鉄火の銘   作:属物

67 / 110
第六話【キャッチアップ・イフ・ユーキャン?】#2

【キャッチアップ・イフ・ユーキャン?】#2

 

#NSS-HIMITSU:i11eg@1:利権屋代表「イルカを虐める奴はイヌのクソ」X-P

#NSS-HIMITSU:0ut1@w:poopだなX-P

#NSS-HIMITSU:under_gr0und:イルカ>>>>代表X-P

 

#NSS-HIMITSU:i11eg@1:返礼品送付「イルカ肉アソート毛皮包み」代引きX-D

#NSS-HIMITSU:0ut1@w:涼しいX-D

#NSS-HIMITSU:under_gr0und:涼しいX-D

 

#NSS-HIMITSU:i11eg@1:ps.withバイオローチ

#NSS-HIMITSU:0ut1@w:涼しいX-D

#NSS-HIMITSU:under_gr0und:涼しいX-D

 

#NSS-HIMITSU:under_gr0und:ps.儀式場デザイン"njslyr_ceremony.dscad"

#NSS-HIMITSU:0ut1@w:GJ

#NSS-HIMITSU:i11eg@1:thx

 

「ピーチクパーチクよく囀るなぁ」ディスプレイ前の中年が半笑いでケモビールを傾ける。自称ハッカーなスクリプト小僧達はprivmsgな内緒話を盗み聞きされてるとは夢にも思ってないだろう。だが、電子戦争の折から論理世界を生き延びた古強者にとっては、魔法使い(ウィザード)気取りなお子様なんぞ皆等しくアカチャンに過ぎない。

 

#NSS-HIMITSU:i11eg@1:血+首でperfect? 

#NSS-HIMITSU:under_gr0und:不足

#NSS-HIMITSU:0ut1@w:まだ不足? 

#NSS-HIMITSU:under_gr0und:不足

 

#NSS-HIMITSU:under_gr0und:893傭兵仕事してない。

#NSS-HIMITSU:i11eg@1:893傭兵useless。威張るだけ

#NSS-HIMITSU:under_gr0und:殴るだけ

 

#NSS-HIMITSU:0ut1@w:原始人:-P

#NSS-HIMITSU:i11eg@1:原始人X-D

#NSS-HIMITSU:under_gr0und:LOLOLOLOL

#NSS-HIMITSU:0ut1@w:LOLOLOLOL

 

自分達がテンサイ級と思い上がったn00b達。だが、本物のハッカーに掛かれば、コマンド覚えて英雄気取りの防火壁なぞ、ショージ扉よろしく粉砕(クラック)してやれる。その気になればIPを裁断(ハック)して、ついでにアカウントを前後(ファック)してやれる。すべてがベイビーサブミッションだ。

 

#NSS-HIMITSU:i11eg@1:point+target見つけられない

#NSS-HIMITSU:0ut1@w:only893useless

#NSS-HIMITSU:under_gr0und:But大口

 

#NSS-HIMITSU:i11eg@1:頭代わりにbot乗せとけ

#NSS-HIMITSU:under_gr0und:今より頭良くなるLOL

#NSS-HIMITSU:0ut1@w:性格も良くなるLOL

#NSS-HIMITSU:i11eg@1:顔も良くなるLOL

 

#NSS-HIMITSU:under_gr0und:LOLOLOL

#NSS-HIMITSU:0ut1@w:LOLOLOL

#NSS-HIMITSU:i11eg@1:LOLOLOL

 

だが好きだ。だからこそ愛おしい。その愚かしさがたまらない。自分が世界の主人公と思い込み、褒めそやすれば舞い上がって簡単に操縦できる。ちょっと焚き付ければ正義感と万能感のままに地雷原に一直線。どれだけ使い捨てても次から次へ湧いてくる。なんともカワイイなクソガキども。

 

#NSS-HIMITSU:i11eg@1:njslyr同じn00b(:-<

#NSS-HIMITSU:under_gr0und:でも強い。N殺せる

#NSS-HIMITSU:0ut1@w:殺せるだけ。n00b

 

#NSS-HIMITSU:under_gr0und:最近怪我多い。njslyr_mad (:-<

#NSS-HIMITSU:i11eg@1:njslyr_自我課goto

#NSS-HIMITSU:under_gr0und:元々 :-P

#NSS-HIMITSU:0ut1@w:mad+++

#NSS-HIMITSU:0ut1@w:頭mad

 

#NSS-HIMITSU:i11eg@1:頭代わりにbot乗せとけ

#NSS-HIMITSU:under_gr0und:今より頭良くなるX-D

#NSS-HIMITSU:0ut1@w:性格も良くなるX-D

#NSS-HIMITSU:i11eg@1:顔も良くなるX-D

 

#NSS-HIMITSU:under_gr0und:LOLOLOL

#NSS-HIMITSU:0ut1@w:LOLOLOL

#NSS-HIMITSU:i11eg@1:LOLOLOL

 

こいつらも嘲り笑うニンジャスレイヤーも同じこと。ニンジャが実在すると知って多いに肝を冷やしたが、結局は周りと変わらぬバカな子供の一匹に過ぎない。少々自我が不安定だが、煽てて揉み手、欲しい言葉をくれてやれば都合よく動く。

 

#NSS-HIMITSU:0ut1@w:でもそれじゃN殺せない

#NSS-HIMITSU:under_gr0und:ならUNIX埋めてR/C

#NSS-HIMITSU:i11eg@1:俺Fゲー#1だから強いX-D

#NSS-HIMITSU:0ut1@w:Fatality決めてやれ:-P

#NSS-HIMITSU:under_gr0und:まずはn00bの893傭兵X-D

 

#NSS-HIMITSU:i11eg@1:LOLOLOL

#NSS-HIMITSU:0ut1@w:LOLOLOL

#NSS-HIMITSU:under_gr0und:LOLOLOL

 

しかしガキ共の無駄話にも一理ある。最近、とみに不安定が増している。元から『オリジナルのニンジャスレイヤー』に傾倒したフリーク野郎だったが、イカれた言動は首尾一貫していた。それが近頃、躁鬱なアップダウンを繰り返すようになって操縦のコストも上がってきてる。そろそろ潮時かもしれない。

 

#NSS-HIMITSU:under_gr0und:n00b帰って来た

#NSS-HIMITSU:0ut1@w:どっち? 

#NSS-HIMITSU:i11eg@1:njslyr

#NSS-HIMITSU:i11eg@1:ps.with893傭兵

#NSS-HIMITSU:0ut1@w:消せ消せ

#NSS-HIMITSU:under_gr0und:見られるとマズイ

#NSS-HIMITSU:i11eg@1:nopアイツらじゃ見れない

 

どうやらニンジャ殺しのお帰りらしい。我が家のチビ猫よろしくドットパターン煙草焼印で言うこと聞かせられれば楽だが、仮にもニンジャだ。そうも行かない。だからこれからお情緒不安定の小皇帝をお慰めしてやらにゃならない。稼ぎを抱えて逃げ出すまでは死なれちゃ困る。

 

そしてその後はキッチリ死んでもらわなきゃなお困る。「さぁて、リンゴ磨いてゴマ擦って。おガキ様には自主的にジゴク行って貰おうか」両のこめかみから伸びるLANケーブルを優しく抜くと、無精髭の中高年……“ナブケ”は下卑た作り笑いを浮かべた。

 

---

 

「ハァーッ! ハァーッ!」起き上がり小法師人形めいて、赤黒いジューウェアの上半身が高速で上下する。ストロボめいて明滅する蛍光ボンボリは、アマゾン大河を思わせるミルクブラウンの筋肉を照らし出す。だがその大半は焼畑農業後の熱帯雨林めいて火傷と裂傷、その治療痕で覆われている。

 

「ハァーッ! ハァーッ!」センセイが居たならば、即座にシットアップを中止させて、回復に専念するよう指導しただろう。それ程に傷は深く多い。しかし青年は執拗な腹筋トレーニングを止めようとはしない。何度苦痛に身悶えしても、痛みの波が過ぎ去るや否や再びの鍛錬を繰り返す。

 

「ハァーッ! ハァーッ! ……ヌゥーッ!」その様はむしろ痛みと苦しみを待ち望むかのようにすら思える。これは最早トレーニングではない。自傷行為だ。それは正しい。セイジはリストカットを繰り返す自我科案件ティーンめいて、精神の苦痛を肉体の苦痛で塗り潰そうとしていたのだ。

 

「ハァーッ! ハァーッ! ……ヌゥーッ! ヌゥゥッ!!」苦痛と疲労が遠のけば、即座に過去と現実が忍び寄る。家族は殺され、友は離れ、師は死んだ。過去から襲いくるNRSの爪痕と、虚無と孤独の現実から逃れようと、ニンジャスレイヤーに、理想像(ヒーロー)に逃げ込んだ。

 

だが現実は再びその背に爪を掛けた。友は……ニンジャだった。巡り巡って再びのジゴク。縋った救い手に背中を刺され、皮肉な冗句に月が嘲る。緩和ケアからの薬物中毒めいて、今や逃げ込む先は茨の道だ。血塗れの孤児は安全地帯を探し求めて、迷路の奥へ奥へと迷い込む。

 

「ハァーッ! ハァーッ! グワーッ!?」度重なる悲鳴を無視され続けて、遂に腹筋が限界に達した。「グワーッ! グワーッ!」随意には一インチたりとも動かないのに、不随意運動ばかりを繰り返し、ひたすらに苦痛のシグナルを脳髄へと送りつける。それは肉体から精神への報復か。

 

「ヌゥーッ! ウゥーッ!」現世への誕生を拒む胎児のように、膝を抱えて苦痛を堪える。その背をさすってくれる『誰か』はいない。労いの言葉をかけてくれる『誰か』もいない。心配の目を向けてくれる者は“誰も”いない。向けられるのは蔑みと嘲りを隠した媚びへつらいの作り笑顔だけだ。

 

仲間はいない。あれは仲間などではない。何故なら理想像(ヒーロー)は孤高だ。味方はいない。あれは味方などではない。理想像(ヒーロー)は孤独だ。ただ一人でニンジャを殺す。誰であろうとニンジャは殺す。殺し続ける。それこそが理想像(ニンジャスレイヤー)だ。

 

家族は殺された。理想像(ニンジャスレイヤー)だから家族はいない。友は離れた。理想像(ニンジャスレイヤー)だから友はいない。師は還らぬ人だ。理想像(ニンジャスレイヤー)だから師はいない。それは当然だ。全て当然だ。全て要らない。あれは幻覚だ。あれは感傷だ。苦しむ必要などない。痛む必然などない。迷う必用などない。

 

「ヌゥーッ! ウゥーッ!」ならばこの苦しみはなんだ? この痛みはなんだ? この迷いはなんだ? これはニンジャスレイヤー的ではない。まるで純度が足りない。惰弱極まりない。これでは真のニンジャスレイヤーにほど遠い。『俺』はニンジャスレイヤーなのに。『僕』がニンジャスレイヤーでない。

 

妄想と信仰に縋り付き、セイジはメトロノームめいて現実と狂気を行き来する。疲労と苦痛、痙攣と幻覚。視界と思考がトモエパターンを描き、切れかかった蛍光灯が明滅する度にモノクロとカラーが点滅する。

 

そして電灯がふつりと消えて、全ては闇に溶けた。

 

 

【鉄火の銘】

 

【鉄火の銘】

 

 

黒、墨、暗闇、無明、真夜中、新月の夜空。毛羽立ったタタミ、破れたショウジ窓。星も無い夜の海が透かし見える。「ここは……」セイジは力無く上半身を持ち上げた。ここを知っている。ここに来た。ここに居た。

 

そう、ここに居る。彼がいる。赤、火炎、緋色、死人花、噴き出る血の色。「ニンジャスレイヤー=サン……!」燃え盛る紅蓮で描かれた理想像(ヒーロー)の姿。正座姿勢のまま、真っ直ぐに自分を見つめている。その目に赤々と燃える熱をたたえ、口元は天井と同じく始まりの二文字でしめやかに覆われている。

 

セイジは這いずるようにその足元に平伏した。「ニンジャスレイヤー=サン! 俺にインストラクションを! どうか!」『インストラクションを……?』「どうか、どうか! 俺を導いてくれ! お願いします!」超自然の神像めいた姿にドゲザし乞い願う。コダマめいて縋る言葉が辺りに反響した。

 

「俺は……ニンジャスレイヤーだ」『ニンジャスレイヤー……』「そうだ。ニンジャスレイヤーになったんだ。だから、俺はニンジャスレイヤーの筈だ! 全ニンジャを殺すニンジャ殺戮者! ニンジャの天敵たる超ニンジャ存在! オリジナルの正当なる後継者!」声を張り上げ、セイジは朗々と語る。

 

『ニンジャを、殺す……』「そうだ! ニンジャスレイヤーはニンジャを殺す! 俺はニンジャを殺す! 一人残らず皆殺す! だから俺はニンジャ殺す者(ニンジャスレイヤー)なんだ!」自らの言葉に酔い痴れて、妄想が現実を上書きしていく。それこそが真実であると。それこそが事実であると。

 

「そして儀式を以ってニンジャスレイヤー性をオリジナルから継承する! それで俺は真のニンジャスレイヤーと成る! 成る! 成る筈、なのに……」『なのに……?』だが酔いは唐突に冷めた。不意に冷たい事実を突きつけられ、冷え切った現実を思い知らされた。

 

「なのに、俺は迷っている。シンヤ=サンがニンジャと知った時からずっと迷っているんだ」訳もなくその声が掠れる。理由なく涙が溢れる。「真のニンジャスレイヤーは迷わない! 真のニンジャスレイヤーは悩まない! なのに、俺は迷って、悩んで……まるでニンジャスレイヤーじゃない……!」

 

「これでいいのか、このままでいいのか、どうすればいいのか。もう何も判らない」何かを拒絶するように頭を抱え、否定するように首を振る。「だから、ニンジャスレイヤー=サン! 俺に道を示してくれ!」『道……』「そうだ! 道を、真のニンジャスレイヤーへの道を! この苦しみを超える道を!」

 

苦悩の中でもがくセイジはただ一つの救いに跪く。しかし神頼む信者を目前にしても、紅蓮の両目は遥か彼方へと焦点を合わせたままだ。ただ茫漠と鐘めいて言葉を返した。『真のニンジャスレイヤー……』「真のニンジャ殺す者(ニンジャスレイヤー)……ニンジャを殺す……全てのニンジャを殺す……アイツも?」

 

そう、離れた友は、無二の親友は、”カナコ・シンヤ”は、ニンジャ“ブラックスミス”だった。「アイツを、殺す?」それを殺す。それがニンジャだから殺す。それがニンジャスレイヤーだから殺す。あまりにも単純な事実だった。それこそが、セイジが意図的に忘れてまで、目を逸らし続けた事実だった。

 

それを認める訳にはいかなかった。何故なら……「嫌だ」言葉がこぼれ落ちた。溢れたコトダマは滑らかに腑に落ちた。「嫌だ……嫌だ! アイツは、シンヤ=サンは友達なんだ。『僕』の、友達なんだ。殺したくない……!」何故なら、それが本音だからだ。縋り続けた理想像(ニンジャスレイヤー)を否定する本音だからだ。

 

ならば出せる答えは二つに一つ。親友を殺して自分(ヒノ・セイジ)を殺すか。理想を殺して自分(『ニンジャスレイヤー』)を殺すか。「ニンジャスレイヤー=サン、僕はどうしたらいいんですか。教えてください。お願いだから……」己を真っ二つに引き裂くジレンマを前に、セイジは紅蓮の人影にドゲザして啜り泣いた。

 

出来ることは、全ての選択を投げ捨て理想像(ニンジャスレイヤー)に救いを求めることだけだった。

 

---

 

どれだけの時間が過ぎたのか。耳に入るのは自分のしゃくり上げる声と荒い呼吸だけだ。請い願った紅蓮は何一つ応えない。「ニンジャスレイヤー=サン……?」セイジは恐る恐る顔を上げる。そこに灼熱に煮え滾る目が有った。目が合った。「アィッ!?」顔が近い! 思わず仰け反る。だが1ミリも距離は変わらない。

 

「ニンジャ、スレイヤー=サン!?」『ニンジャ……』「……そうだ。シンヤ=サンはニンジャなんだ。でも友達なんだ。ニンジャだから殺す。友達だから殺したくない。だから、どうすれば」跳ねた心臓を深呼吸で宥める。認めたくなかった現実を一つ一つ言葉にする。

 

『ニンジャ、だから、殺す……』「そうだ、でも……」『友達、だから、殺す……!』「そうだ、でも……え?」理解を拒む台詞を耳にして、セイジは一瞬惚けた。その目前に紅蓮に焼け付く目が有った。「アィェッ!?」更に顔が近い! 最早ゼロ距離。恐怖のままに後ずさる。だが1ミリも距離は変わらない。

 

「友達、だから、殺す!? ナンデ!?」恐怖と混乱のままに繰り返す。まるで訳がわからない。『真のニンジャスレイヤーに友は、いない……』「真のニンジャスレイヤーに友はいない。そうだ。でも、アイツは友達だ。友達なんだ!」『だから殺す……』「だから殺す……でも、僕は、嫌だ」

 

『嫌だから、殺す……』「嫌だから……殺す……?」『感傷だから、殺す……』「感傷だから……殺す……」セイジは魅入られたかの様に揺らめく緋の目に見入る。ブディストのミッキョ派は神聖なる火で供物を焚き上げてトランスに至るという。護摩めいて燃え上がる紅蓮の影は、何を贄として燃え盛るのか。

 

『真のニンジャスレイヤーは悲劇を超える……真のニンジャスレイヤーは人間性を超える……』更に顔が近づく! 「真のニンジャスレイヤーは……悲劇を超える。友を殺す……悲劇を超える。真のニンジャスレイヤーは、人間性を超える。友を殺して、人間性を超える……!」

 

距離はゼロを下回り、マイナスに至った。双方の顔は重なった。それは、セイジが影に呑まれたのか。それとも、セイジに影が入り込んだのか。或いはその両方か。どれにせよ、セイジにはそれを確かめる術も、自覚する術もない。

 

『真のニンジャスレイヤーは独りだ……真のニンジャスレイヤーは孤高だ……真のニンジャスレイヤーは孤独だ……』「真のニンジャスレイヤーは独りだ……家族は、いない。真のニンジャスレイヤーは孤高だ……師も、いない。真のニンジャスレイヤーは孤独だ……友も、要らない!」

 

理想像(ニンジャスレイヤー)想像主(ヒノ・セイジ)の主客は転倒し、主従が逆転する。かつて、がらんどうの鐘めいてセイジの妄言を反響していた朧な影は、今やセイジの心に妄念を吹き込みジョルリめいて操り始めていた。

 

『それが真のニンジャスレイヤー……! それこそ真のニンジャスレイヤー……!』「ああ、それが真のニンジャスレイヤー! おお、それこそ真のニンジャスレイヤー!」水銀遅延管めいて残響する敵意が呼び出され、化石燃料めいて埋もれた殺意が燃え上がる! 

 

『真のニンジャスレイヤーに慈悲はない……』

「真のニンジャスレイヤーに容赦はない……」

『真のニンジャスレイヤーに仲間はない……!』

「真のニンジャスレイヤーに味方はない……!」

 

問い返す様に繰り返し、繰り返すように問い返し、循環構造の狂気は、終末へ向けて加速する! 

 

「真のニンジャスレイヤーはニンジャを殺す!」

『真のニンジャスレイヤーはモータルも殺す!』

「真のニンジャスレイヤーは全て殺す!」

『真のニンジャスレイヤーだから全て殺す!』

「『何故なら、それが真のニンジャスレイヤー!』」

『「何故なら、それこそ真のニンジャスレイヤー!」』

 

『そうだ! 俺が! 俺こそが! ニンジャスレイヤーだっ!!」絶叫と共に目を開いた。紅蓮に燃える両眼が狂喜に満ちた。

 

【キャッチアップ・イフ・ユーキャン?】#2おわり。#3へ続く。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。