もっとシロの二次絵が増えてもいいんじゃないかと思った今日この頃。いつもとは少し早めの投稿です。
あとアンケートやってます。圧倒的豊音率
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視点:愛宕絹恵
そして現在に至る。ウチはお姉ちゃんに背中を押され、躓きながらも風呂場へと入った。いきなりウチの事を押したお姉ちゃんに何か言おうと振り向いたが、その時には既にドアは閉められていて、ドアの向こう側からガララ、という音が聞こえてきた。恐らく、脱衣室から出て行ったのだろう。ウチは深くため息をついた。
「はあ……シロさんごめんな……?お姉ちゃんが変な事したさかい、こんな事になってしもて……」
するとシロさんは、やれやれといった感じでシャワーヘッドを壁掛けに掛けると、風呂場にあるイスに腰を下ろし、ウチに向かってこう言った。
「・・・洗って」
「え?」
「自分で洗うのもダルいし……」
いや、いやいやいや。何を言っているんだシロさんは。ウチが、シロさんの頭を洗う……だと?
(せやけど……)
ウチの混乱をよそに、シロさんは完全にウチに洗ってもらう気でイスに鎮座している。断る気にもならないし、心のどこかで嬉しいと思っているウチがいる。
「・・・ええよ。シロさん」
結局、ウチはシロさんの申し出を受けることにした。自分の手にシャンプーをつけ、手によく馴染ませる。そして手全体にシャンプーの液体が行き渡った後、シロさんの髪の毛に自分の手を入れる。
(・・・柔らかいな。シロさんの髪)
見ただけでも柔らかそうなシロさんの髪の毛だが、実際に触ってみると予想以上に柔らかかった。あの癖っ毛も今ではお湯に濡れてペタンとしている。だが、そんな事は一切頭の中に入ってこなかった。どういう事かというと、もうそれどころじゃなかったのである。具体的に言えば、シロさんの裸体を見てそれどころでは無い状況に陥っているのだ。ウチは今、後ろからシロさんの頭を洗っているが、後ろからでもシロさんのありのままの身体の色々な部分がチラチラと見えている。きっとシロさんを前から見れば、シロさんの生まれたままの状態が一望できるのだろう……だが、そこまで考えて、ウチは咄嗟にシロさんの身体から目をそらした。ダメだ、あまり見過ぎているとそういう変な事しか考えられないようになってしまう。
(それにしても……シロさんの身体、めっちゃ色っぽいわ……)
一旦目を逸らしたが、やはりどうしても視線はシロさんの頭より、シロさんの身体の方に向いてしまう。さっきまではお姉ちゃんの件や、シロさんの急なお願いで困惑していたため気づかなかったが、よくよく考えれば今ウチはシロさんと裸同士で風呂場にいるのだ。それが何を指し示しているのかは、もう言うまでも無い。その事実にようやく気が付いたウチは、一度頭をブンブンと振って落ち着きを取り戻そうとする。
(抑えるんや……これはただ頭を洗ってるだけなんや……)
そしてそう自分の心に言い聞かせながら、ウチは顔を赤くしてシロさんの頭を洗う。そうだ。これは別に自分がやりたくて強引にやっているわけでは無い。合法的にやっているのだ。なにも背徳ではないし、事案でもない。むしろ事故、不慮の事故だ。
そんな事を一生懸命自分に言い聞かせて理性を保ったウチは、ようやくシロさんの頭のシャンプーをシャワーで洗い流す工程に漕ぎ着けた。
「シロさんお湯、行くで」
「ん……」
ウチがシロさんにそう言うと、シロさんは目を閉じる。目を閉じているシロさんはどこか可愛げがあり、さっきまでの色っぽい大人な感じのシロさんとはまた違った良さというものがある。
「流し終わったで」
シロさんにそう告げると、シロさんは目をパチリと開ける。目を開けたシロさんを少しまじまじと見ながらも、今度はリンスのボトルの中からリンスを手につけ、またもや手に馴染ませてからシロさんの髪に塗りたくるようにリンスをシロさんの髪の毛にコーティングしていく。そしてコーティングした後、またシロさんに一声かけてから髪を洗い流した。
ここまでは良かった。目線が相変わらず髪より身体の方を向いてしまうが、まだ自分の理性もどうにか抑えられたし、何よりこれで終わったと思っていた。だが、シロさんはイスに座ったまま動かない。ボディーソープの位置が分からないわけでもないだろう。と、そんな疑問を抱えていたウチにシロさんはこんな事を言った。
「洗って……」
「・・・いやいや、シロさん?流石にそれはマズいで……」
ヤバい。流石にそれはヤバい。ウチの理性的にも、背徳的にも色々なベクトルでアウトだ。いや、さっきまで散々シロさんの事を見ていた自分が言える立場ではないのだが。
そんな軽いパニック状態のウチに、シロさんはこう言う。
「いや……前じゃなくて背中……」
ああ、なんだそういう事か。まあそれなら多分セーフだ。というか、考えてみれば当たり前のことではないか。この状況で体を洗えと言ってそれが体全体を指し示すわけがないだろう。
「せ……せやろうな!そりゃ背中やな!」
ウチは咄嗟に誤魔化そうと言葉を発したが、シロさんはキョトンとした感じでウチの事を見ている。嗚呼、ウチの心はこんなにも汚れているというのに、シロさんはなんて純粋なのだろう。そんな自分のいやらしい心を卑下し、ボディータオルを持って、ボディーソープをつけた。そうして泡立ててから、シロさんの背中をボディータオルを使って優しく撫でるようにして洗う。
(にしても……)
洗っている途中、ウチはあることに気がついた。シロさんの体がとても華奢であることにだ。麻雀を打っている時の気迫からは考えられないほどその背中は華奢で、腕もか弱いと表現しても差し支えないほど細かった。スポーツをやっているウチが押さえつけようとすれば、なす術もなく抵抗すらできないほど。
(いや……!何を考えとるんや……)
一瞬、自分の心が黒に染まりかけたが、それを自分の理性で防いだ。危ない危ない。それよりも、一瞬でもそんな事を思ってしまった自分を殴りたい気持ちで精一杯だ。ウチはまたため息を吐いて、シロさんの背中を洗う。
「・・・終わった?」
するとシロさんはウチの方を向いてそういった。相も変わらず純粋な瞳だ。ウチは多少の罪悪感に包まれながらも、シロさんにボディータオルを手渡した。
そうしてシロさんは自分の身体をボディータオルを使って撫でるようにして自分の身体に擦り付け、シャワーで洗い流す。その一連の動作を、ウチは食い入るようにしてジッと見ていた。
そうして洗い流すのを終えたシロさんは、椅子から立ち上がって、浴槽の蓋を開けて、浴槽の中に入った。浴槽の中ではシロさんはいつにも増してグターッとしているので、余程疲れていたのだろう。
「気持ちええか?」
シロさんが浴槽に入った結果空いたイスに座り、そんな事をシロさんに言った。するとシロさんはグッタリしていた体を起こし、「うん……あと、洗ってくれてありがとね」と言い、またもやグッタリとした姿勢に戻った。
〜〜〜
「絹恵……」
そして、今度はウチが自分の体を洗っているまさにその最中に、シロさんはふとウチの名前を呼んだ。ウチは突然のことに少し驚きながらも、それに反応する。
「ど、どした?シロさん」
すると、シロさんはさっきのようなグッタリとした姿勢を保ったまま、ただ一声。
「カッコ良かったよ」
と、呟いた。またもや予想外の事を言われ、思わず咳き込んでしまう。ウチは「な、何がや……?」とシロさんに問いた。
するとシロさんは間をおかずにこう言った。
「今日のサッカーの……」
「ああ……サッカーの事やったか」
「絹恵がボールを止めた時とか、思いっきり遠くにボールを蹴り上げた時とか……カッコ良かったよ。絹恵」
そう言われて、ただでさえ赤面していた頬がどんどん熱くなる。いや、言われて嬉しいのだが、面と向かって言われると恥ずかしいというかなんというか……そんな形容し難い感情に包まれる。そしてなんとか振り絞って出せた言葉が、
「あ、ありがとう……」
という言葉だった。本人は何気なく言った事のように思っているが、ウチからしてみれば只事ではない。何よりも、あのシロさんにカッコ良いと言われて嬉しかった。
そんなふわふわした気持ちのまま、ウチは体を洗い終えた。残るは浴槽の中に入るだけなのだが、いくら小学六年生と中学一年生の女の子とはいえ、二人が一斉に入るにはどうしても体を詰めて入らないといけない。だが、入らないというわけにもいかない。仕方なくウチは息を飲んで、体を浴槽の中に入れた。既にウチの体が入れるように寄せてくれているシロさんの足が微かに当たる。入浴剤の影響でお湯の中は見られなかったが、逆にそれはウチの助けになった。多分、間近でシロさんの体を見たらぶっ倒れてしまうと思う。
そうして結構スペース的にキツめな入浴となったが、それでもシロさんと一緒に、しかもこんな近くに居られるという事にウチは喜びを抱く。
「お風呂……気持ちいいね」
シロさんがウチに向かってそう言う。確かに、シロさんは皆から愛されている。だが、今この瞬間だけは、ウチだけのシロさんだ。
「・・・せやな!」
次回で愛宕回は終わりです。
そのあとは怜&竜華回!