(本当は分割しただけです許して下さい。何でもしませんけど)
麻雀します。
初めてなので牌画像変換ツールの仕様とかよく知らないのでミスってたらなんとかします。
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雀荘みどり
視点:小瀬川白望
東一局 親:矢木 ドラ{七索}
小瀬川 25000
モブ1 25000
矢木圭次 25000
モブB 25000
赤木さんが初めて闘った相手。矢木圭次。
それに対するは赤木さんの弟子(?)である私。
実戦を積むのが目的であるが、
是非ともここは勝って、赤木さんの域に近づきたいものだ。
そんな意気込みを掲げて始まる東一局。サシ勝負であるが故に他のモブ達はあまり手出しはしないと思いきや、モブ達もヤクザ側の人間で、大金を賭けている為当然私を狙ってくる。つまり3対1だ。
しかしモブ達も所詮は凡夫。私の狙いは矢木だ。
手積みということもあって山を積む時はイカサマも考慮しなければならない。私はする気はないが、相手はマジになったらイカサマをするかもしれない。
流石に東一局からは来ないだろうが、念のためだ。
無事イカサマも無くサイコロが振られ、配牌を取っていく。
最初の四牌を開く。
{東東九萬五索}
ふむ、場風牌が対子か。中々よろしい。
どんどん牌を取っていき、配牌は
{東東西白七萬九萬一筒一筒四筒七筒五索六索七索}
の三向聴。翻牌の対子にドラが一枚面子になっている。まずまずと言ったところ。
矢木が南を切り、上家がツモって東を切る。だけど私は動かない。そして牌をツモる。
後ろの南郷さんが少し動揺しているが、まあ見ててなよ南郷さん。
ツモ牌 :{東}
これが鳴かなかった理由だ。私は東を手牌に収める。
手牌 {東東東西白七萬九萬一筒一筒四筒七筒五索六索七索}
通常、ここは孤立している西か白切りであろう。
しかし、私は『ちょいタンマ』といって場の流れを読んだ。何故なら場の流れに変な突っかかりを感じたからだ。
時間にして約30秒。上家のゲームコントローラーのようなシャツを着たヤクザはキレそうだったが、矢木がそれを目で黙らせた。
そして私が読みを信じた、その一打は
{五索}
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視点:神の視点
〈小瀬川 捨て牌〉
{五索}
五索。小瀬川、ドラの面子を崩して打、五索。
背後にいる緑の服を着た悪そうな男(以下安岡)と南郷は唖然。
勿論、矢木と背後で矢木を見守るヤクザ(以下竜崎)も一瞬時が止まる。
小瀬川の手牌が見えなくとも、最初の一打が五索の時点で不穏…
(チッ…このガキ…どんな配牌なんだ…チャンタとかだったら良いが…国士と清老頭の可能性もある…しかし、素人だからで済ますこともできる…)*矢木からは13歳の頃のアカギに見えるので、素人だと思ってます*
厄介だ。と矢木は感じる。この場での素人という肩書きは矢木を苦しめている結果となった。
下家が戸惑いつつも九索を打つのを確認した後、矢木は牌をツモる。
(とりあえず、この場面での断定は厳しい…手を進めるしかない…)
打:{中}
矢木、手牌から浮く中を切って手を進める。
上家もそれに合わせ打つ形で打、中。
そして小瀬川のツモ。
さっきとは皆の注目度が違う。ツモった牌を手中に収め、切り出した牌は
〈小瀬川 捨て牌〉
{五索四筒}
四筒、またしても中張牌。中張牌二連打。
この場の小瀬川を除く全員が困惑。
(どういう事だ…?刑事や南郷の様子を見れば、まともな打牌じゃないことは分かった…
つまり国士やチャンタを目指しているわけではないのは確かだが…まさか、このガキ初っ端からブラフを?)
そう矢木が半信半疑になるものの、下家が西を打ったことを確認して、山に手を伸ばす。
しかし、手が牌に触れようとしたその時
「ポン」
{西西横西}
小瀬川が鳴く。翻牌の西。そして
〈小瀬川 捨て牌〉
{五索四筒九萬}
打九萬。さっきとは打って変わっての九萬。
この鳴きに矢木はある仮説を立てる。
(恐らくあの鳴きは意図的…さも溢れ出た九萬のように振る舞ってチャンタを演出している…!
この状況下で本気で速めに上がりたいのなら是が非でも鳴きたい…
従って鳴きの発声は通常、瞬間的なものとなるハズ…
しかし奴は違う。奴は待った…!余裕があった…!何故なら上がる気はゼロだから…!
別にバレたわけで負けが決まるわけじゃない…が、実はそこが落とし穴…!露呈した…!その偽りのチャンタ…!)
矢木はそう結論付けると同時に
(このガキ…素人と聞いたが、その前提は捨てた方が良い…恐らく素質では奴が数段上…)
と、内心評価していた。
その瞬間、矢木の目は変わる。
小瀬川の見る目を素人から相手へと変更し、殺す気でかかろうとする。
〜〜〜
そして8巡後、矢木が聴牌。
(来たっ…!)
矢木:手牌
{五萬六萬二筒四筒七筒七筒五索五索六索六索七索七索七索}
ツモ牌:{三筒}
嵌張の三筒の受けが理想的に入り、断么九、平和、一盃口の良型。おまけにドラもある。
ツモればダマでも親跳。6000オールとなる。
立直して一発ツモ、若しくは裏ドラ次第で親倍にまで化ける理想的な手牌。
聴牌に受けるにはドラの七索を切ることになるが、肝心の小瀬川はブラフであり、他家はこちら側の人間。和了られる事はまずない。
そう確信して、千点棒を取り出す。それが意味するのは立直の宣言。
そして打、七索…ッ!
(…)
しかし矢木がドラを、七索を、河に放つことはしなかった。
矢木によぎる可能性…僅かな可能性が、矢木を思いとどまらせていた。後ろにいる竜崎は何故立直にいかないのかと困惑している。
それもその筈、唯一の敵である小瀬川はノーテン。ブラフ。そう確信したではないか。
(…その前提が、何故あっさり…真実だと…受け入れた…ッ?受け入れることが出来た…ッ!)
前提の間違い。それ即ち。
小瀬川白望:手牌
{裏裏裏裏裏裏裏裏裏裏}{西西横西}
小瀬川白望:捨て牌
{五索四筒九萬八筒中二筒}
{南白}
小瀬川白望の聴牌…!
(ブラフのブラフ…!二段構え…!おそらく奴は張っている…和了牌は九分九厘この七索…!)
(そもそも…俺は確信したはずだ。奴を素人としてではなく、相手…即ち雀士として闘うと…!
そんな奴が、鳴く時に焦って発声など、ありえない…ブラフであれ、ブラフでなかれ、奴はそんな分かりやすい事はしない…!
そう思考が誘導されたのもコイツの技…
しかしそれに騙された俺も、認識が甘かった…何処かで俺は見くびっていた…!)
冷静になる矢木は、タバコを口に咥え、火をつける。いよいよ矢木が本気になる。
(兎に角、この牌を切らなければ奴は和了る事はほぼ不可能…しかし七索打ちを止めれば奴も勘づく…
十中八九聴牌し直すだろう…)
小瀬川白望:手牌予想図
{六索六索七索八索八索北北北発発}ツモ{発}
(こんな感じだとしたら…)
小瀬川白望:手牌予想図
{六索六索七索八索北北北発発発} 打{八索}
(最速で一巡で聴牌し直すことも可能…!)
無論これは仮の話で、最も理想的な話だ。
まず第一に七索は小瀬川の和了牌と決まったわけでもない。
しかし、矢木は確信していた。
長年の経験の勘によって…!和了牌は七索であると…小瀬川は直ぐに聴牌し直すであろうと…
この局を小瀬川がモノにするであろうと…!
故に、矢木は防御へと思考を変更する。
打:{二筒}
三筒を手中に収めるも小瀬川の安牌である二筒打ち。完全にオリの姿勢。
それに対する小瀬川の打牌は
打:{八索}
八索の手出し…!これが意味するもの、それは張り直し…!
矢木の推察は的を得ていた。矢木は危険を回避した。即ち…
小瀬川の一巡前の待ち、嵌七索待ち…!
(ツモられたか…)
「ツモ…」
小瀬川白望:手牌
{東東東一筒一筒一筒六索六索七索八索}ツモ{九索} {西西横西}
「東、西、ドラ1。1600-3200…」
待ちを変えたその次の順に和了牌を引き入れツモ和了。50符3翻の6400。
親っ被りの矢木は3200を支払い、点差は9600と小瀬川が一歩リードする形になる。
しかし振り込みを避けた矢木も、結果和了できた小瀬川も、決して良い表情をしていなかった。
〜〜〜
(まさかそこで七索切りを止めるとはな…ダルっ)
本来、矢木が唯の凡夫であったらあそこは切っていた。東、西、ドラドラの満貫を討ち取ったハズだ。
16000のリードの手筈が、たった9600ぽっちのリード。
(流石、赤木さんと最初に打った人…だね。簡単には勝たせてもらえないか…)
いつもはダルいで済ませていた小瀬川だが、その闘志は沸々と静かに燃えていた。
〜〜〜
(…)
16000のリードを、9600程度に抑えた矢木。あの局面では矢木が一歩上手と言わざるを得ない内容だったが、こちらも同様良い表情ではない。
(そもそも、最初の時点で気付くべきだった…気付いていたら、対策は打てたハズだ。
それこそ食い断么九で充分だ。連荘できたハズだ。しかし実際に俺は上がれるどころか親っ被り…
満貫の直撃は辛うじて避けたが…それでも下の中。流れを引き寄せる闘牌とはとてもいう事は出来ない…)
だがしかし、と矢木は付け加えて
(それは奴も同じだ。奴も満貫の直撃を俺に躱されたのも事実。つまりまだチャンスはある…奴に強大な風が吹く前に、流れをモノにしてやる…!)
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視点:神の視点
東二局
親:モブB ドラ:{白}
小瀬川 34600
モブA 23400
矢木 21800
モブB 23400
様々な思惑を抱えて始まる東二局。矢木、小瀬川共に配牌は四向聴。どちらも手牌に高目を狙う要素がなく、どちらもノミ手の早上がりを目指す。
「チー」
小瀬川
{横三筒二筒四筒}
「ポン」
矢木
{中横中中}
「ポン」
矢木
{六索六索横六索}
「ポン」
小瀬川
{七萬七萬横七萬}
捨て牌がまだ二列目に行く前に場は既に鳴き合戦。
矢木は中のノミ手。それに対し小瀬川は食い断么九。
矢木は長年の勘で、小瀬川は赤木伝授の《読み》の『ちょいタンマ』で己の手を高速で仕上げる。
先に聴牌したのは小瀬川。三萬と八筒のシャボ待ちで、三萬は残り1枚、八筒は2枚と計3枚残っている。
それに追いつく形で同順、矢木も聴牌。
辺七筒と待ちは微妙だが、こちらも山にまだ3枚眠っている。
両者五分五分の闘い。先に和了するのはどちらか…
矢木か…
小瀬川か…
モブB
打:{七筒}
放たれる七筒。それとほぼ同時に倒される矢木の手牌。
矢木:手牌
{一筒二筒二筒二筒三筒八筒九筒} {六索六索横六索 中横中中}
「ロン…ッ!」
「30符1翻。1000…」
東二局、制するは矢木…!無論、通しは使ってない。実力で一歩矢木が先に和了。
6巡にも満たない早い順目で、1000点は些か勿体無い気がしなくも無い…
が、否、それは否…!
今矢木と小瀬川が狙いしは己の流れ…!
1000という数字本来の意味とは重さが違う…!
確かに1000点で流れを得たかと言われたら微妙だろう。
しかし、流れは確実に矢木へと傾きつつある…!
もう一歩、二歩すれば矢木は完全に流れを掌握する。そうなれば幾ら赤木の指導を受けた小瀬川と雖も、劣勢を強いられるのは確実…!
が、逆に考えれば今、流れが完全に行き渡ってない…即ち、不安定な状態…
不安定な今なら、小瀬川にも流れを掴む余地がある。上手く自分の元へ手繰り寄せれば流れは小瀬川の物にも成り得る。
それは小瀬川も矢木も同じ事を考えている。決着の行方は東三局で大きく揺れ動く事を…
こうした6巡にも満たない熱い速攻戦は矢木が一歩リードした形で終了する。
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視点:神の視点
東三局 親:小瀬川 ドラ:{六筒}
小瀬川 34600
モブA 23400
矢木 22800
モブB 22400
小瀬川の親。東三局。ここで矢木に和了られてはますます矢木に流れを掌握させられてしまう。
小瀬川としては何とかして和了したいところ。
小瀬川:手牌
{中中東東西四萬七萬八萬一筒二筒四筒六索八索九索}
見た感じではかなり良さげの配牌。中、ダブ東に純チャンまで見える好配牌。
一方矢木の手
矢木:手牌
{一萬三萬七萬四筒八筒九筒三索八索東南南中発}
ボロボロ…!五向聴に加え、受けも嵌張と辺張、オタ風の対子しかなく、チャンタに行くにしても遠過ぎるし安過ぎる…
おまけに手牌の字牌の{中}と{東}は切れば小瀬川の手を加速させるだけ…!
(どういう事だ…流石に1000の和了じゃあ流れを掴むどころか、失ってしまったのか…?)
矢木は東二局での和了を振り返る。
しかし、あの局面では和了るしかない。何故なら小瀬川は聴牌していたのだから。
(クソ…奴の配牌は分からんが、俺がこの状況なら、奴の凡その手は分かる。俺と同じか、若しくはその逆、好配牌か…)
当然、牌が透けている訳でも無いので断定は出来ないが、一先ずそう仮定する事にした。
この局は取り敢えず《見》に徹底する。
そう考えていた矢木だが、矢木の手はここから覚醒しだす。
矢木:1巡目 ツモ
{西}
2巡目 ツモ
{九萬}
3巡目 ツモ
{一筒}
4巡目 ツモ
{白}
4連続老頭牌引き…!
これによって、矢木の手はあと{一索、九索、北}の三牌のうち二牌ツモれば国士無双聴牌というあの配牌からは考えられぬ異常事態。
一方小瀬川は3連続のムダヅモによって配牌から未だに変化が無い。
矢木とは反対にあの好配牌からは目も当てられぬ悲惨な状況。
8巡目にして、{一索}を引き入れ矢木は一向聴。
続く9巡目に、小瀬川はやっと手を一向聴に進める事が出来るが、その同順、矢木
ツモ牌:{北}
国士無双聴牌を成就。九索待ち…!
矢木はここまで小瀬川の手を進める{東}も{中}も切る事なく聴牌に至る。
(これで掴んだ…後は和了すれば完全に俺のもの…!これだがら麻雀は恐ろしい…!!)
矢木は今度こそ千点棒を河へ放り、宣言する。
「リーチ…」
すると(矢木から見て)上家は察したのか、打九索。
今度は余裕を持って、牌を倒す。
「…ロン!」
矢木:手牌
{一萬九萬一筒九筒一索東南南西北白発中}
「国士無双、役満だ…これで逆転…!」
「何ッ…!?」
小瀬川の後ろにいる安岡と南郷は驚愕する。馬鹿な、役満だと…と。
しかし小瀬川は案外冷静だった。
(役満かぁ…20200点差…別に、取り返せない点差じゃ無いけど…流れは完全に持ってかれただろうなあ…)
矢木の流れが薄れるまで耐えるしか無い、と考えた小瀬川は自分の手牌を伏せる。
その冷静な反応に矢木は驚きはしない。
(当然だ…お前はそういう奴だ…たかが役満の差し込み如きでお前の表情は崩せない。
《雀鬼》とでも言おうか…兎に角奴の動揺でのミスは期待できない。実力でねじ伏せる…!)
矢木の後ろの竜崎は「矢木…やったな…!」と喜びを隠せずに矢木に言う。
しかし矢木は竜崎を向いて
「安心しないで下さい…竜崎さん…!たかが20200の点差…未だ安全圏ではない。それどころかむしろ危険…ここでのリードは逆に安堵という油断を生みます…ここから…!ここからが勝負どころ…」
竜崎は「おお、そうか…」と戸惑いながらも返答する。
(そう…ここからが正念場…)
矢木は小瀬川を睨みつけ、対する小瀬川は不敵に笑みを浮かべる。その表情は、まさしく青年期の《アカギ》の表情だった。
矢木は自分の中でも割と好きな方です。
ですが矢木さんには悪いけど犠牲となってもらいます。