宮守の神域   作:銀一色

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大阪編です。
バレンタインデー特別アンケートを実地しました。
シロにチョコレートを渡す場面を見たいハーレム民の名前を書くだけですので、ご協力をお願いします。詳しくは活動報告から。


第121話 大阪編 ⑦ 対応

 

 

 

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視点:神の視点

東二局 流し一本場

 

 

小瀬川白望:配牌

{一五七赤⑤⑧12344579}

 

 

 

前局、小瀬川白望が情報戦という観点から見れば一歩リードしたと言わざるをえない結果となった。自分の情報を何一つ晒すことなく東一局を終えた小瀬川白望に対し、自分の手牌全てを晒すこととなった愛宕雅枝。小瀬川白望と愛宕雅枝、たった一局だけではあったが、この時点でもう既に両者の力量差がはっきりした。愛宕雅枝よりも小瀬川白望が数枚上手であったと言わざるを得ない。

 

(シロさんの配牌は可もなく不可もなく……って感じやな)

 

小瀬川白望の後ろで勝負を見守っている愛宕絹恵は、小瀬川白望の配牌を見ながらそう思った。そしてその感想は決して間違ってはいない。確かに小瀬川白望の配牌は少し索子が多めの三向聴。特別に良いわけでも、悪いわけでもない。平凡な配牌。だが、小瀬川白望はそうは考えてはいなかった。何度も言うが、愛宕絹恵が言っていることは正しい。だが、それはあくまでも()()()()()()()()()()だ。

そう、卓に座っている小瀬川白望だからこそ気付くことができていた。……いや、小瀬川白望が気付いたからといって、それがイコール他の人が気づけるとは言えないのだが。ともかく、卓に座っているからこそこの配牌に隠された可能性に気付けたのだ。それを踏まえて考えれば、この手、全然平凡ではない。むしろ、今の小瀬川白望が欲していた最高の形である。

 

(本当はまだ攻めてもいいけど、どうせなら全部丸裸にしてあげるよ……愛宕雅枝さん……)

 

そう、場合によってはこの配牌で愛宕雅枝の麻雀をほぼほぼ全部知ることが可能となる。そうなればこの勝負、愛宕雅枝が小瀬川白望に勝つことはほぼほぼ不可能となってしまう。だが、それをどうにかして回避できるか、と言われてもそれも不可能に近いことだ。

 

(・・・凍りつかせてあげるよ)

 

小瀬川白望はニヤッと笑って愛宕雅枝の方を見る。愛宕雅枝はそれを見て少し恐怖するものの、すぐに平常心を取り戻した。

 

 

〜〜〜

 

(流石やなシロちゃん……この局で全部オカンの麻雀を知ろうとする気やな……)

 

一方、愛宕洋榎はニヤッと笑う小瀬川白望の事を見て素直にそう思った。自身の母親である愛宕雅枝がどれほど強い部類に入るのかは彼女が良く知っている。全国大会で小瀬川白望と真っ向に対峙したり、その前の準決勝までは他者を圧倒していた愛宕洋榎でさえ、自身の母親に真っ向から闘って勝利できるか、と言われればすぐに頷くことはできないであろう。それほど愛宕雅枝という雀士は強いのだ。それを身を以て体験してきた。だが、前局見に徹してきた愛宕洋榎は確信した。自身がそあれほどにも高く評価している愛宕雅枝でさえも、小瀬川白望には技量では及ばないということを目の当たりにして、愛宕洋榎は少々興奮していた。やはり小瀬川白望は正真正銘の人外であるということに、どこか嬉しさを感じていた。

 

 

 

 

 

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三巡目

小瀬川白望:手牌

{五七⑧1223445789}

ツモ{3}

 

 

 

(おお、なんやコレ……索子がどんどんと……)

 

東二局が始まって早くも三巡が経とうとしていたが、小瀬川白望がこの三巡で掴んだ牌は{283}の三牌。そう、全て索子を引き入れたのだ。流石にここまで来ると小瀬川白望が配牌を開いた直後に気付いたこと……彼女の手牌に起こっている異常にも気づき始めてきた。そう、小瀬川白望のこの局の流れは総じて索子。まるで湯水が湧き出るかのように小瀬川白望の元には索子が集まってきたのだ。それを彼女は配牌を開いた瞬間にその彎曲した、索子に偏っている流れを察知したのだ。

 

 

小瀬川白望

打{⑧}

 

 

当然、小瀬川白望は{⑧}を切って前進する。その打牌に一切の迷いは見られない。自信を持って打っているのが彼女の表情を見れば一発で分かる。

そしてそれから二巡経った五巡目、小瀬川白望が遂に聴牌に至る。

 

五巡目

小瀬川白望:手牌

{七122333445789}

ツモ{6}

 

{6}をツモってきて小瀬川白望、聴牌。打{七}で{369}の三面待ちの聴牌か、索子を打って{七}単騎待ちの聴牌の二択となった。愛宕絹恵は、ここでは索子を打って{七}単騎待ちを取るのではないか、と予測した。何故なら、この索子だらけの流れであればいずれは他の人に気付かれる。そこで敢えて萬子待ちにすることで愛宕雅枝を狙い撃ちするという算段だ。

 

「リーチ……」

 

 

小瀬川白望

打{横七}

 

 

だが、小瀬川白望は真っ直ぐに{369}の聴牌をとった。愛宕絹恵は少し驚くが、小瀬川白望からしてみれば聴牌の待ちなどどうでもよかった。そもそもこの局での目的は愛宕雅枝の情報を得ること。点棒を奪うことではない。わざわざ狙い撃つために萬子単騎待ちにする必要はないだろう。小瀬川白望はむしろ、この偏りのある捨て牌でのリーチに愛宕雅枝がどのように対応するかを探りに行ったのだ。攻め続けるのか、守備につくのか、それとも保留して見に回るのか。そういったことも含めて、相手がどのようなロジックでリーチに対応しに行くのかを見極めようとしたのだ。

そうしてそのリーチから一巡が経ち、小瀬川白望のリーチ後第一ツモとなった。

 

小瀬川白望

ツモ{8}

 

ツモってきたのは{8}。和了牌ではないものの索子の{8}をツモってきた。小瀬川白望は無表情でその{8}を河へと置いた。

そしてその後も続けざまに索子、しかし和了牌ではない索子を続けざま、立て続けにツモってきた。

そういったこともあってか、リーチまでは河には一つも無かった索子が、まるで緑化が突然始まったかのように索子で埋め尽くされていた。

 

 

 

 

 

愛宕雅枝

ツモ{7}

 

 

そして同巡、愛宕雅枝がツモってきたのは{7}。これは小瀬川白望の和了牌ではないのだが、それでも愛宕雅枝を迷わせるには十分すぎた牌であった。

愛宕雅枝はチラリと小瀬川白望の捨て牌を見る。

 

小瀬川白望:捨て牌

{一赤⑤⑧五横七8}

{4251}

 

その捨て牌は、一言で言ってしまえば不気味極まりない捨て牌であった。リーチ前までは索子が無いと思いきや、リーチをかけた途端突如捨て牌に索子が置かれ始めたのだ。それも、五巡連続で。確率というのはなんだったのかと思ってしまうほどふざけたツモ運だ。それに加えて{369}のスジは一切切られてない。いや、だからといって確実に{369}待ちでは断定は出来ないものの、見れば見るほど不気味な捨て牌だ。

そして今度は自分の手牌を見る。聴牌直後の一向聴であり、ここからオリに回ろうとしても融通が利かない。それに、小瀬川白望の手牌はいかにも索子が待ちのようにも見えるが、それの裏をかいて萬子や筒子の待ちかもしれない。

無理に行くのは危険。ここは一旦退かず進まずの姿勢を取るのが得策である、と対子になっていて尚且つ小瀬川白望の捨て牌にある{⑧}を掴んで捨てる。

 

(こっからどう巻き返すかやな……)

 

そう、退かず進まずとは言ったものの、結局は聴牌できなかったのだ。それに対して小瀬川白望はもう五巡前から聴牌している。この差は大きく、いつ小瀬川白望がツモってもおかしくは無い……そう思った矢先、

 

 

「ツモ」

 

 

小瀬川白望:和了形

{1223334456789}

ツモ{3}

 

 

 

「リーヅモ一気通貫、清一色……4,100-8,100」

 

小瀬川白望が待っていたと言わんばかりにツモ和了る。倍満の和了り。だが、そんなことはどうでもよかったのだ。小瀬川白望は、この局で全ての情報を得ることに成功した。小瀬川白望はゆっくりと笑う。

 

(始めようか……)

 




次回かその次で麻雀は終わりですかね。
前書きにもあったように、アンケートのご協力をお願いします。

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