空に憧れて   作:moti-

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 嬉しかったので投下。多分これで十話目。今回は会話回となっております。
 あと、少々不快な表現あるかも。まあR-15付けてるから許してください。


ヒトガタポケモンがいればこうなるよねって

 お茶が切れていたので、といわれビン詰めのモーモーミルクをわたされ、赤さんと対面していた。

 

 ビンを傾け一気に中の液体を煽ると、少しどろっとした甘味のある牛乳の味が口いっぱいに広がった。少し傾け過ぎたのか、口の端から重力に従いたらあ、とミルクが垂れる。口の中の液体を飲み干して、顔を赤くしてへちを向くレッドにティッシュを要求した。ぽと、と服に一滴落ち、肌に気持ち悪い冷たさと粘っこさを感じながら、レッドが箱ごとよこしたそれから二、三枚紙を抜き取り、垂れた牛乳を拭き取って、そうして会話が始まった。

 

「え、ええと、君は何で俺をトレーナーにしたいの?」

 

「他のやつらと違って安全そうだから」

 

 そう答えるとガーン、とレッドはショックを受け、テーブルの上に突っ伏した。その頭をピカチュウがよしよしと撫で、若干立ち直ったレッドがいう。

 

「……俺、そんなヘタレに見える?」

 

「え? 何それ、急にどうしたのよ」

 

「ナンデモナイデス……」

 

 妙に晴れた表情のレッドに視線を向けると、ふい、と顔を逸らされる。ままいいか、そうさしたることでもないだろう。そう判断し、レッドに向けていった。

 

「というか、ポケモンがトレーナーを選ぶのにそれ以外に何があると思ってるのよ。どこかでは無理やり捕まえたポケモンをストレス発散に虐待して殺したりとか、私みたいなヒトガタだとまず性欲のはけ口にされるでしょうね。だって、主従関係にあるって、奴隷みたいに扱われるかもしれないんだし」

 

 そう。

 

 ポケモンは奴隷のように扱われる物だ。強引に野生で生きていたやつらが捕まえられ、いうことを聞かないと痛い目に合わされ。

 

「こんな話だって、探ればきっとあると思うわよ。例えば、平和に生きてた幼いヒトガタのポケモンがいます。その子は“みねうち”で気絶する寸前で抵抗する体力を削られました。その子は捕まって、そうして泣いて許して、って叫んで、それでも無視されて、無理やり犯されて、それで希望を無くしてもう何も言わなくなって、それで飽きられてそのまま捨てられるんでしょうね。」

 

 レッドはその話に耳を傾け、その表情はだんだんと険しくなっていた。

 

「続けるわよ? いくらヒトガタでも、ポケモンという枠組みにある以上人間の何倍も生命力があるわけ。つまり一部の歪んだ趣味を持ってるやつにヒトガタが捕まったら、抵抗出来ないように四肢を切り落として、特殊技対策に目をえぐり抜かれて、唇を削ぎ落とされて、そうなったら少しずつ切り刻まれながら痛みに叫ぶしかできないわよ。これで分かった? ポケモンは直感的にトレーナーを選ぶのよ。それがたまたま君に当たっただけ。別に、君が好きだからとかそんな理由でもないんだから、誤解しないでよね?」

 

 そうまで告げると、話を無言で聞いていたレッドはふう、と息を吐いた。そうして前髪を右手で上げ額に手を当て、数秒瞑目したあと、視線をこちらと合わせた。

 

「……つまり、君は直感的に俺のことをポケモン好きのいい人だと判断したわけだ」

 

「そうよ」

 

「残念だけど、一つ言わしてくれ。俺は別にいいやつ何かじゃない」

 

 そこで言葉を切って。

 

「寧ろ俺は君たちに厳しいバトルを強制させると思うし、効率を求め過ぎて君たちをに無理をさせると思う」

 

 だから。そういったレッドに、ピカチュウがでこぴんした。何いってるんだ、と。

 

 だから、取りあえずは此方の言葉で言わせてもらう。

 

「あのねぇ、あんた、何いってんのよ。バトルなんてどれもしんどいし、激闘もどれもそれ程変わりないわよ。しかもなに? 効率を求め過ぎて無理をさせる? そんなこといったら私は生まれてまだ五日も経ってないわよ! その間に何度も死にかけたし、足もミンチにされたし! 無理? 無茶? 気合いで乗り越えてみせるわよ、そのくらい」

 

 そういうとレッドは酷く驚いて。

 

 そうして、くすりと笑った。

 

「……何笑ってるのよ」

 

「いや、ポケモンって成長速いんだな、って」

 

「どーせ私はこれ以上成長出来ないわよ。ちっちゃいって笑えばいいわよ。身長なんて多分150もないわ」

 

「そうだね、俺より既に低いもん。確実に130程度だよ……く、くくっ、はは」

 

 不機嫌になって、じとー、とレッドを睨む此方を笑いながら、レッドは謝った。

 

「あーあ……なんだ、遠慮するものでもなかったじゃん」

 

「だから私たちはあんたを選んだっていうのに」

 

「ピッピカ! ピィチュッ!」

 

 ふう、とレッドが息を吐いて、手を差し出す。そこに一つモンスターボールを乗せると、レッドはそれをピカチュウに押し当てた。

 

 赤い光がピカチュウを取り囲んで、そしてパカっ、と開いたモンスターボールにピカチュウが取り込まれた。レッドの手の上で少し動いて、そうして開閉ボタンが赤く染まり、カチリと音がなる。

 

「──ピカチュウ、ゲットだぜ」

 

 そうレッドが呟いて、ボールを開く。「ピッカッチュー」と元気な声と共にボールから飛び出たピカチュウは、ちらりとこちらに目を向けた。

 

「はいはい」

 

 一番わくわくしているピカチュウが何故だかおかしくて、くすり、と笑う。レッドの手にボールを置けば、どこか緊張した面持ちでぐっ、と指ごと掴まれた。

 

 ぴく、と驚きに指が動けば、レッドは恥ずかしそうにごめん、と謝った。

 

「……私の番、よね」

 

 テーブルから体を乗り出して、そしてその胸元にレッドの手が迫る。どきどきと心臓の鼓動が高まる。

 

 そうして、胸に触れようとしたところで。

 

「何をしているのかな? レッド君はぁ……」

 

 部屋の様子を見に来たであろうお姉さんが、頭に青筋を浮かべてそこに立っていた。




 ロリマンダアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!(挨拶)
 やばいロリマンダの人気っぷりがやばい。
 あ、NN決まりました。安直にソラにさせて頂きます。まあタイトルに空って入ってるしね。
 あと、今回ヒトガタポケモンを捕まえてウワァァってあれは実際にあると思うんだよ。だって人と同じ姿形してるんだから。

 そんで、この設定ならロケット団が生きる。ヒトガタポケモンを捉えて奴隷として売っぱらって、的なことをやつらはやってそう。

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