独自設定のタグの設置を忘れていたので、今回の話、それが嫌いな方は大変不快な思いをする可能性があります。遅まきながら独自設定のタグを追加しましたので、そういうのが大嫌いな方はバックターン、でお願いします
申し訳ございません
とんとん、と指でテーブルを叩きながら、窓から外を眺める。洞窟に引き込もっていた時は見たこともない光景が、そこからは広がっていた。畑の庭で栽培している木の実が心配だが、まああれはあれでなかなかの生命力を誇っている。そう簡単に折れることはないだろう。
びゅうう、と風が窓を殴りつける。それと共に、べちゃりと白い塊が窓にへばりついた。雪にまみれたピカチュウである。
あれからひと月。
──外は、吹雪いていた。
◇
ひと月の間一度も戦闘訓練を欠かさなかったからか、レッドは並列演算と高速思考を可能としていた。当然強力な技能であるが故に、レッド本人にその分の疲労と頭痛は返ってくるが、そこはマサラタウン出身。平然と頭痛に耐えていた。
収穫はそれだけではなく、レッドの読みも深くなった。ピカチュウは始めの一週間こそ九割程度手加減をしてくれていたが、それからは攻撃にフェイントを織り交ぜるようになり、レッドに読みを強制させていた。
そして最後に、自身の体の動かし方も柔らかくなり、より威力の高い攻撃を繰り出せるようになった。
そして今日。吹雪のために訓練の中断を余儀なくされたのである。
レッドとピカチュウは買い物にいこうと家の外についさっき出たばかりだ。おそらくは挫折してそろそろ戻ってくるだろう。ナナミさんが支給してくれたカツ丼を大口開けて食らいながら、咀嚼している合間にお茶をコップに次ぐ。レッドの家はトゲのない麦茶を好んで用意している。個人的にも、紅茶のように甘いお茶は苦手で、かといって苦いのも苦手なので麦茶は好みにあう。飲み込んで、口の中に残るものをお茶で喉に流し込む。そうしていると。
「ただいまー」
レッドが帰ってきた。
リビングに姿を見せ、両手いっぱいに持った買い物袋を此方に見せながら、いそいそと冷蔵庫に向かう。その体には厚手のコートが纏われており、そうして予想が外れたことにがっかりする。何買い物終わらせてんだ。理不尽にそう思いながら、正面の椅子に座るレッドを見ていると。
「今からオーキド研究所に行こう」
レッドが此方の目を見つめ返しながら、そういった。
◇
「……なるほどのお。それでわしの研究所に来たのか」
「ええ。技術が磨けないならば知識を蓄えればいい。情報は武器になりますし、ついでにいえばリーグ経験者の博士から話を聞きたいんです」
オーキド研究所。
そこはこんな吹雪の日でも研究を続けているようで、いそいそとパソコンやらなんやらをいじって情報を整理しているのが分かった。正直迷惑なんじゃないかと思ったが、博士がリーグ経験者と知ってその考えは天の彼方へ飛んでいった。ポケモンリーグ経験者、それもジョウトと二つ交えての、おそらくは世界で一番大規模なポケモンリーグ。出場資格を得るだけでも予選で十、二十人のトレーナーを下す必要のある、本選出場まで到達したとしてもそこから選抜された百、二百の豪傑達と戦闘を繰り広げる必要がある、おそらくは本当の意味でのポケモンマスターを競う大会。
そして世にいうリーグ経験者は、それはつまり狭き門をくぐり抜けて本選に出場したポケモントレーナーを指す。
つまり、オーキド博士はトレーナーとして強力な部類であることを証明していた。
「……そーじゃ、レッド。君は時に、“オリジナル技”と“精神同調”に“思考同調”のことを知っているかね?」
「オリジナル技ならピカチュウといっしょに一つ編み出したのがありますが、いえ。精神同調と思考同調は知りません」
そういったレッドに、驚愕といった表情を見せる博士。というかオリジナル技なんて何時の間に編み出したんだ、レッド。それを何故教えてくれなかったんだ。
「編み出した、じゃと? 一体どんな技なんじゃ?」
「簡単に言えば、ピカチュウが使ってたクロスサンダーの応用なんですけどね。放出する電気の量を減らして、かわりに後ろに電気を放出して推力を稼いで、そうして超高速で飛ばすっていう技ですよ。育成力を鍛えるためにピカチュウと構想を考えていたら、追い打ち効果の発動と着弾時に至近から勝手に電力を放出します。推定でいえばそれは雷程度の威力ですが。まあ、そんなに連発は出来ませんがね! こんだけ盛り込んだんだから場に出した時限定で発動です。だから基本的にはローテして、これを連発するってスタイルなんでしょうが」
そうして平然と言ってのけたレッドに、オーキド博士が告げる。
「……レッド。そのピカチュウ、バッチ全部取るまで公式戦出場禁止」
「んなっ!?」
「ピカッ!?」
まあ当たり前だろうな、と両手を組んで、オーキド博士の言葉に頷いた。
そうして、命名するなら“レールガン”だろうな、と未だ見たこともない、しかし痛く驚異的なその技に、一人勝手にそう思った。
前書きに注意書きを書きました。
とりあえず挨拶ついでにロリマンダ。
オリジナルの技とかいろいろ要素を付け足させていただきました。萌えもんにもそういう要素はありますが。
今回のこれは敵の強さを底上げしたかったのでこうさせていただきました。