四ツ谷たちは、さとりから今旧都で起こっている事件の事を聞かされ始める。
「幼子の失踪事件?旧都ではそんな事件が……?それにこいし様も巻き込まれたと?」
今、旧都で起こっている事件の事を聞かされたイトハは、驚きながらもさとりにそう続けざまに問いかけていた。
それにさとりは小さく首を振る。
「……まだ、こいしがそれに巻き込まれたと決まったわけじゃありません。ですが、そんな事件が起こっているさなかに、こいしがいなくなってしまったのです。何か関係があると思ってしまうのも仕方のない事でしょう?」
さとりのその言葉にイトハは押し黙った。
そこへ今度は、四ツ谷が声を上げる。
『……数年前からって事は、もうとっくに捜索隊とかは結成して探し回ってんだろ?それでも、足取り一つ見つからないのか?犯人の目星すらも?』
「はい……、旧都の自警団なども日夜血眼に探し回ってますし、さっきも言ったように、私のペット達も探してはいるのですが……その中にいる『嗅覚』に優れた子たちでも、未だその足取りを掴めてはおりません」
苦虫を噛み潰したかのような表情でさとりの声が部屋の中に響いた。
そして続けて口を開く。
「犯人が狙うのは、いずれも
「……見た目は、って事は実年齢関係なく幼い容姿であれば手当たり次第に狙われてるって事なんだよね?ここは人里と違って妖怪だらけだから見た目に反して結構歳を重ねている子も多そうだし」
小傘の意見にさとりは頷いて見せる。
「ええ……、ですが見た目相応の子たちだっていないわけじゃないんですよ?現に失踪した子たちのほとんどは、そういった子たちが大半でしたから……」
「……今までどれだけの数の子供たちが失踪しているんですか?」
次にイトハがさとりにそう質問を投げかけた。
「…………」
しかし、先程まですぐに答えていたさとりは、その質問にはなかなか返答せず黙ってしまった。
『「「?」」』
四ツ谷、小傘、イトハの三人は怪訝な表所を浮かべ、そばで見ていた燐は苦悶に満ちた表情でそっぽを向いてしまった。
やがてゆっくりとだが、さとりは口を開く。
「……今まで、
「ごじゅっ……!?」
失踪した子供たちの数に小傘は素直に驚いてはいたが、同じくテレビ通信で話を聞いていた四ツ谷は怪訝な表情をますます深くした。
『……いやちょっと待て。今何て言った?見つかった子も含めれば?って事は、何人かのガキ共は既に発見されてるって事だよな?何でそいつらに何があったか聞かな――』
そこまで言った四ツ谷は途中で顔をハッとさせる。
そして直ぐ『まさか……』と呟く四ツ谷を前に、さとりは重たい口を開いた――。
「……実は……失踪した子供たちの内の何人かが、2、3度、旧都内で発見されているんです。……
「そんな!」
あまりの事実に、小傘はショックで口を手で塞ぎながら叫び、四ツ谷とイトハも目を見開いて絶句する。
そして次の瞬間、イトハが勢い良く立ち上がっていた。
長年使えていた紅魔館の主の妹、その妹の大切な友人が命の危機に瀕しているかもしれないと知った以上、彼女にとっても他人事ではなかったのだ。
「……だったらなおの事、一刻も早く見つけないといけないじゃないですか!万が一、失踪した子供たちの中にこいし様がいるのであれば、いつ犯人に殺されるかもわからない……!」
「分かってます!!」
イトハの怒鳴り声にバンッと机に両手をたたきつけ、さとりも叫びながら立ち上がる。
そして厳しい目で自身を見つめて来るイトハを睨みながらさとりは続けて口を開く。
「……もし、そうであるなら、私も一刻も早くこいしを助けたい……!でも、本当に分からないんです。犯人が誰なのかも、どこにいるのかも、何故子供たちをさらって殺しているのかも全く!……そうじゃなきゃ、ここでゆっくりと貴女たたちと会話なんてしていませんッ!!」
「あ、あの、二人とも落ち着いて!?」
「…………」
机を挟んで顔を近づけ睨みあうイトハとさとり。そばで見ている小傘はあたふたと二人を交互に見やりながら声を上げ、燐は小さく構えながらも、二人の成り行きを見守る。そして、四ツ谷は画面の中で頬杖を突きながらそれを見ていた。
そうして短い間、二人の間で拮抗状態が続くも、唐突にさとりの方がハッとなりイトハから顔を離した。
それを見たイトハはニヤリと小さく笑う。
「……今、
「……!」
イトハのその言葉に、さとりはさらに驚き、成り行きを見守っていた小傘と燐は何が起こっているのか分からずポカンと立ち尽くす。
しかし、四ツ谷だけは薄々イトハが
『……お前、何か企んでやがるな?』
四ツ谷のその言葉にイトハは小さく微笑むと、テレビ通信機に映る四ツ谷に身体を向けると
そして優雅な一礼をしながらイトハは四ツ谷に
「四ツ谷様。
最新話投稿です。
短いですがキリが良かったので投稿させていただきました。
追筆: