宮守の神域   作:銀一色

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小学生編最終回です。
やっと小学生編が終わった・・・!!


第100話 小学生編最終回

 

 

 

 

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視点:小瀬川白望

 

 

(『号外!宮永照、第一線を退く』……ね)

 

 

全国大会が終わったその翌日、火曜日の今日。勿論小学生である私は学校があり、全国大会での疲れなどの配慮は一切されてない。・・・まあ学校に行ったところでダラダラすると決めている私にとって休みだろうがそうでなかろうが正直どうでもいいのだが。朝早くに起きた私はついさっき届いた新聞を読んでいた。一面を飾るのは照の中学での大会出場をしないという事に関してだった。やはり昨日智葉が私に言っていた通り、その新聞には私の名前は一切出てこなかった。しかも照の記事には、私の名前は意図的に出さないように新聞記者たちが四苦八苦して考えたような文章が羅列してある。・・・流石智葉と言ったところか、マスメディアを裏で完全に牛耳っているのがこの新聞を読んだだけでうかがえる。インターネットも昨日家にある家族の共有パソコンを使って調べていたが、私の名前どころか決勝戦の情報全てに規制がかかっているらしく、新しく決勝戦に関するページが出来ても、ものの数分で抹消されていた。・・・智葉のとこの黒服の人たちがやっているのだろうけど、ネットにすら手が回っているなんて、本当に智葉のとこの家の人たちはは一体何者なのだろう……智葉曰く『先祖代々火消しの血を引いている』らしいのだが、どう考えても理由になっていない。俗に言うヤクザなどの指定暴力団程度ではこんな事できないだろう。暴力団がマスコミやネットを支配するなど聞いた事がないし、たまにニュースとかで見るからそれはないだろう。・・・それなら、前に漫画で読んだことのある『帝愛』みたいな会社でもやっているのだろうか?漫画の世界にしか過ぎないが、『帝愛』レベルであればマスコミやネットにまで手が回っていてもおかしくはないだろう。まあ私の勝手な憶測にしか過ぎないのだが。

それと智葉が火消しの血を引いているって事は、やっぱり智葉の背中とかには刺繍が彫られているのだろうか……?別に私は気にはしないが、つい温泉とか入れるのかな……とか思ってしまう。

 

(・・・これ以上は考えないようにしよう)

 

まあ、私がどう思ったところで真実は謎のままだ。これ以上考えても無駄だろう。・・・それにこれ以上追求したら色々と危なそうだし。

中途半端な結論を出した私は新聞を置いて、朝食を食べてから学校へと向かった。

 

 

 

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「小瀬川さん!昨日の凄かったよ!」

 

「カッコ良かった!」

 

「ありがと……」

 

そして学校にやってくると案の定私を取り囲むクラスメイトたちがやって来た。いや、別に嫌ではないのだが……よりによって廊下で、私を行動できないレベルにまで密集されると流石に困る。どうにか教室に入れるか試みたが、やはり無理であろう。仕方ないので、人集りがなくなるまで動く事は諦める事にした。

しかしその数秒後、私の方へ走ってくる足音がこの人集りの中でも聞こえてきた。その足音に反応したのか、私の目の前にいたクラスメイトが急に廊下の端に寄った。そして一直線に私の元へやってくる黒髪ロングの女の子。そう、宇夫方葵である。

 

「小瀬川さーーん!!」

 

そう言って宇夫方さんは私に向かってダイビングして抱きついてくる。いきなり抱きつかれたため、重心を支えられなくなり、後ろに倒れてしまう。しかし抱きついた時、宇夫方さんは私の頭の後ろに手を当てていたため、地面に頭を打つなんていう事はなかった。恐らく私が倒れるところまで予測済みだったのだろう。そこまで予測していたなら抱きつかなければいいのに……

 

「だ、大丈夫?小瀬川さん……」

 

周りにいたクラスメイト達が声をかけてくる。私は地面に倒れたまま

 

「大、丈夫……」

 

と答える。そして宇夫方さんはクラスメイト達によって私から引き剥がされ、その後は無事に学校生活を送る事ができた。

 

 

 

 

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1月、東京

 

 

 

 

「シロちゃん、おはようさん!」

 

「おはよ。洋榎……ふぁ〜あ」

 

それから数日後、私は洋榎から写真の焼き増しが完了したという旨のメールを受け取り、四人の都合が合う日に皆で集まる事となった。しかし、なかなか四人の都合が合う日が見つからず、結局年を越してからとなった。そして場所は智葉の家となり、そのため先に私と洋榎が駅で待ち合わせしていたのだ。

大会があった日は11月、今は1月とあって、久々に見る洋榎の格好は前に比べて随分と厚着になっていた。私と洋榎は"朝の挨拶"を済ませて、駅の近くに止めてある智葉の家のところの車が止まっているところへ行こうとしていた。

 

「じゃ、今からサトハのとこに行こか!」

 

「やっぱり何も朝っぱらから集まる事なかったんじゃ……」

 

「そう言ってシロちゃんもしっかり来とるんやからええやろ?」

 

「えー……」

 

現在時刻は10時。朝の7時過ぎから新幹線に乗って遠路はるばる岩手から東京までやってきたのだ。いくら休日とはいえ一体朝の何時に起きたと思ってるんだか……まあ、洋榎の言う通りしっかり来る私も同罪なんだけどさ……

そして私と洋榎は黒服が待っている場所まで行き、車……もといベンツに乗せられ、智葉の家まで行った。

 

 

 

 

 

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「お、おはよう。シロ……愛宕」

 

「おはよう……白望さん。洋榎さん」

 

 

それから智葉の家に行くと、家の門の前には智葉と照が立っていた。無論、その周りには前に智葉の家に来た時と同じように黒服達が立っていた。

そのまま私たち四人は智葉の家に入り、前に行った時と同じどデカい智葉の部屋に行った。

それぞれ机……っていうかテーブルを囲むように座布団に座り、洋榎が持ってきた写真を取り出す。

 

「じゃ、約束のモノを出すでー!」

 

約束のモノ……洋榎、言い方に凄い悪意が感じられるがただ天然なだけだろう。そうであると信じたい。

そして洋榎が私たち三人に焼き増しした写真を手渡す。私たちはそれぞれ写真入れに入れるなどして保管する。・・・改めて写真を見ると、結構良く撮れているものだ。やっぱり私と照は相変わらずの無表情だけども。まあ、私が満面の笑みを浮かべている写真など自分で見てて不気味だと思うから無表情でいいだろう。

 

「で、これでもう用は済んだが……どうする?」

 

写真の保管を黒服に任せた智葉が、私たちに向かって問いかける。先に答えたのは洋榎。

 

「どうするって……分かりきっとるやろ?なあ?」

 

洋榎が私と照に向かって言う。私と照は微笑んでそれに答える。

 

「じゃあ、やろうか……」

 

「智葉の家に卓って用意してあるの?」

 

「当然だ。部屋を移そう……それと既に昼食を手配しているが、嫌いな食べ物とかがあったら直ぐに取り替えてもらうから安心してくれ」

 

「お、気がきくなー。流石やで!」

 

そう言って私たちは座布団から立ち上がり、智葉の先導によって雀卓がある部屋へ移動する。

そしてこの日は既に智葉の家に泊まる事になっており、そのまま智葉の家で四人一緒に一夜を過ごした。

なんだかんだ言って、この一泊二日の旅は小学生最後の思い出としてふさわしいイベントだったと思う。次この四人で集まるのはいつかは分からない。もしかしたら、本当に今日が最後かもしれない。だけど、私はこの日を忘れる事はないだろう。

 

 

 

 

 

 

小学生編、完結。

To be continued・・・!




次回から中学生編!一体どんな話にしましょうかね……
それと智葉の家でお泊まり会の場面ですが、ご希望がありましたらもっと描写したいと思います。外伝として。
というわけで小学生編はこれにて完結!今まで応援して下さった皆様大変ありがとうございました!そしてこれからも応援よろしくお願い致します!

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