宮守の神域   作:銀一色

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脳死しながら書いた&時間が少なかったので過去最大級に雑になってると思います。



第167話 佐賀編 ⑧ 三人仲良く

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視点:鶴田姫子

 

「だ、ダルいって……」

 

 私は思わず白望さんの肩を揺さぶる。いや、ダルいで済む話ではないだろう。この状況……もし部長に見られたらと考えると想像しただけでも恐ろしい。確実に自分がそういう系統の性癖を持っているものと思われてしまう。何より自分で手錠にかかったなど言えるわけがない。恥ずかしすぎる。

 そう心の中であたふたしていたが、現実は非情なようでとうとう廊下から聞こえてくる階段を上がる音は聞こえなくなった。当然の事ながら、いなくなったわけではない。階段を上り終えたという意味だ。そして階段を上がる音はすぐさま地面を歩く音に変わって廊下から聞こえてくる。絶体絶命。もうどうしようもできなかった。

 

「姫子、白望……?」

 

 部長はそう言って部屋の扉を開ける。ああ、もうダメだ。これは終わった。そう思って私は呆然と開く扉を見ていた。

 

 

「姫子、すまなか。私はお前の気持ちば分かってなかっ……?」

 

「ぶ、部長……」

 

「哩……どうしよ。これ」

 

 白望さんはこんなトラブルに巻き込まれているのに相変わらず無関心そうに、私は若干涙目になりながら部長の事を呼ぶ。部長は私と白望さんの事を驚きつつも見てから、手をポンと叩いて私と白望さんに向かってこう言った。

 

「そういうプレイ……?」

 

「ち、違います!」

 

「何言ってんの……」

 

 私と白望さんに部長に向かってそう言うと、部長は「そいぎあ、どうしたらそぎゃん状況に……」と言ったが、そんなもの私にだって分からない。そんなあたふたしている私を横目に白望さんは部長に向かって「さあ……?」と言った。

 

「それでこの手錠、姫子のか?」

 

「……はい」

 

「……鍵はあるのか?」

 

「家です……」

 

 それを聞いた部長は少しほど悩むと、「じゃあ……姫子の家も遠いし、とりあえず今日はそのままにしとき」と言った。私はもっと部長に幻滅されると思っていたのに、部長はあっさりとおしまいにしてしまった。

 

「……部長?」

 

「どうした、姫子?」

 

「どうしてって……部長、気持ち悪いと思わんやろか?こぎゃんと手錠ば持ち歩いて……」

 

 それを聞いた部長はふふっとハナで笑うと、私に向かってこう言った。

 

「例え姫子がどぎゃん人間であろうとも……姫子は姫子。私は姫子の事ば愛してるよ」

 

 そう言われた私は顔を赤くして、「部長ぉ〜……」と言って抱きついた。言った本人である部長も顔を赤くして、抱きついている私のことを見ていた。隣にいる白望さんはいきなり抱きつきに行った私に引っ張られながらも、微笑ましそうに私と部長の事を見ていた。そして白望さんは私に向かってこんなことを言う。

 

「……別に、このままで生活するのはいいけどさ」

 

「どうしとった?白望さん」

 

「お風呂とかお小水とかどうするの……?」

 

 それを聞いた私は思わず「あっ」と口に出してしまう。そうだ。さっきまで部長の事しか頭になかったが、この状況は色々とマズい。お風呂も別々に入ることなんてこの状況じゃ無理だし、トイレもどちらかが行くときはもう片方も行かなければならない。完全に悪い意味での二人三脚の生活であった。

 

「……二人で入らんといかんね」

 

 部長が私の代わりに白望さんに言う。白望さんはため息をつきながらも、「仕方ない……姫子、大丈夫?」と言ってきた。いきなり面と向かってそう言われて、私の少し顔が赤くなる。あの一件があってから、色々と私は白望さんの事が気になって仕方ない。私が部長に思う気持ちと、同じような気持ちが白望さん相手に感じてしまう。

 

「そ、そうやね……」

 

 私は顔を逸らしながら白望さんに向かってそう言う。そんな顔を赤くする私を部長が見ながら「姫子が嫉妬する理由、今なら分からなくもなか……確かにどっちも羨ましいばい」と言ってきた。確かに私も、今の部長の気持ちはわかる。部長という存在がいるにも関わらず、私は今白望さんの事も気にかかっている。つまり、簡単に言えば浮気状態であった。世間一般的に浮気というものは否定的に見られる。私も浮気なんて最低だと思っていたが、今思うとその気持ちは分からなくもない。まあ私と部長のはちょっと他のパターンとは違くて、どちらも互いに浮気を公認しているようなものだが。

 

「まあ……部長、白望さん。三人で仲良くやっていきしゅうばい」

 

 そう言って私は手錠の掛かってない左手で部長の手を持ち、部長と白望さん丹向かってそう言った。部長は少し恥ずかしがりながらも「そ、そうやね……」と言った。白望さんは少しほど困惑しながらも「ダルい……」と言ってぐったりする。まあ相変わらずと言ってしまえば相変わらずの反応なのかもしれないが。

 

「じゃあ……どないする?姫子、白望。そろそろ昼食にするか?」

 

 部長は改めて私と白望さんに向かって言う。私と白望さんは頷くと、手錠がかけられているが故に体を接近させながら部屋を出て、階段を降りる。階段を下る時、白望さんの体が間近にある事に若干恥ずかしがりながらも嬉しく思うが、その直後に私と白望さんに待つ最初の試練があるとは思いにも寄らなかった。




次回は佐賀編です。
次回こそもっとちゃんとした時間を確保して書きたいですね……
まあ明日は平日なんですけどね……(絶望)

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