いや、許して。執筆妖怪みたいにバンバン投稿とか不可能だから。あれが出来るのはあの人くらいだから。書き貯めなしにあの速度と文字数はちょっと異常だから。
とはいえ二千文字に満たないって……
目覚めるとフライゴンが横にいた。
フライゴン、フライゴンである。緑の妖精さんである。第三世代唯一メガ進化しないドラゴンタイプのポケモンである。ガブリアスへの殺意を胸に、ガブリアスの攻撃限定で全て回避し、絶対にはずれないげきりんを叩き込むフライゴンがいた。不遇枠、という訳だが人気投票では66位を陣取っていたり。
むし・じめんではなくドラゴン・じめんで、赤いサングラスと緑の肌の妖精さんである。もう一度いおう。緑の肌の妖精さんだった。
──え、木にいたのこいつ?
「ふりゃりゃ?」
そんな感じで、二日目がスタートした。
◇
フライゴンはタイプ一致でじしんを打て、ふゆうという地面タイプを無効化する特性を持っているが、実のところ種族値的に同時期に登場したボーマンダの下位互換である。そして四世代でガブリアスが登場してからドラゴン・地面としてのアドバンテージは消失した。
──そう、フライゴンはガブリアスに完全に役目を奪われてしまったのだ。
種族値で負け。タイプが同じ故にじしんの一致としてのお株も奪われ。
そして、フライゴンは精霊という自らの特権である種族を生かして、強引に三つ目のタイプとしてフェアリーを入手した。
というネタがどこかであった気もするが、それは置こう。取りあえず、今の状況を整理してみると。
洞窟の通路で寝てた俺は何時の間にかフライゴンと一緒に寝てた。うん、意味分かんない。あれか、ドラゴンタイプ滅殺してやるとかいう意志の現れか。俺を誘拐して、「こいつを返して欲しかったら俺に負けろ」とでもいるか分からないおやのボーマンダにいう気だろうか。汚い。フライゴン汚い。
と、そこでフライゴンが目を覚まし、既に起きていた此方とばっちり目が合い。
にっこりと微笑んだフライゴンがどこからか木の実を取り出し、それを此方の手に置いた。
「……ええ?」
フライゴン自身も既に持っていたもう一つのそれをしゃくりと口に含み、妖精らしい笑みを見せる。倣って此方も、少し警戒しつつも大きめに口を開けてそれを食べた。
喜びを体全体でばっさばっさと表現するフライゴンをよそに、そのまま一気にそれを食べて、あっという間に木の実はなくなった。それを見たフライゴンは更に遠吠えも混ぜ込んで物凄いポーズを取る。ツッこむべきかせざるべきか。物凄く判断に悩んでしまった。
「ふりゃりゃ」
そういって此方に背を向け、まるで乗れというような体制で静止するフライゴン。ニックネームは鳴き声から取ってふりゃりゃ。おずおずと背中に乗り、抱きつくとフライゴンはばっ、と飛び上がった。洞窟内の通路をぐぃぃんと駆け抜け、途中で二、三匹ガブリアスを轢いて、着いた場所は洞窟の入り口。迷っていたと思ったのか、それともピカチュウが消えたために帰り道が分からないだろうと思ったのか。どっちにせよ、酷く紳士的なフライゴンだった。ありがとう、と礼をいい、背中から降りると、フライゴンはふりゃりゃと鳴いて着た道を戻っていった。ぐぎゃあ、と悲鳴が聞こえたのはきっとガブリアスを轢いたからだろう。フライゴンの勝利の雄叫びが聞こえる。
どれだけガブリアスが憎いのだ、あいつは。
◇
さて。ここに洞窟の中で拾ったげんきのかけらが五つある。
「おーい、ハピナース」
「ハァアアアアアアアアッッッ!!」
「流石芸人」
此方の声に反応し、颯爽登場したのはいつものハピナス。とりあえずでこぴん一発やって、ハピナスが祈る。
ぐぎゅぎゅぎゅ、と体の中をエネルギーが渦巻いた。やはり相手にダメージを与えないと大幅レベルアップは出来ないらしい。倒れたハピナスの口に、欠片を放り込んで。
「あれ?」
何も起こらなかった。HPを全損したハピナスにげんきの欠片は効果はないようだった。げんきの欠片はゴーストタイプの成分で出来ていたとでもいうのか。
と、まあ。
大量レベルアップ計画は、失敗だった。
「まじかぁ……」
そうやって。
仰向けになって岩肌の質感を感じて。
作戦の失敗に息を吐いた。
セレヴェだと思った?残念!ふりゃりゃでした!
ヒガナにメガシンカしろって怒られる例のあの方でした!
あの方分類にせいれいってあるんだからきっとメガシンカすればフェアリー追加されるよね!せやろ?
そんでフェアリー技使えなくてみんなが存在理由を疑っていくやつね。
ORASでメガラティ兄妹が速攻で手に入るあれは止めてほしかった。厳選出来なかったから別データでやったし。