宮守の神域   作:銀一色

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佐賀編です。
結構アレな表現があるので苦手な方はブラウザバック推奨。


第171話 佐賀編 ⑫ 主従?

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視点:白水哩

 

「まず……姫子から頭ば出しい」

 

 すっぽんぽんの私は浴室に入り、お湯が出ているシャワーヘッドを持ち、浴室内にある風呂イスに座る。そして廊下と洗面室を繋ぐドアのところにいる服を着た姫子に向かってそう言った。それを聞いた姫子は、白望とともに今度は洗面室と浴室を繋ぐドアのところまでやって来る。

 そうして、姫子は私に言われた通り首から上だけを浴室に入れるようにして頭を出す。しかし、頭を出したはいいものの、姫子はなかなかその頭を下げようとはしなかった。姫子は顔を赤くしながら私の顔を見ているだけで、一向に頭を下げようとはしなかった。当然のことながら頭を下げなければ、頭を洗うことができないので、私は顔を突き出す姫子に向かってこう言う。

 

「姫子、頭ば下げて」

 

 しかし、姫子はなかなか頭を下げようとはしない。依然顔を赤くして私の顔を見ている。何があったのかは分からないが、とにかく頭を下げてくれない事には進まない。私は無理矢理にでも頭を下げさせようと姫子の頭に手をかけ、下げようとすると姫子が「ちょ、部長!?まずいです!」と言って抵抗する。

 私は何がまずいのか分からなかったため、姫子に「何がまずいん、だッ!」と言い、思いっきり姫子の頭を下げようとしたら、直前で白望の右手が静止に入った。なんだと思い白望の方を見ると、白望は顔を赤くしながら目を逸らして「た、多分姫子が下向くと、哩のが目に入るから……」と言って私の下、風呂イスのあたりを指差した。

 そうして私は視線を下に落とす。視線を落としてから私は思い出した。私は今、風呂イスに座って足を開いて座っていたのだった。となれば当然、アレが開帳してしまうのは当然だろう。それに気付いた私は、「ひ、ひゃあ!?」と言って風呂イスから飛び出るように後ろに後退し、私のアレと胸を隠すようなポーズをとる。そして私は顔を赤くしながら目線を逸らす姫子と白望を見ながら、さっきまで自分がやっていた事を思い出す。つまり自分は、自分のアレを姫子に見せようとしていたのである。あまりの恥ずかしさに、私は少し目を潤ませながら白望と姫子に向かってこう言った。

 

「バ、バスタオル持ってきて……」

 

 

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視点:白水哩

 

 

(……はあ)

 

 バスタオルに身を包み、万全の状態となった私は改めて姫子の頭をお湯で流す。正直、さっきの精神的ダメージが酷過ぎてそれどころではなかった。お湯で流し終えた私は、シャンプーを手にとって馴染ませ、姫子の頭を洗い始める。一見冷静になったかとも思われそうだが、実際今の私の頭の中は真っ白。やはり何度も言うようにさっきの行為に対しての精神的ショックが大きすぎた。

 そうして感情を失いながら姫子の頭を洗い続ける。やはり私が姫子たちにこうしてやっていると、どこか自分が赤ん坊の世話をする親で、姫子と白望が赤ん坊に感じてきて仕方ないのだが、今の私はそれすらも感じなくなりつつある。私は溜息をつきながらも、再びシャワーヘッドを手にとって泡をお湯で洗い流す。

 何も悪くない二人に向かって溜息を吐くのは御門違い。どれもこれもさっきのは自分側のミスなのだが、どうしてもショックは大きいものだ。溜息の一つや二つ、吐いても仕方のないことだろう。そうでないとやってられない。

 そうして流し終えると、私は感情を失った声で「姫子、終わったばい……」と言う。姫子は依然として顔を赤くしながら「はい……」と小さな声で私に向かって言い、何も言わずにバスタオルを手にとって頭を拭き始める。いや、私を気遣ってくれての事だと思うが、今の私にとってはその気遣いすらも心に突き刺さるのであった。

 取り敢えず私の心のダメージは置いといて、次は白望が下げた状態で頭を私に向かって突き出す。そうしてシャワーヘッドからお湯を出そうかと思ったその時、不意に私は自分に向かって頭を下げている白望を見てこんなことを思った。

 

(……まるで、白望ば屈伏させてるような感じが……)

 

 そう。あんな服従するように頭を下げる白望の格好と、そんな白望の頭に手をかける私の今の状態がなんとなくご主人様と奴隷のような主従関係が出来上がってるように思えてきた。

 そう考えてしまったからであろうか。今私の背筋にゾクゾクっと何かが駆け巡ったような気がした。背徳感、とも違うどこか生物の本能を掻き立てるような何かが私の頭の中を埋め尽くす。思わず、私は白望の頬に手をかける。白望はいきなり頬を触らられて顔を上げてこちらを見るが、低い姿勢のまま私の顔を見ようとしたため、上目遣いのような状態で私の事を見る。これもまた、私のリビドーを加速させる要因となった。

 もし、今の私が手錠に繋がれて身動きがとりにくい二人を襲ったら、どうなるだろうか。そんな黒い欲望が私の頭の中をよぎったが、すぐに私は我に帰る。私は顔を横に振り、疚しい想いを消し去る。全く、さっきといい今といい色々アホな事を考えすぎだ。そろそろ疲れが溜まっているのかな。そんな事を考えながら、すぐにこちらを見る白望に「ん、なんでもなかよ」と言ってシャワーヘッドからお湯を出す。そして私は白望の頭を洗い始めた。

 

 

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視点:鶴田姫子

 

「ふう……疲れたばい」

 

 部長に頭を洗ってもらった私と白望さんはリビングに戻ってきて二人一緒にソファーに座る。そしてそんな事をふと呟いた。

 明日に持ち越されたものの、せっかく部長の家に来ているのに部長や白望さんと一緒に入れなかったのは悔やまれる。お預け感が否めなかった。まあ全部私のせいなのだが。

 

(それにしても……部長の身体、綺麗しゃったなあ……)

 

 そしてソファーで寛いでいると、ふとさっきの部長の姿を思い出す。流石にアレまではしっかりと見ようという気にはならなかったが、それを除いても部長の身体は綺麗であった。純潔、とでもいうのであろうか。見ただけでもすべすべした肌であるというのが分かるほど。

 

(白望さんも綺麗なんだろうか……)

 

 続いて私は横にいる白望さんの事を見て想像する。白望さんの胸は見ただけでも部長より大きいのが伺える。おそらく服を脱げばそれ以上であろう。私にはそんな趣味はないが、白望さんや部長となっては話が別である。明日の銭湯がまた楽しみとなった瞬間であった。

 

「……あ、部長」

 

 そんな事を考えていると、いつの間にか部長がお風呂から戻ってきていた。当然、お風呂に浸かってきた部長は私や白望さんとは違いパジャマに身を包んでいた。こうして見ると、パジャマ姿の部長もなかなか良いものだ。本当に白望さんのパジャマ姿を見ることができないのが悔やまれる。

 そうして部長が戻ってきたのを視認した白望さんは、「そろそろ寝室に行こうか?」と私と部長に向かって言った。すると部長は「じゃあそうするか」と言い、私と白望さんは立ち上がって部長の後をついていった。




次回も佐賀編です。

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