空に憧れて   作:moti-

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 最初にいっておきます。

 ぴかちゅうは実在します。

 某氏の制作したパッチで、種族値が1000を超えるピジョン、ロコン、ピカチュウがいます

 ハメでも確かそれのあれがあった気がする……

 ピカチュウは存在しますからぁ!


VS トレーナー

「……どちらさまですか?」

 

 ぱちぱちと数度瞬きしたレッドが聞く。男は頭を振り乱しながら、ボールを此方に向かって投げてきた。

 

 当然既に一度捕まっているのでそのボールは反応することがない。気の毒だが、もっと根気よく草むらを探ればヒトガタは現れるだろう。チルタリス──レベル35以上のポケモンが言うことを聞く時点で、彼はそれなりにレベルの高いトレーナーだと分かる。ぱんっ、とはじかれるボール。トレーナー登録の終了したポケモンは他人が捕まえることは出来ない──つまり、モンスターボールが一つ無駄になっただけだった。

 

「俺のソラに何か用ですか?」

 

 少しレッドの言葉に棘が入った。

 

 んー、と帽子越しに頭を掻いて、帽子が軽く揺れる。はっ、となった男はこういった。

 

「そ、そうだ! 勝負だ! 勝ったらそいつは僕に譲ってもらう!」

 

 レッドと軽く顔を見合わせて。

 

 視線で負けると思っているの? と告げた。

 

「──オーケー。その勝負、受けようじゃないか」

 

 ◇

 

 ざっ、とレッドの隣から一歩前に出る。

 

 相手の放り投げたボールはどういうわけか空中で開き、ボールが閉じ、男の手に帰っていく。原理が分からなかった。

 

 さて。

 

 さてさてさて。

 

 数時間振りの戦闘である。

 

 相手が出したクチートを見て、勝算を見いだしながら。

 

 トレーナー二人が後ろに下がり、対戦のための準備は終了。

 

「──ソラ! “だいもんじ”!」

 

「チト! “じゃれつく”!」

 

 此方に突っ込んでくるクチートに向かい、牽制として撃っただいもんじが走る。空気を焼きながら進み、クチートに避けられ、地面をえぐって消え失せた。

 

 フェアリータイプの技を警戒しながら、鋼のような牙を持つ大顎を見る。あれがあるからクチートははがね判定なのだろうか。とりあえず、他の部分の肉は柔らかそうだった。

 

 舞って、舞って、舞う。

 

 こうげきとすばやさを上げて、肉薄していたクチートの攻撃を避ける。

 

「残念でしたっ」

 

 そうして挑発し、相手の思考を攻撃に誘導する。技として昇華された“ちょうはつ”ならば相手の思考回路を強制誘導して、攻撃技以外の存在を一時的に忘れさせるといった強引なことをやってのけるが。

 

 “じゃれつく”を連発するクチートの攻撃を大きめに回避して、動きが停止したさいに上がったすばやさを生かし、クチートの首に“ほのおのキバ”を決める。犬歯がクチートの柔らかいその肉に食い込む。そうして。

 

 ボッ、と。

 

 火が爆ぜた。

 

 クチートは目を回してぐでー、となっている。

 

 口の中に流れてきた血を飲み下し、そうしてありがとうと告げた。

 

「……僕の、負けだ。素直に手を引こう。それじゃあ」

 

 クチートをモンスターボールに戻し、ボールベルトに戻した男はそういって。

 

「君の、名前は」

 

 と、レッドに聞いた。レッドはその象徴たる赤帽子で目元を隠しながら。

 

「──レッド。マサラタウンの、公式戦無敗でチャンピオンになる男だよ」

 

「……、そっか。僕はグレイ。──強くなって、君をその座から引きずりおとしてやる」

 

 そうしてお互いに背を向ける二人を見て、青春してるなあ、と思った。

 

 ◇

 

「はーいじゃあソラちゃんの……えーと、えー、あ! トレーナー発見のお祝いとしてー!」

 

 乾杯。

 

 そうして駆り出されたオーキド研究所の人達を招いたパーティーが始まる。

 

 レッドの家は割と人が入ることが出来る。目算でざっと十人はいるが、それでもあと十人は入るスペースがあった。

 

 グリーンはいない。ホウエンに武者修行と表して留学にいっているらしかった。シャンメリーを傾けながら、オーキド博士に目を向ける。

 

 世界最高峰の権威は孫娘、そして孫のようにかわいがっているレッドには強く出られないらしい。こうしてこのパーティーに出席しているのもその結果だろうか。

 

 そうして、一気に飲み干したせいで炭酸で涙目になりながら、そんなことを考えていた。

 

「今日の主役はソラちゃんだぞー! そうだ! ソラちゃんに自己紹介してもらおう!」

 

 そうナナミさんが声を張って、そうして手招きされる。ちょいちょいとナナミさんの下へ向かうと、みんなの方へ顔を向けられて、体を押さえられた。このまま言え、とのことだろうか。

 

「え、えーと」

 

 元々口上手な方ではないので、そこで吃ってしまう。

 

 あー、うー、と言葉にならない呟きを漏らしながら、意を決して口を開いた。

 

「ほ、ボーマンダって種族のソラよ。レッドをトレーナーにえりゃびゃしぇて……ナナミさんやめて!」

 

 後ろから頬を引っ張られたせいで途中変な言葉になったが。

 

 そうして、夜は更けていった。




 今回バトルで敵のポケモンにもニックネーム実装しました。きちんとした名前、付けてあげないとね。

 尚、今回のバトルはじめからだいもんじ連発したら圧勝です。ピカチュウが出たらワンパンです。

 このポケモン世界はピカチュウがチート勝ちしそうに思うでしょ?

 実はいろいろと倒す方法はあります。みちづれ使えば仕留めれるし

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