。
私は何が起こっているのか、全く分からなかったが、巴さんはもちろんの事、春さんも霞さんも真剣な感じがしていたので、私はあえて言及を避けた。素人の私が口を挟んだところで意味はないだろう。さっきの服を脱ぐ時点で私は置いてかれているからだ。まあ少しくらいは説明してくれても良さそうなものだが。
(……なんだこの状況)
そうして、とりあえず今はこの人たちに全て任せようと決めた私は、改めて現状の異常さに気づく。大麻を振る女の子と、その目の前にいる全裸で、抱き合っているといっても過言でない状態の三人の女の子。端から見れば露出狂の集い、もしくはどこか危ない宗教。そんな感じにしか見えない状態であった。
現状の異常さを再確認した私は未だ春さんと霞さんにサンドイッチされながら、チラリと巴さんの方を見る。素人の私が見れば、ただ大麻を振っているだけのようにしか見えないが、巴さんの集中力を見ればただ振っているだけではないというのが一目瞭然である。それに、巴さんの汗の出る量が尋常でない。いくら夏場だからといっても、巴さんの顔は異常なほど汗で濡れていた。よほど集中しているという事なのであろう。
(恥ずかしいから早く終わらせてほしいなあ……)
途轍もなく集中しているのは分かるのだが、はやくこの恥ずかしい状態が終わってほしい私からしてみれば、なるべく順調に事が進んでくれると良いなと思う。まあそのためにも、無用な口出しは避けるべきだろう。
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視点:石戸霞
(さあ……白望さんの闇……一体どんなものなのかしら……?)
私は全裸の白望さんの額に自分の額を当て、全神経を集中させて白望さんの身体へと意識を送る。赤木さんから特別に教えてもらった、白望さんが抱えている闇。それがどうにもあの時私が感じた邪悪な気配の原因らしい。
やはりその闇は赤木さん曰く危険なものであったらしく、一度は白望さんの命を奪いかけたほどであったらしい。だが、白望さんはそれを乗り越えて己の闇に打ち勝った……らしいのだが、どうにも白望さんが鹿児島入りしてから様子がおかしいと赤木さんは言っていた。
そしてその元凶とも言える存在が、鷲巣巌という男。赤木さんには、その男の様子を見てきてくれと頼まれたのだ。だから今こうして白望さんの闇を探っているのである。
そうして探す事数分、案外早めに白望さんの闇を見つける事ができた。私は慎重になりながら、少しずつその闇へと近づいていく。
(赤木さんは闇と言っていたけど……澱んではいないわね)
私が最初に白望さんの闇を見てまず初めに思ったのはそれであった。白望さんの身体を蝕んでいた元凶の鷲巣巌という男がいたせいで、白望さんの闇は必要以上に禍々しく、澱んでいたと赤木さんは言っていたが、その鷲巣巌という男が身を退いたとしても、その闇は綺麗であった。それこそ夜の空のような、どこか人を惹きつける色をしていた。
(本当に、この中に鷲巣巌という男が……?)
信じられない話だが、でも赤木さんが言うのだから本当らしい。私は白望さんの闇の中心部へと向かう。それと同時に、私は従えている小薪ちゃんが時折降ろす『恐ろしいもの』をいつでも自分の身に降ろせるように準備する。赤木さんが言うには、その鷲巣巌という男は神様を超越どころか、神様を下僕として扱える事ができるような存在である。もしその言葉が本当であれば、私はどうにもする事ができない。私はあくまでも神様の力を借りて発揮するタイプである。それ故に相手が神様と同等、それ以上の存在であれば、私は太刀打ちができない。ましてや神様を下僕として扱えるような存在に、私がどうこうできるわけが無かった。
「おい、小娘」
(……ッ!?)
そう考えていると、いつの間にか背後に何者かの存在がいた。私が振り向こうとした直後、その背後にいた者に首根っこを掴まれる。私が抵抗しようと『恐ろしいもの』を降ろそうとしたが、その者の「無駄じゃ」という一言と共に払われた腕で『恐ろしいもの』が吹き飛ばされてしまった。恐らくこの者が、赤木さんの言っていた鷲巣巌なのであろう。完全に抵抗する術がなくなった私は、諦めてその者の言葉を聞く。
「小娘、貴様は何者じゃ」
「……六仙女の巫女」
恐らくこの者が、鷲巣巌という男なのであろう。確かにこの男、神様よりも数段格上、それこそ下僕、奴隷として扱えるほどの存在だ。
鷲巣巌が私の答えを聞くと、どこか納得したような表情をして「成る程……やはりわしの聞いた話は満更御伽噺ではなかったということじゃな。こうしてここに来ているところを見ると」と一人言のように呟く。
「さて小娘。この鷲巣巌に何の用だ?よもやこの鷲巣巌を成仏させようという魂胆ではないだろうな……」
「赤木さんに、白望さんの闇の中にいる鷲巣巌って人を調べてきてくれって……」
それを聞いた瞬間、鷲巣巌は驚いた表情で私に詰め寄る。
「あ……?赤木?赤木ってあの……アカギしげるの事かッ!?」
「カカカ!成る程のぉ……わしが放った貴様らに対する威嚇が、よもやあのアカギも察知してくるとは……つくづく生意気なやつだ……!」
自己解決した鷲巣巌は愉快そうに、そして不気味に笑ってみせると、私の首根っこを掴んでいた手を離して、私に向かってこう言った。
「安心せい。アカギには『もうこのガキにちょっかいをかけるような気はない』と伝えておけ」
「……ふう。分かったわ……」
私がそう言って帰ろうとした直後、鷲巣巌さんは「ああ、そうじゃ」と言って私を呼び止める。
「今後わしに何か聞きたい事があれば、いつでも呼ぶがいい。あくまでわしはこのガキの闇に興味があるからいるだけで、別にこのガキ専用の存在ではない。それに、わしは今退屈での……閻魔も最近は張り合いがなさすぎるんじゃ」
そう言って鷲巣巌さんは手をパンパンと叩くと、どこからか鬼のような者が現れた。鷲巣巌さんのさっきの言葉と照らし合わせて、多分この人が閻魔大王様という事になるだろう。本当に地獄の神様を下僕として扱っているようだ。
そんな二人を遠目で見ながら、私は意識を白望さんの身体から自分の身体へと戻し、無事に戻ってきた。
「……終わったわ」
私が汗だくの巴ちゃんにそう言うと、集中しすぎて力が尽き果ててしまったのか、裸のまま私は白望さんの身体に倒れかかるようにして気絶した。白望さんの背後にいる春ちゃんも私のサポートとはいえ余程体力を使ったのか、春ちゃんも白望さんの身体へと倒れかかった。
やっぱり鷲巣様はツンデレじゃないか……
安易な考えで御祓の全裸シーンを書いてしまったため、その後の展開が少々雑になってしまった感。
……次からはもっと丁寧に全裸シーンを書きたいと思います(殴