宮守の神域   作:銀一色

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風呂回です。
リザべ組は変態(確信)


第173話 佐賀編 ⑭ 胸の中

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視点:鶴田姫子

 

 

「ここが私の家ばい」

 

 私は自分の家を左手で指差して白望さんと部長に向かって言う。そういえば、私が部長の家に行ったことは何回もあるが、部長が私の家に来るのは何気に初めてだったりする。そうして私たちは私の家へと入り、真っ先に自分の部屋へと向かった。この私と白望さんを繋ぐ、全ての元凶でありながら、どこか私の中で愛おしいこの手錠。それを外す鍵がある私の部屋へと向かった。

 

「あった……!」

 

 そうして自分の部屋へ入り、自分の学習机に置いてある鍵を真っ先に見つけてそう呟いた。私はその鍵を左手で持つと、先ず最初に白望さんの方から外してあげた。手錠を外されて自由の身となった白望さんは繋がれていた左手を動かし、左手の動作の確認を行っている。それを横目で見ながら、私も自分の右手を拘束している手錠を左手を使って外す。利き手ではない方の手で外そうとしたため、若干外しにくかったが、無理に外そうとして鍵が壊れてしまった……そんなヘマをするほど私は阿呆ではない。

 

「やっと外れた……」

 

 私は深くため息を吐いて、心の中から出た言葉を発する。確かに白望さんと繋がれてるのも悪くはないとは思ったし、むしろこのままでもいいのかもしれないと思ったほどである。

 しかし、そうは言っても疲れるものは疲れるのだ。白望さんが近いせいでずっと緊張していたし、何より恥ずかしい場面の時が一番疲れた。もうこういう思いをするのはこの一回きりでいいかな……そう思えるほど大変な事件であった。……元々は私が原因なのだが。

 後ろで私と白望さんが手錠を外して喜んでいるのを微笑ましそうに見ている部長は、私と白望さんに向かって「無事に手錠も外れた事だし……銭湯に行くか」と言う。私と白望さんはそれに頷き、すぐさま銭湯へと向かった。

 

 

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視点:鶴田姫子

 

 

「ここが銭湯……私は初めて来るばい」

 

「私も……」

 

 銭湯へとやってきた私と白望さんは銭湯の脱衣室を見渡す。部長は何度かこの銭湯に来た事があるらしく、直ぐに服を脱ぎ始めた。本来なら私と白望さんだけでいいのだが、せっかく部長も来たのだから一緒に入ろうという事になったのだ。

 着替え始める部長を見て、私と白望さんも服を脱ぎ始める。しかし、服を脱いだいる最中も、私の目線は白望さんの胸を捉えていた。あの服越しからでも分かるほどの強烈なバディ。服という障壁が無い状態であれば、それは自分の想像していたサイズよりも大きいものが見える事であろう。そんな妄想に夢中になり、思わず服を脱ぐ手の動きが止まる。怪しまれても仕方ないほどの急な静止だ。これでは白望さんはおろか、部長にまでバレてしまう可能性も高い。

 そう危惧していた私だったが、ふと部長の方を見ると部長も服を脱ぐ手を止めて白望さんの方を見ていた。もちろん私と同じ胸の箇所を。

 

(部長……やっぱり私と部長は一心同体……)

 

 私はそんな部長に目配せをして、部長との絆は確固たるものであると確信する。その理由が理由なのだが。

 そしてそんな事をしているうちに、白望さんの脱衣は遂にクライマックスに差し掛かっていた。なんともう既にブラを外す直前まで上半身は脱ぎ終えていたのであった。白望さんは私と部長が凝視している事に気付かず、ただ作業のようにブラを外そうとする。そうして白望さんの胸が露わになるそのわずか数秒にも満たない一瞬の時が、私には途轍もなく長く感じた。

 そして、白望さんの胸を隠す壁が完全に取り払われた。白望さんの胸が御開帳され、完全に胸を露出する。私はそんな白望さんを、自分の服で顔を隠すかのようにしてジッと見ていた。やはり私の想像していた以上の大きさ、サイズである。そして綺麗な色をしており、嘸かし感触も良いのだろう。私は白望さんの胸に釘付けであった。本当は恥ずかしい事なのに。そもそも自分の顔が赤くなっている今実際恥ずかしい事だと思っているはずなのに、私の欲望には勝てない。どうしても白望さんのソレを見てしまう。

 そして白望さんにバレる前に目線をそらして、再び服を脱ごうとした私は不意に自分の胸の方を見た。

 

(やっぱり小さか……)

 

 白望さんの胸をナイスバディと評すのであれば、私の胸はバッドバディであろう。随分と貧相な胸である。いや、白望さんのが大きいだけで、私のは中学一年生としては普通の、並のサイズなはず……そう信じて私はペタペタと起伏のない胸を触りながら心に中で唱えた。

 

「……哩?」

 

 そんな事をしていると、白望さんが上半身裸のまま部長の方に駆け寄っていた。いったい何があったのかと私も部長の方に近寄ると、部長は鼻から血を流していたのだ。白望さんは驚きながらも「まさかもうのぼせたの……?」と言いつつ私が白望さんに手渡したポケットティッシュを使って部長の鼻を抑える。だが、私はこの部長の突然の鼻血の原因がなんとなく分かる。いや、分かってしまうのだ。決して部長はのぼせたわけではない。恐らく、白望さんの胸を見て少しばかり興奮してしまったのだろう。何を隠そう、私も少し鼻血が出るかなと思うほど顔が熱くなり、それほど興奮していたのだ。部長が鼻血を出しても何ら不思議な事ではない。まさか自分の体で興奮しているなんて思わないド天然の白望さんにとっては摩訶不思議な事だろうが。

 とにかく、部長を少しばかり脱衣室で休ませている間、私と白望さんはシャワーで体を洗う事にした。昨日洗ってないだけあって、1日ぶりのシャワーはとても気持ちが良いものであった。やはり人間にとって必要不可欠な要素であろう、と何処かスケールが大きい想像をする私であった。だが、そんなスケールの大きいまともそうに見える想像も、隣にいる白望さんを見れば一発で書き換えれてしまう。白望さんのありのままの姿は、やはり官能的である。少し気を緩めば私も鼻血を出してしまうくらい、刺激が強すぎるものであった。

 そんな白望さんからの無意識な刺激に耐えながら、私は身体を洗い終えた。そしてそろそろ部長の鼻血も止まった頃であろうと若干勝手な想像をしながら、私と白望さんは休んでいる部長のところへと戻ろうとする。

 

「あっ……」

 

 しかし、そこで私は見誤っていた。濡れている地面の恐ろしさを。シャワーによって濡れた足、それに加えて濡れている地面。不用意に一歩を踏み出そうとした結果、私は思いっきり足を滑らせて前へと倒れかかった。

 

「えっ」

 

 しかし、私の目の前には白望さんがいて、尚且つちょうど私が声を発した瞬間白望さんがこちらを振り向いたため、白望さんには申し訳ないが白望さんが支えとなり、地面に倒れる事はなかった。私は白望さんが自分の事を受け止めてくれた事に感謝しつつ、体制を立て直そうとしたが、ここである違和感を覚えた。

 

(なんでこんなに柔らか……?)

 

 そう、私は白望さんに前から倒れかかったために今視界は真っ暗であるため分からないが、白望さんの身体に倒れかかったにしては随分と顔に当たる感触が柔らかかった。身体とは思えないほど異常に。

 しかし、身体の部分でもある箇所だけ異常なほど柔らかいのは言うまでもない。特に白望さんだったら、これほど柔らかくても何らおかしくはない。

 

(ま、まさか……)

 

 つまり、私は今白望さんの胸に顔を埋めている状態にあるのであった。まだ視界は真っ暗なため確定ではないが、こんなにも柔らかい箇所など胸以外にあるわけがない。

 

「……姫子っ!?」

 

 そんな現状を知った私は顔に当たる刺激にとうとう負け、無様にも私は白望さんの胸の中で鼻血を流し、果ててしまった。




Wで鼻血を流すリザべ組……
これはひどい。

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