恒例のアレ回です。
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視点:小瀬川白望
「シロさん?」
私が旅館の部屋に戻ってそこから一時間程度、部屋の中に設置されてあったテレビを見たり、今日に来た溜まっているメールを一人ずつ返信していたりなど、色々と寛いでいると襖の向こう側から私を呼ぶ声が聞こえた。
その声を聞いた私は襖を開けると、そこには玄がいた。私は玄に「どうかした?」と言うと、玄は「温泉の場所を教えてなかったので!」と言ってがっつり私の胸を見る。玄の視線と表情を見るだけで、玄が今考えている事はだいたい分かる。「一緒に温泉に入ろう」と言う事だろう。
断る、というのも一つの選択肢だ。しかし、私には色々と前例がある。他の人は良いのに玄だけダメというのは罪悪感が残る。別にそんなのは自分の勝手な拘りであって、断ってもいいのかもしれない。しかし、私にはどうも断れなかった。……変な拘りというのは時にダルいものとなるものだ。
まあ一緒に温泉に入る事くらい減るものでもないし、大丈夫だろう。流石に胸を触られたりするのは少々ダルいが。
そういった事を察しながら、私は玄に「……一緒に入る?」と聞く。それを聞いた玄の表情はさっきより増して明るくなり、「行きましょう!」と言った。
「じゃあ……温泉に連れてって……」
私は部屋にあった浴衣やらバスタオルなどを持ち、玄に向かってそう言う。玄は「おまかせあれ!」と言って私の手を引き、歩き出した。
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視点:小瀬川白望
「シロさん、ちょっと着替えを用意するので遠回りになってしまいますがよろしいですか?」
歩いている途中、玄がそんな事を聞いてきた。特に断る理由もないので、「いいよ」と返す。
そう私が言うと、冬にしても室内では明らかな重装備を着ている宥とばったりあった。ありえないくらい着込んでいる宥であったが、それでもまだ寒そうに震えている。
「あれ、玄ちゃんとシロちゃん……どうしたの?」
「シロさんと温泉入るんです!」
それを聞いた宥は「温泉……あったかそう、いいなあ……」と言った。そういえば宥はそんなに着込んでも寒そうにしているのに、温泉の中でも寒いと感じるのだろうか……いや、流石にそれはないか。それよりも入る前服を脱ぐときが宥にとって一番辛そうだが。
「……宥も入る?」
私は宥に向かってそう言うが、宥は首を横に振って「私は手伝いの途中だから……」と言う。……そういえば玄は手伝いは終わったのだろうか。まあおそらく交代制なのだろう。流石に玄と宥だけで旅館を経営しているわけでもないだろうし。
「ごめんね……お姉ちゃん」
「別に大丈夫だよ……玄ちゃん」
そういった姉妹のやり取りを間近で見る。……なんというか、照よ。やっぱり仲直りしたほうがいいぞ。私が言えるのはそれだけだ。
そんな事を考えていると、宥は玄と私に向かって「じゃあシロちゃん、ゆっくりして行ってね」と言って廊下を歩いて行った。私と玄も再び歩を進めて、玄の着替えやらバスタオルやらを持って、温泉へと行った。
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視点:小瀬川白望
そうして私と玄は脱衣所へとやってくる。ちょうどタイミングが良かったのか、脱衣所には誰もいなかった。私は着替えを始めようとすると、ここで玄から熱い視線が注がれているのに気が付いた。私は服を脱ごうと動かしていた手を止めて、玄の方を見る。
「……どうしたの」
私が玄に聞くと、玄は目を輝かせながら「シロさんの服を脱がせてあげようかと……」と言う。……これは果たして承諾していいものなのだろうか。
「ちょいタンマ」
私は玄に向かってそう言って少し考える。別に構いはしないのだが、脱がせてもらうという行為そのものがどこか恥ずかしい。しかし、もう内心どうでもよくなってきた私は「……いいよ」と言って玄に身をまかせる。
「じゃあ……失礼します」
そう言って玄はどんどん私の服を脱がす。……今になって気付いたのだが、今私はとんでもない事をしでかしているのではないか。本当に今になってのことだが、そんな気がしてならなかった。
そう考えている間にも玄は御構い無しといった感じで私の服を脱がせる。気がつけば、私の上半身の服は全て玄によって脱がせられていた。
「ほう……服越しでも大きかったのに、これは……」
そう言って玄は私の胸を見ながらそう言う。まだ上だけだから別にいいのだが、これ以上は流石にまずい。いや、上半身で既にアウトなのだが、それでも流石に下半身はだめだ。私は、玄に「これ以上は……自分で脱ぐ」と言って胸を腕で隠す。
流石の玄もそれ以上はする気は無かったのか、すぐに私の願いを聞いてくれた。
そうして服を脱ぎ終えた私は、未だ服を脱いでいる最中の玄を待って、玄が脱ぎ終わってから中へと入った。
「……広い」
まず私が中に入って発した第一声はそれだった。隣にいる玄が「松実館自慢の温泉ですから!」と言う。これだけ広いと玄や宥の掃除の負担が大きいのではないのかという事を考えながら、私は頭を洗い終える。
頭を洗い終えた私は今度は体へと移行する。ボディーソープを手にとる最中、玄が私の事をジロジロと見ているのに気付いた。「……別に自分で洗えるから」と私は玄が何かを言う前に先に断りを入れた。さっきの時点でもう既にアウト感が凄まじかったので、流石に断っておいた。断られた玄は少し悲しそうな表情をしていた。それを見た私は少しの罪悪感を感じたので、自分の背中を指差して玄に「じゃあ、背中なら……」と言った。玄の本命は私の胸なのだろうが、背中で我慢んしてくれ。
「……了解ですっ」
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視点:小瀬川白望
「ああ……」
そうして体を洗い終えた私と玄は、温泉へと浸かる。思わず声が出てしまうほど、温泉の中は気持ちよかった。温泉と聞くと私はサウナの地獄を思い出すが、そんなトラウマを消し去ってくれるほど気持ちよかった。
「気持ちいいですか?シロさん」
隣で同じく温泉に浸かっている玄にそんな事を聞かれる。私は「うん……玄はどう?」と聞き返した。
「それは勿論、シロさんのおもちも見れて最高です」
そう玄が満面の笑みで答える。……玄はよく私の胸がどうこう言っているが、玄もよく見ると中々に大きいではないか。
「ねえ玄」
私は玄に接近して玄の事を呼ぶ。いきなり近寄られた玄はびっくりしながら私の事を見る。
私はさっきまでのお返しと言わんばかりに玄の胸を見て「そう言ってる玄もさ、おもち……?大きいよね」と言う。
「そ、そそそんな!」
玄はさっき見たいに口をパクパクさせながらそう答える。……流石に今のは自分がアホであった。いくらなんでも、これじゃあ私がまるで変態みたいな感じになっているではないか。いや、もともとは玄が原因なのだが。
「……今のナシ。忘れて」
私はそう言って温泉から立ち上がる。そして温泉から出ようとしたが、足を出そうとした瞬間、玄に手を掴まれた。何事かと思い玄の方を見るが、玄は目線を逸らしながら私に「もうちょっと……このままでいいですか?」と言った。
「……いいよ」
私は立った状態から。再び腰を下ろす。そうして玄と手をつなぎながら、しばらくの間二人とも共に無言で温泉を堪能した。
次回も松実編!
……ハーレム民にヤンデレがいたら、多分全国を転々とするシロを監禁するんだろうなあとアホな事を考えている今日この頃。