宮守の神域   作:銀一色

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初作品です。
色々ガバガバな設定だけど許して下さい。
カッコいいシロが書きたかったんです(逆ギレ)


第1章 小瀬川白望と神域の出会い (小学生編)
第1話 運命の出会い


 

 

 

 

 

 

 

 

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東京都 武蔵野市 某所

 

 

8月の盆休みを使って私、小瀬川白望は、親に連れられて夏の暑さが際立つ東京まで墓参りに来ている。

 

 

都会の所為なのかそれとも東北が涼しかった所為か、東京の暑さは私をより苦しめた。

 

 

こんな暑い中で頑張る私は褒められるべき人間であろう。

 

 

お盆には死んだ人が帰ってくるというが、こんな暑い所に戻ってくるあたり幽霊もご苦労なこった。

 

 

名前しか知らず、顔すら分からないご先祖様の墓参りが無事に終わり、帰ろうとした時、私は異様な光景を目の当たりにした。

 

 

その墓の墓石は異常なほど削れていて、もはや墓としての意義を無くしているようだった。

 

 

しかし、どうやら悪戯が原因では無さそうなのだ。

 

 

墓にはギャンブルで使いそうな道具や、酒、栄養ドリンク…

 

 

おまけに墓には冷えピタが貼ってある。

 

 

色々な物が置かれていて、墓石の状態とは正反対の様子だった。

 

 

その墓石に刻まれた文字は…

 

 

 

赤木 しげる

 

 

 

私はその墓石をしばらく見続けた。

ふと、我に帰ると父親が此方を呼ぶ声がした。

 

 

私はその墓を後にし、帰ろうとしたその刹那、

 

 

 

足元に小さな欠片が落ちていたのに気がついた。

 

おそらく 赤木 しげる の墓石の欠片だろうか。

 

 

暫し考え…否、現実では数秒にも満たなかったが、私はその墓石の欠片をこっそりと拾って行くことにした。

 

 

 

 

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岩手

 

 

 

家に帰ってきた私はすぐさま自分の部屋へと入った。

 

 

そしてベットに横たわり、持ち帰ってきた欠片を手にとって眺める。

 

(…勝手に持ち帰ったけど、大丈夫かな…?)

 

 

暫く罪悪感に襲われたが、もう考えない事にした。

 

(まあいいか…ダル…)

 

思えば車で片道6時間はかかる道を通って帰ってきたのだ。昼間から出発したのに、家に帰れば真夜中。

 

大人でも辛い苦行が、小学生には酷く堪えたのか、そのままばったりと眠ってしまった。

 

 

 

 

 

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翌日、私は不意に目が覚めた。

 

 

時計に目をやると時刻は午前4時28分。夏休み中はいつも昼間になるまで寝ている私にとって、その時刻は見慣れないものだった。

 

 

…いや、流石に4時半頃にいつも起きる"強者"は多く無いはずだが。

 

 

兎に角眠気が吹っ飛んだ私は宿題を終わらせる事にした。

 

 

プリント類などは既に終わらせたが、肝心要、私に立ちはだかる強敵、自由研究。

 

自由研究というだけあって、テーマはなんでもいい。あまり逸脱した内容でなければ殆どが通るだろう。

 

 

にも関わらず、私は焦っていた。理由は二つ。

 

 

一つ。まず夏休みの日数である。岩手では、というより東北地方では、夏休みの日数が関東に比べ少ない。

今日は8月17日。そして始業式は19日。後2日しかないのだ。

 

 

であるから『明日が31日だー』と嘆く某日曜アニメの少年や少女の感情移入はできない。

それどころか『31日まであるのか』という恨みを持っている東北民は8割以上を超えていると思っている。

 

 

そして二つ。こっちの方も深刻な由々しき事態だが、テーマが決まってすら無いのだ。小学生である私は以下のような思考回路で夏休みLIFEを満喫してきた。

 

 

テーマが自由

テーマくらい自由なんだからいつかは決まるでしょ

自由研究の件を忘れる。

 

 

こんな幼稚な思考回路で6年間夏休みを過ごしたが、今回は時間の少なさもあって、深刻度は跳ね上がる。

 

 

今までなんとか乗り越えて来ただけに、どこか油断していたのだろう。

 

 

とりあえず昼間に作業に取り掛かる為に、今はそのテーマ決めだ。

 

 

さあ考えよう。

 

 

 

 

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侃侃諤諤の議論(脳内)をすること約5分。

 

 

私の闘志は燃え尽きた。名前の白望のように真っ白な灰と化したのだ。

 

 

だいたいテーマが無いのだから、どれが正しいとかのも無いのだ。

 

 

正解の無い問題で馬鹿真面目に正解しようとしている気がして、私は諦める事にした。

 

 

そして眠気も無いのに二度寝タイムに入ろうとしたまさにその瞬間。

 

 

 

声が聞こえた。

 

 

 

【ククク…もう終わりかい?】

 

 

 

空耳などでは無い。幻聴でも無い。しっかりと秒速約340mの速さである"声"を私の鼓膜がキャッチした。

 

 

辺りを見渡す。

 

 

自分の部屋に何か特殊な物などは無い。

 

 

人影らしき人影もない。

 

 

特別な物を持ち込んだわけでも無い。

 

 

あるとしたら、昨日持ち帰った『欠片』だけだ。

 

 

 

 

 

 

 

…ん?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は結論を出した。

 

 

これだけ考察をしても、何も原因が分からないとしたら答えは一つ。

 

 

 

 

 

「成る程、…………夢か」

 

 

これなら全ての辻褄が合う。第一、おかしいのは最初からだったでは無いか。私が4時半に起きるという幽霊が出てくるレベルの奇跡を起こした時点で、おかしかったのだ。

 

 

【…そんな事言われると、普通に傷つくぜ。嬢ちゃん】

 

 

 

…音源は誰がどう言おうと『欠片』から。

 

 

どうやら夢オチは許してくれなかったらしい。

 

 

そして私は答えを知っている質問をする。

 

 

 

「…あんた、誰」

 

 

 

そして『欠片』は答える。端から見れば滑稽な図だが、私は気にしない。

 

 

 

【赤木…赤木しげる。何処にでもいるギャンブラーで、死んだ筈の人間さ】

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ダルっ」

 

 

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私は喋る『欠片』に色んな事を聞いた。

 

 

何で幽霊として出て来たのか。

 

何か未練でも残してきたのか。

 

 

この質問の答えはいずれも『わからない』だった。『未練を残しては無い筈だが、心の何処かで未練があったのかもしれない。』と『欠片』は答える。

 

 

そして次の質問に移る。質問は勿論あの事について。

 

「…何で墓が削られてたの」

 

 

それを聞いた途端『欠片』は笑い出す。

 

 

【…お守りみたいなもんじゃねえかな。欠片の俺が言うのも威厳が無いが、俺はギャンブラーの頂点に上り詰めた男だ。つっても俺はそんなもんに興味は無いけどよ】

 

 

大方質問をしたところで、私はふと思った事を口に出した。

 

 

 

「…赤木さんって、麻雀できる?」

 

 

 

確かにギャンブラーの頂点に上り詰めたとは言ったが、単に即ち麻雀とは言い切れない。ポーカーとか、バックギャモンとか…色々な物を総じてギャンブルと呼ぶのだ。

 

 

だが、私は真っ先に麻雀を出した。

 

 

麻雀は今や大ブームの最中であり、インターハイやインターミドルなど、青春を懸けて凌ぎを削る大会も行われている。

 

 

斯く言う私もそのブームに影響され、麻雀を始めたクチだ。

 

 

しかし悲しいかな。私は物凄く才能が欠如していた。

 

 

簡単に言えば私は下手だった。

 

 

何と言っても私のズボラな性格であろう。牌効率などのデジタルな打ち回しはダルくて嫌だし、知り合いにオカルトを使えるような人もいない。

 

 

 

…いや、一人いたか。まあアレは例外であろう。

 

 

そんなこんなで私は今麻雀から距離をとっていた。

 

 

が、そこに(自称ではあるものの)ギャンブラーの頂点の霊が出現。

 

 

一度は距離をとった私でも、麻雀に戻れるかもしれない…

 

 

そんな藁をも掴む気持ちで問いかけた。

 

 

 

【…俺の打ち回しは奇怪でな、嬢ちゃんの苦手なデジタルってわけでもないし。特殊なオカルトチックなものでもない…謂わばその中間】

 

 

 

私が口にしていないというのにこの幽霊は全てを見抜いていた。

 

 

読心術とはまた違った別のナニカを幽霊から感じた。

 

 

【それでもいいってなら相手してやるぜ。嬢ちゃん。麻雀牌はあるかい?】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして幽霊からの指導を受ける事となった。

 

 

 

 

 

…そういえば何か忘れている気がするが、きっと気の所為だろう。

 

 

 

 

 




暇な時に更新します。
明日かも知れないし、1年後かも知れない。
過度な期待はNGです。
麻雀は第4話くらいからやります。多分。

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